ドラマで近所関係や表面的な幸福の裏側を描いたものにハマることがあって、その文脈でおすすめしたいのが『Big Little Lies』だ。視点が複数あり、それぞれの人物が抱える不満や嫉妬、羨望が交差していく構造が非常に巧妙で、僕はその緊張感に強く惹かれた。 登場人物の生活は外から見ると羨ましく見えるかもしれないが、内側では小さな嘘や我慢が積み重なっている。脚本のテンポと心理描写の丁寧さが光り、シーズンを追うごとに登場人物たちの本音が剥き出しになっていく。軽いスキャンダル話では終わらず、友情や罪悪感、責任といったテーマが重層的に展開されるため、ただの“隣の芝生”ものとは一線を画していると感じる。
古い映画の棚を漁っていたとき、『The Grass Is Greener』というタイトルが目に入って、つい手に取ってしまったことがある。物語は表面的には軽いロマンティック・コメディの匂いを漂わせるけれど、実際には他人の生活を羨む心の滑稽さと苦さをうまく描いている作品だ。見始めた瞬間から笑える場面が続く一方で、登場人物たちの微妙な嫉妬心や自己正当化がじわじわ効いてくる。
古典小説を映像化した作品を観ると、他人の富や幸福へ抱く希求が時代を超えて共通のテーマであることを感じることが多い。『The Great Gatsby』は、まさにそうした欲望と幻想の物語で、主人公の視点を通して“隣の芝生”がどれほど醜く、あるいは美しく見えるかを描いている。若い頃に原作を読んだ僕は、映画版を観てその象徴性とビジュアルの強烈さに圧倒された。 映像はしばしば装飾過多に見えるが、それが逆に主人公の空虚な憧憬を強調していると感じた。他人の成功や恋を追い求める行為が、本人をどこへ導くのか――この問いを映画は鮮やかに提示する。読書経験があるとより刺さるが、初見でも情感豊かな演出と音楽で気持ちを掴まれるはずだ。
このことわざのルーツを辿ると、中世ヨーロッパの農耕社会にたどり着きます。当時の農民たちは、自分の土地の芝生が枯れているのを見て、隣の家の緑豊かな庭を羨ましく思ったのが始まりと言われています。
興味深いのは、英語圏では『The grass is always greener on the other side』として広まっていること。文化を超えて人間の心理に共通する部分を表しているんですね。実際に芝生の色の違いを比べていたわけではなく、他人の所有物をより良く見てしまう心理現象を巧みに表現したのだと思います。