今川泰宏監督の作風には、日本の伝統的な美意識が随所に織り込まれている。例えば『ガサラキ』では能楽の美学をSFメカニクスと融合させ、動と静のコントラストで緊張感を生み出している。
特に印象的なのは、間(ま)の使い方だ。長回しのカメラワークと突然の疾走シーンが交互に現れるリズムは、まるで能の『序破急』を想起させる。現代アニメーションでこれほどまでに和の時間感覚を表現した例は珍しい。
彼の作品には、禅の『無常観』も色濃く反映されている。『GUNDAM THE ORIGIN』で描かれた戦闘シーンでさえ、刹那的な輝きと儚さが同居しているのはその証左だろう。