夏のある記憶のように残る作品に、'Call Me by Your Name'がある。映像が淡く、人間関係の移ろいがゆっくりと描かれる中で、登場人物の一人が異性とも同性とも関係を持つ可能性を含んでいる描写が話題になった。自分はその曖昧さに強く心を動かされた。映画は若さと欲望、そして別れを繊細に扱い、性愛の固定化をあえて避けることで登場人物の選択を深く感じさせる。
胸を打たれた作品が一つある。
しばらく頭から離れなかったのは、'Orange Is the New Black'の人間描写だ。刑務所という極端な環境を舞台にしているにもかかわらず、性愛の流動性やグレーゾーンを無理にラベル化せずに提示している点が素晴らしいと感じた。登場人物それぞれが過去や文化、権力構造の影響を受けながら愛を選んだり逃げたりする様を見て、僕は「バイセクシュアルってこういうことだ」と納得する瞬間が何度もあった。
特にセクシュアリティが人格の全部ではないこと、だが切り離して語れないことが丁寧に扱われている。完璧ではない描写や時に陥るステレオタイプにも気づくけれど、それでも登場人物たちの苦悩や嬉しさが生々しく伝わってきて、僕の中では最も現実味のある提示のひとつになっている。