翻訳版の流通を追っていると、海外でどの言語が読まれているかは地域ごとにかなり差が出るのが面白い。私は市場データや読者の声を合わせて見ることが多いのだけど、まず英語版が最も幅広く読まれているのは間違いない。北米や欧州、オセアニアでは英語翻訳が主流で、流通量もレビュー数も圧倒的だ。
南米ではスペイン語版とポルトガル語版(特にブラジル)が強く、コミュニティ翻訳や二次創作も活発だと感じている。アジアでは中国語(簡体・繁体)、韓国語、日本語からの翻訳の橋渡しが多く、タイ語やベトナム語、インドネシア語の読者も増えている。
また、ロシア語版やトルコ語版、アラビア語版のように文脈に合わせたローカライズが功を奏している国もあって、言語は単なる直訳以上に文化的つながりを作る役割を果たしている。古典小説の翻訳事情を比較する際に参考にしているのは『The Count of Monte Cristo』の各国版の扱い方で、翻訳の質と流通チャネルが読まれ方を大きく左右するのを何度も見てきた。