名前の由来を考えるとき、まず歴史的な言い回しから入るのが面白いと思う。18世紀後半にはすでに「to grin like a Cheshire cat(チェシャ猫のようににやりとする)」という英語表現が存在していて、ルイス・キャロルが『Alice's Adventures in Wonderland』でその名を取り入れたと考えられている。この表現がどこから来たのかという話は諸説あって、私はその多様さに惹かれる。
一つは地名説で、チェシャー(Cheshire)という地方名に由来するというものだ。そこではチーズ作りが盛んで“チーズの形”や“にっこりした顔”が結びついたという民間説が伝わっている。もう一つは看板説で、村や宿の看板に描かれた猫の図柄が人々の記憶に残り、ことわざ化したという説明もある。どれも確証はないけれど、言葉が生活や風習と結びついて変化する様子が感じられて面白い。
作品内でのチェシャ猫は、キャロルのユーモアと皮肉が反映された存在だと受け止めている。名前自体が既存のフレーズを借用していることで、読者に馴染み深さと奇妙さを同時に与える。そういう二面性がこの猫の魅力の核になっているように思える。
チェシャ猫フィギュア界でよく見かけるのは、海外のビニールトイと国内のプライズ系の両極だ。海外の代表格としてはFunkoの'Pop!'ラインがまず頭に浮かぶ。頭でっかちのデフォルメが特徴で、色違いや表情違いが多くリリースされるので集めやすく流通量も多い。もう一つ、ゲームや映画の影響が強いのがディズニー版のチェシャ猫で、特に'Alice in Wonderland'をモチーフにしたライセンス品は市場で強く見られる。
日本側だと、プライズフィギュアやQ posketのようなデフォルメ系が人気だ。価格帯が手頃でサイズも揃いやすく、棚に並べたときの統一感が出るのが魅力。自分は顔のニュアンスや塗装の味が気になるので、同じキャラでもメーカーごとの違いをじっくり比べて買う派だ。結果としてFunkoの存在感、そしてプライズ系のコストパフォーマンス、この二本柱がチェシャ猫関連で最も目につく印象だ。集める楽しさは価格帯の幅が広いことにあると思う。