胸に焼き付いて離れないのは、あのラストの場面だ。終盤で見せる大胆な選択と解放の瞬間は、観たあともしばらく体の内側が震えるような余韻を残した。
あのシーンでは、過去に囚われていた人物が一つの行動で世界の見え方を変えてしまう。音楽が流れ、長年の閉塞がいっきにほどける演出は、感情をじわじわと高めてから一気に解き放つ作りで、個人的には『Eternal Sunshine of the Spotless Mind』の終盤を観たときの胸の痛みと救いが同時に来る感じに近いと思った。
視覚的にも象徴的で、単なる悲しみや喜びを超えた「人生の再出発」を提示する。あの一瞬で主人公の物語が完結すると同時に、新しい物語が始まる余白を与えてくれる。観終わったあと家路につく足取りが少し軽くなったのを覚えている。