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第7話

Auteur: 匿名
その日以来、瑠火はひどい病に倒れた。

幸祈はあちこち走り回り、数日で見る影もなく痩せてしまった。知らない人が見れば、病人は彼だと思うほどだった。

「瑠火、早く元気になってくれ」

幸祈は瑠火のそばに伏せてそっと囁いた。疲れ切っていたのか、しばらくすると、そのまま目を閉じた。

瑠火は無表情で目を開けた。目の奥に走る痛みのせいで、しばらく身を休めざるを得なかった。

彼女は首を横に向けて幸祈を一瞥すると、あの日の光景が脳裏に浮かんだ。

また泣きそうになるのを恐れて、彼女は視線をそらしてから、そっと布団をめくってベッドを降りた。

庭では、瑠火はブランコに座り、その漆黒の瞳はまるで静まり返った水面のように冷静だ。

突然スマホが鳴り、彼女はその音に嫌悪を覚えた。知らない番号からの着信がしつこく続き、拳を握りしめて出た。

「あのメッセージ、読んだでしょ」

鮎美の色っぽい声がゆっくりと聞こえてきた。

初対面の鮎美は、もっと謙虚で控えめな人だった。瑠火はそう思った。

「きっと疑問よね。どうして私が、こんな大胆にあなたへ直接電話なんてできるのって。あなたも女で、母親でしょ。お腹の子は父親が必要なのよ。

それに、私が妊娠してるのは男の子」

庭の花は鮮やかに咲き誇り、一つひとつが目を楽しませてくれた。

瑠火はブランコを揺らし、庭の花々を静かに眺めた。

「鮎美、私に感謝すると言っていたわね」

電話の向こうで鮎美が一瞬黙り込んだ。

瑠火は彼女が何を考えているか知りたいとも思わず、淡々と過去を語った。

「初めてあなたを見た時、給湯室で泣いていたわ。あなたに昔の私を重ねたから、助けたの」

「もういい!たかが百万円よ。返せばいいんでしょ!」

鮎美は歯ぎしりしながら怒鳴った。

「あなたの家庭は私よりずっと複雑。お父さんはギャンブルに酒、暴力まで。毎日払う借金、バイトだけで稼げるとは思えないわ」

鮎美は何かを突かれたように声を荒げ始めた。

「清純ぶらないで!私は幸祈さんだけと寝たわ!あなたなんて大学の頃バーでバイトして、何人と寝たのかしら!

幸祈さんがなんて言ってたと思う?あなた、全然締まりがなくて、他の男とやりすぎなんじゃないかって。私のほうがずっといいって!」

瑠火の麻痺していた心が、何度も刃物で突き刺されたように痛んだ。

ブランコを握る指が真っ白になるほど強く握った。彼女は、幸祈がこんな言葉を口にするとは夢にも思わず、耳を塞ぎたくなるほどの衝撃を受けた。

しかし、心の痛みを感じた後で、彼女はそれが普通のことだと思った。浮気をする男は、結局みんなそういうものだ。

「それで?」

瑠火は無理やり冷静を装った。

「思ったより冷静なのね。私はあなたと争うつもりはないの。幸祈さんを数日だけ貸してほしいの。ただそれだけ」

鮎美の声には哀願の色があり、追い詰められているようだった。

「彼、あなたを看病するために私を無視してるの。私、本当に彼がいないとダメなの。お願い。私、一生愛人でいいから、あなた達に迷惑かけないから。

あなたが私を嫌うのはいい。でもお腹の子まで憎まないで。この子には父親が必要なの」

瑠火はついに耐えきれず、胸を押さえてむせ返るように吐き気をもよおした。

気持ち悪い。あまりにも、気持ち悪すぎた。

「浮気しておいて貞節を語る男と、愛人なのに許しを求める女。お似合いね、クズ男とゲス女」

そう言って、瑠火は電話を切った。

彼女はブランコに寄りかかり、顔色は真っ青だ。

ここ数日、胸の痛みと麻痺に、瑠火はもう涙は出ないだろうし、傷つくこともないと思っていた。

しかし、可愛い団子のことを思うと、瑠火はどうしようもなく絶望し、涙がこぼれそうになった。

団子はまだ小さいのに、なぜ生まれた瞬間からこんなひどい目に遭わなければならないのだろう。

「瑠火!なんで外に出てるんだ。まだ治ってないのに、また冷えたらどうするんだ!」

幸祈は慌てた表情で瑠火の前に駆け寄り、彼女をじっと見つめた。

涙で真っ赤になった彼女の瞳を見ると、彼は思わずしゃがみ込み、抱きしめた。

「医者が言ってた。最近情緒が不安定なのは、産後の影響かもしれないって。何か辛いことがあるなら、必ず俺に言って」

「もし私が、あなたに死んでほしいって言ったら?」

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