背景の美しさとは裏腹に、二人の心の距離が物理的に近づきながらも、もう過去には戻れないという現実が突きつけられる。あの無音に近い静けさの中、観客は自分自身の「取り返せない何か」を想起せずにはいられない。監督の新海誠が得意とする光と影のコントラストが、このシーンの情感をさらに深めている。
m 特別な演出や派手な台詞はないのに、なぜか胸が締め付けられるような感覚が残る。これこそが映像表現の力だろう。
『秒速5センチメートル』の終盤、貴樹と明里がすれ違うシーンは胸を締め付けられる。電車のドアが閉まる瞬間、二人の間に流れた時間と距離を思うと、言葉にならない喪失感が押し寄せる。新海誠独特の光と影のコントラストが、儚さを際立たせている。
このシーンを初めて観た時、自分の中にあった『取り返せない何か』を思い出した。アニメーションの力で、愁いがこんなにも美しく表現できるのかと圧倒された。音楽の『One more time, One more chance』がさらに情感を深め、何度見ても涙腺が緩む。