次に派生的な意味がいくつか載る。代表的なのは俗語的な「rip off=だます、ぼったくる」の用法や、句動詞の'b rip up / rip off / rip into'などの句に関する説明だ。これらは意味の変化を示すために元の「裂く」というイメージからどのように比喩的に派生したかが注記されることが多い。また、コンピュータ関連語としての「(CDを)リッピングする/デジタルコピーする」という用法を別項目で扱い、カタカナ表記の'リッピング'や動詞化の説明を付ける辞書もある。
さらに、頭字語としての'R.I.P.'('Rest in Peace')の項目を設け、墓碑銘や追悼の文脈での使用を説明する編集方針も一般的だ。名詞としての'rip'(裂け目、損傷、海流の急流=rip current)を別に載せる辞書も多い。総じて言えば、日本の辞書編集者は語義の系統を重視し、使用例・語源注・レジスターを組み合わせて読者が場面に応じた使い分けを理解できるよう配慮していると感じる。
チャットや掲示板でよく見かけるのは、表記のちょっとした違いで感情の温度が変わるという点だ。R.I.P.は歴史的にはラテン語の'requiescat in pace'に由来して、墓碑にも刻まれるフォーマルな表現だと私は理解している。ゲームコミュニティではキャラクターの大きな死やコミュニティ・メンバーの訃報、あるいは敬意を示す場面で使われることが多く、点が入ることで儀礼的なニュアンスが強くなる。
SNSのタイムラインで 'rip' を見るたびに、言葉の使われ方が一瞬で変化するのに気づく。最初は本当に弔意を表すための短縮形として広まったものが、今では用途が多層化しているのが面白い。たとえば、亡くなった人やペットに対しては今も真剣に使われる一方で、作品のキャラが「退場」したときにファンが気軽に呟く反応にもなっている。表現としては「RIP [名前]」や「rip to [出来事]」の形が定着していて、ハッシュタグ化もされやすい。
同時に、誇張表現としての使い方も定着している。ゲームで大敗したり、データが飛んだりしたときに「my save file? rip」と書くような、半分冗談めいた同情の投げかけだ。ここでは大文字の「RIP」と小文字の「rip」でトーンが変わることも多く、大文字はよりフォーマル/強調、小文字はカジュアルな嘆きや皮肉を示すことが多いと感じる。絵文字(たとえばドクロや墓の絵文字)を添えて感情を強めるのもよく見るパターンだ。
プラットフォームごとのニュアンスもある。TwitterやXでは速報的な弔意やリアクションが多く、TikTokやInstagramでは映像に合わせたミーム的使い方が増える。Discordや掲示板だと内輪ネタ化して「rip in chat」みたいなスラングが生まれる。自分は時々、冗談と本心の境界線が曖昧になる場面を見て、言葉の軽さと優しさが混ざっているなと感じることがある。