飲み会の席で、ゲームに負けた彼氏・桝谷辰弥(ますたに たつや)が罰ゲームを受けることになった。周りの連中が、私の親友・小野村瑠璃(おのむら るり)の長所を10個挙げろと囃し立てた。辰弥はほとんど迷うことなく口を開いた。「綺麗で、明るくて、スタイルが良くて、甘え上手。よく笑うし、気が利くし、自立してて、センスもいい。それに……人を楽しませるのが本当にうまい」次のターンでも辰弥がまた負けてしまい、瑠璃はくすっと笑いながら尋ねた。「じゃあ、今度は知佳の長所を言ってみて」辰弥は私・峯山知佳(みねやま ちか)に視線を向け、数秒ほど言葉を詰まらせた。そして最後に出てきたのは、たった一言だ。「物分かりがいい」誰かが苦笑いを浮かべながら、助け船を出した。「他には?」辰弥は眉をひそめ、本気で長考し始めた。けれど、何も言い出せなかった。気まずい静寂の中で、私はふとひどく疲れを感じた。辰弥と付き合って7年、もうすぐ結婚する予定だった。なのに、あれほど真剣に考え込んで、私から見つけ出せた長所が「物分かりがいい」だけだなんて。もう二度と、物分かりのいいフリなんてしてあげない。席を立とうとした瞬間、また誰かがテーブルを叩いて囃し立てた。「待ってよ、知佳ちゃん、ラスト一回!」今度は辰弥と瑠璃が並んでビリ。「最後だから、罰ゲームは一番面白いやつにしよう。LINEのトーク数が一番多い相手は誰か、みんなに教えて」瑠璃は微笑みながら、スマホをテーブルの中央に置いた。「いいよ、別に見られて困るものなんてないし」けれど辰弥がトーク数の集計結果を見せた瞬間、個室の空気が一瞬で凍りついた。一番多かった相手は、私ではない。瑠璃だ。誰かが気まずそうに、愛想笑いを浮かべた。「あ、あれ……辰弥くんと瑠璃ちゃん、結構連絡取り合ってるんだね」瑠璃はパチパチと瞬きをし、軽やかな声で言った。「だって仕方ないじゃない。知佳って物分かりが良すぎて、何でもひとりで抱え込んじゃうでしょ?辰弥だってたまにはストレスが溜まるんだから、誰かに話を聞いてほしいときくらいあるじゃない」彼女はそう言いながら、わざとらしくトーク履歴をタップした。画面に浮かび上がったのは、辰弥が彼女に送ったメッセージ。【知佳がま
Baca selengkapnya