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第3話

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太陽がまぶしくて、思わず目を細めた。

ダイビングチームが、次々と海面へ浮上し、船へ戻っていく。

慎之介が船に上がって真っ先に、デッキを鋭い視線で見渡したが、私の姿は見当たらなかった。

彼の表情が、一瞬で険しくなる。

「加奈子は?」

彼は近くにいた船員に尋ねた。

船員は一瞬きょとんとしたが、事実を伝えた。

「慎之介さん、加奈子さんは戻られていません。浮上してくる様子も見ておりません」

慎之介の手が、ぎゅっと握りしめられる。

「ありえない。あいつの性格なら、少しでも不満があればすぐに戻って文句を言うはずだ」

莉奈が髪を拭きながら近づいてきた。

「お兄ちゃん、お姉ちゃんはきっと下の船室に隠れてるわ。

探させて、泣き落としで慰めてもらいたいだけよ」

慎之介は、一理あると思った。

彼は鼻で笑った。

「隠れてるだと?よし、いつまでそうしていられるか見てやる」

彼は船長を呼び出し、冷たい口調で命じた。

「全客室のドアに鍵をかけろ。

船室のエアコンも切れ、水もあげるな。

かくれんぼがしたいなら、好きなだけさせてやる」

莉奈が熱いコーヒーを差し出し、優しい笑顔を見せた。

「お兄ちゃん、怒らないで。お姉ちゃんは少し気が強いから。神谷家の正統なご令嬢だもん」

その言葉が、慎之介の気に障った。

神谷家の長男として育った彼は、昔から家柄で人が語られることを何より嫌っていた。たとえ身内であろうとも例外ではない。

「正統なご令嬢だと?」

慎之介はコーヒーを受け取り、その瞳に殺気がよぎる。

「俺から見れば、加奈子なんか莉奈の足元にも及ばない」

そう言い捨てると、彼は操縦室へ向かい、船内放送用のマイクを手に取った。

「加奈子、船の中にいるのは分かってる。

聞け、お前の遊びに付き合う時間はない。

今すぐデッキに来て、洞窟での身勝手な振る舞いを莉奈に土下座して謝れ。

神谷家へ戻りたいのなら、今が唯一のチャンスだ。

三つ数えて出てこなければ、一晩中この海で漂う羽目になるぞ」

船内放送の声が、荒れた海へと響き渡り、それに驚いたカモメたちが、一斉に空へ飛び立った。

だが、返ってきたのは、船体を叩きつける波の音だけだった。

慎之介は耐えきれなくなり、激しくマイクを操舵盤に叩きつけた。

「上等だ」

その時、水平線の向こうから、真っ黒な雨雲が流れてくる。

風は一気に強まり、海上は荒れ始めた。

剛が少し不安げに歩み寄ってくる。

「慎之介さん、嵐が来ます。この海域で停泊を続けるのは危険です、引き返しましょうか?」

慎之介は船室の入り口を睨みつけ、歯を食いしばった。

「戻るぞ、今すぐ戻れ。

港に着けば、あいつもいつまでも隠れていられないだろう」

船はエンジンを唸らせ、荒れ狂う海を突き進む。

慎之介はデッキに座り込み、雨に打たれるまま、一歩も動こうとはしなかった。

私が激しい揺れに耐えかねて、泣きついてくるのを待っているのだ。

ちょうどその時、赤と青の警光灯が、暗い海を鋭く照らし出す。海上保安庁の警備船が霧の中から飛び出してきた。

「先方の船、直ちに停止せよ!保安検査を行う!」

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