ふとした瞬間に耳に残るディスコ調のビートで、雨の歌詞が違う顔を見せることがある。実例を挙げると、'I Can't Stand the Rain'のカバーで一世を風靡したのは' Eruption'だ。オリジナルはAnn Peeblesのソウル曲だが、Eruptionは1978年にディスコ寄りのアレンジでヒットさせ、ダンスフロアとラジオの両方で強い印象を残した。
僕はこのカバーを初めて聴いたとき、原曲の湿った悲しみがビートに転換されるのが面白くて仕方なかった。歌詞の「雨」に込められた虚しさや孤独が、四つ打ちのリズムによって逆に祝祭的に聞こえる瞬間がある。原曲の情緒を尊重しつつ大胆に色を変えた好例として、雨モチーフのカバーを語るときにまず名前が上がる存在だと感じている。
『帰ろうかもう帰ろうよ』のカバー曲で特に印象深いのは、ヨルシカのバージョンです。彼らの独特の叙情的なアレンジが原曲の寂しさをより深く引き出しています。ヴォーカルの透き通るような声質とピアノのシンプルな伴奏が、歌詞の持つ「帰りたいけど帰れない」という複雑な感情を鮮明に表現しています。
また、BUMP OF CHICKENがライブで披露したアコースティックバージョンも素晴らしい。原曲のロックサウンドを剥ぎ取ったことで、歌詞の本質が浮かび上がるような演奏でした。特に「もう帰ろうよ」というフレーズの繰り返し部分での声の震えが、聴く者の胸に刺さります。