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第2話

مؤلف: ドリアン
ドアを開けた瞬間、涼介はちょうど携帯を置いたところだった。

つい先ほど絶頂を迎えたばかりのせいか、いつもは冷淡な顔立ちの彼にも、珍しく赤みが差していた。

莉音の姿を見るなり、涼介は動揺して身を起こし、下半身の異変を隠そうとした。

「お嬢様……どうしてここに?」

薄い唇をきゅっと引き結び、何気ない素振りで腕の傷痕を晒しながら言った。「村上社長に、何かされたか?すべて俺のせいだ……ちゃんと守れていれば、君はこんな目に……」

いつもなら、この言葉を聞いた瞬間、莉音は泣きそうになり、すぐ彼のもとへ駆け寄って謝っていた。

三年前、街でヤクザに絡まれたとき、涼介は彼女を守るために十数人の刃物を持った男たちに襲われ、血まみれになった。

そのときでさえ、眉ひとつ動かさなかった彼を、彼女は涙ながらに押しのけ、唯一の銃を彼の手に握らせた。

怖がりで泣き虫な少女が、震える声で唇にキスを落とし、精一杯の力で言った。「涼介、私のことはいいから、早く逃げて……」

夜の闇の中で、莉音の姿は紙のように薄くて脆かった。それでも彼女は必死に歯を食いしばり、出口を塞ぎ、彼に向かって叫んだ。「早く行って!」

後に、涼介は一晩中手術台にいた。

その夜、莉音は一人で街を彷徨い、寺の石段を一歩一歩、額を地につけながら登り、彼の無事を祈る数珠を手に入れた。

だが今、傷だらけの彼を前にしても、莉音はひと言も発しなかった。

青ざめた彼女の顔に、涼介は一瞬驚きを隠せなかった。

「村上家の人間に、虐待されたのか?」

そっと手を伸ばす彼に、莉音はびくりと震え、まるで怯えた子鹿のように床に崩れ落ちた。

あの手が、ついさっきどんなことをしていたかを思い出しただけで、吐き気がこみ上げた。

彼女の異常な反応に、涼介は思わず眉をひそめた。「今日の君……どうしたんだ?」

返事はなかった。彼女はじっと彼の何もかかっていない首元を見つめていた。

「……お守りは?」

そのお守りは、以前莉音が冗談半分、命令半分で「絶対に肌身離さないで」と言って持たせたものだった。

涼介はそれを黒い紐に通し、五年間ずっと身につけていた。

だが今、莉音には、そのお守りがどこにあるか分かっていた。

彼は目を見開き、しばらく黙っていたが、ようやくかすれた声で答えた。「村上社長の部下に、奪われたんだ」

彼女が怒ると思って、必死に弁解しようとした。

だが莉音は、ただ小さく頷くと、踵を返して部屋を出て行った。

涼介は後を追い、当然のように運転席に座り、彼女のシートベルトを丁寧に締めた。

道中、彼は何度も話しかけようとしたが、彼女は目を閉じたまま、視線すら与えなかった。

村上家の邸宅に到着し、車がゆっくりと止まった。

車を降りようとしたその時、莉音のヒールが折れ、バランスを崩して倒れそうになった。

地面に触れる寸前、涼介が飛び込んで彼女を抱きとめた。

懐かしい香りが、瞬く間に彼女を包み込んだ。

心臓に長い針が突き刺さったような痛みで、反抗する力さえ失われた。

「……降ろして」冷たい声が響いた。

だが、涼介はそれに従わず、彼女を抱えたまま堂々と家に入っていった。

次の瞬間、甘ったるい声が響いた。

玲乃がソファにもたれ、レースのナイトウェアから曲線美をあらわにし、にこりと笑って言った。「莉音は、怪我でもしたの?」

その声を聞いた途端、莉音は涼介の腕がピクリと固まったことを気づいた。彼は慌てて莉音を降ろし、三歩後ずさりして彼女の背後に立ち、ボティガードとして彼女との距離を保った。

だが玲乃が現れたその瞬間から、彼の目線は彼女から離れていなかった。

玲乃は心配そうに莉音に近づき、「怪我してるなら言ってくれればよかったのに。家庭医に診せようか?」

莉音は眉をひそめ、無言で身をかわした。

そのすれ違いざま、玲乃が小指で涼介の手のひらをくすぐるのが、目に入った。

ただそれだけで、彼の耳まで赤くなっていた。

「涼介さん、顔まで赤いよ?熱でもあるの?」

無邪気に目を見開いて、つま先立ちで彼の額に額を当てた。「……うわ、熱い」

涼介は喉を鳴らし、逃げるように背を向けた。

莉音は、下半身を押さえて去っていく彼の背中を見ながら、口元に冷笑を浮かべた。

浴室を通りかかると、水音の中に、抑えたうめき声が混じっているのが聞こえた。

彼女は静かに立ち止まり、浴室のドアをノックした。「十分後、晩餐会に一緒に来て」

湧仁の婚約者になってから、父は彼女に次々とパーティーの招待状を与えてきた。

江原家の名のもと、父も彼女の存在を「娘」として認めざるを得なかったのだ。

彼女は返事を待たず、自室へと向かった。

だと言っても、村上家に彼女の部屋などなかった。

彼女の父は初めから、彼女を「娘」として認めるつもりなどなかったのだ。

目の見えない江原家御曹司と結婚させるために彼女を呼び戻したというのに、与えられたのは物置を改造した簡素な寝室だった。

村上家では、たとえ使用人でさえ、彼女よりもずっと良い部屋を与えられていた。

空っぽのクローゼットを前に、莉音は唇をぎゅっと噛み締めた。

「そうだ、忘れるところだったわ。父が言ってたの。あなたの代わりにパーティー用のドレスを買ってあげてって」

いつの間にか現れた玲乃が、にっこりと微笑んで立っていた。

「私のセンス、妹の目にもかなうかしら?」

その瞳にはあからさまな嘲りが滲んでいた。「だって涼介さんも、あなたのために私が選んであげたボディーガードじゃない?」

莉音は一切反応を見せず、顔を冷たく背けた。「ドレスなら自分で買うわ」

玲乃が選んだものなんて、汚いとしか思えなかった。

玲乃は一瞬だけ動揺し、しかしすぐに涙を滲ませた瞳で訴えかけるように言った。

「莉音、あなたが私を嫌っているのはわかってるわ。でも私は、あなたが私の母を怒らせて死なせたことだって責めてないのよ?ただ、お父さんを喜ばせたかっただけなのに。どうして少しも優しくしてくれないの?」

「あなたみたいな人間が江原家に嫁げるなんて、何世代にもわたる福徳の賜物よ」

二つ目の言葉は、彼女の耳元にぴたりと顔を寄せ、囁くように吐き捨てられた。

そのあまりに近い距離に、莉音は全身が汗ばんでくるのを感じ、反射的に相手を押しのけた。「触らないで!」

その瞬間、玲乃の顔に一瞬笑みがよぎり、次の瞬間には取り乱したように悲鳴を上げながら、莉音の手を握ったまま階段の方へと後退していった。

「莉音、どうしてそんなひどいことをするの!」

そう叫んだ彼女は、突然手を離し、まるで紙切れのようにふわりと階段から転げ落ちていった。

階段下に叩きつけられた彼女の額は、鈍い音と共に床に激突し、真っ赤な血が一気に広がっていった。

ちょうどその時、慌てて戻ってきた彼女たちの父と、バスルームから飛び出してきた涼介が、その惨状を目にして目を見開いた。

二人はほぼ同時に、血まみれの玲乃に向かって、絶叫とともに駆け寄っていった。

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