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92話

Author: 東雲桃矢
last update Petsa ng paglalathala: 2026-06-07 23:18:52

「細道に入ろうとしたら先生の悲鳴が聞こえたので、急いで駆け寄って男の背中を蹴りました。その後俺に殴りかかった男の足を引っかけて転ばせて、目出し帽引っぺがして写真撮りました」

「その写真、見せてください」

「これです」

 成也はスマホを操作し、皆に見えるようにテーブルの中央に置く。

「嘘でしょ!?」

 写真を見て、千夏は固まる。憎々しげにこちらを睨んでいる男は、千夏の父親である葛西ひろしだ。白髪とシワが増えたが、口元に並ぶふたつのほくろは、間違いなくひろしのものだ。

「知り合いですか?」

 理子の質問に答えようと口を開くが、ぱくぱくするだけで言葉が出ない。

(なんで? どうして? 誰か嘘だと言って!)

 千夏の心は悲鳴を上げる。

 うまく息が吸えない。

 頭痛と耳鳴りがする。

「先生!?」

「大丈夫ですか!? しっかりしてください!」

「本条さん!」

 彼らの声が、遠くに聞こえる。耳鳴りが邪魔をして、ハッキリ聞こえない。

 胸が潰されるような感覚がして、視界が暗くなっていき、意識が途切れた。

「先生!」

 テーブルにぶつかる前に、成也が抱きかかえる。

「どうやら本条さんの知り合いのよう
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