太宰文学の英訳で最近注目しているのは、『Run, Melos! and Other Stories』のような短編集です。これは太宰の多面性を知るのに最適で、『走れメロス』の力強い文体から『女生徒』の繊細な描写まで、翻訳者によって全く違う印象を受けるから面白い。特に現代の翻訳家による新訳は、古い翻訳に比べてセリフの自然さが格段に向上しています。作品ごとに最適な翻訳者が違うと実感するので、単一の『ベスト翻訳』を選ぶよりも、読み比べる楽しみを提案したいですね。
Jay Rubinの翻訳は、芥川の鋭い心理描写を英語で再現するのに秀でている。特に『羅生門』や『鼻』の翻訳は、原文の不気味な雰囲気を保ちつつ、英語圏の読者にも自然に響く表現を追求している。
個人的に気に入っているのは、登場人物の内面の葛藤を訳す際の繊細なニュアンスの扱い方だ。例えば『藪の中』の多声的な構造を、英語の文体の違いで巧みに表現している。古典的な英訳に比べ、現代的なリズムを持ちつつも、作品の時代背景を損なわないバランス感覚が光る。