翻訳というのは単なる言葉の置き換えではなく、文化の橋渡しだと思う。'The Color Purple'の英語版と日本語版を比べると、特にアフリカ系アメリカ人の方言の扱いが顕著に違う。英語版では深みのある黒人英語が使われているが、日本語版では標準語に近い表現に変換されている。
物語の核心は変わらないものの、セリーノの手紙の文体など、原文のリズムを完全に再現するのは難しい。翻訳者が苦労した跡が随所に見える。日本語版は読みやすさを重視しているが、原作の言語的ニュアンスを味わいたいなら英語版がおすすめだ。特に音楽的な言葉の響きは翻訳で失われがち。