Chapter: 14「みんな集まれ、これからお前たちのデビューの話をするぞ」ダンスレッスンをしてる最中に智さんと竜生さんがやって来て、練習は中断された。「これが、今後の日程だよ」竜生さんが僕たち全員に資料を手渡してくれる。「そこに書いてある通り、バックダンサーの正式なデビューは来月から始まる俺たちAGIAのツアー初日に決まった」智さんが僕たち全員を見てハッキリと告げる。「コンサートの最中にお前たちを紹介する時間も作ってあるからな」資料を見ればコンサートの大体のタイムスケジュールが書いてあり、その中にバックダンサーである僕たちの時間もちゃんと作られていた。「お前たちバックダンサーは飾りじゃない。お前たちがいるから俺たちがもっと輝くことができる。お前たちは後ろで俺たちを支えてくれる存在だ」「そうだね、君たちはもうAGIAの仲間だからね」智さんと竜生さんの言葉についにこの時が来たのかって思った。「何か質問はあるか?」「これからもっと練習に時間を取られるから今のうちだよ」2人が質問するなら今のうちだと言ってくれる。不安がないわけじゃないけど……これは僕個人の問題だからここで聞くわけにはいかないよね。僕の中にある一つの懸念。「あー、そうだ。夏葵、お前に後で説明したいことがあるから帰ったら起きてろよ」なんて、智さんに名指しされちゃった。「はい、わかりました」何を言われるのかすっごく不安だけど、今はこっちの事に集中しなきゃね。「あの、俺たちの紹介のときは何かやるんですか?」バックダンサーのリーダーである山瀬さんが声を上げた。「それをバックダンサー同士で考えてほしい。名前の紹介はする、そこで得意技を披露してもいいし…」「個人がわかるように派手に演出してもいいし」智さんと竜生さんがそう、提案をしてくれる。「まぁ、約一名それに抵抗があるやつもいるけどな」なんて、僕の方を見てニヤリと笑う意地悪な智さんがいた。「そうだね、夏葵は抵抗ありそうだね」なんて竜生さんまでも言う。でもそれは否定できない。幼い頃のトラウマがあるから…「それって、俺たちが好きなようにやっていいってことですか?」早川さんが聞いている。他の2人も興味津々に智さんたちを見ていた。「おう、それはお前たちの自由だ。お前たちのための時間だからな」「その時間はバックダンサーである君たち
Last Updated: 2026-05-15
Chapter: 13絶賛、僕は正座をして智さんに怒られ中。原因は…聞かないでください…「お前、いくら何でもありえないだろ!」 智さんの怒鳴り声が部屋中に響き渡る。 「ごめんなさい」 僕は小さくなりながら何度目かの謝罪を口にする。 「一体どうやって生活してきたんだお前は!ここまで何もできないなんて俺は思わなかったぞ」 智さんが呆れた顔をする。 「洗濯と掃除は出来ますけど……」 僕はさらに小さな声で付け加えた。はぁって智さんが大げさにため息をついた。 「確かに、洗濯と掃除は出来てるな」 洗濯と掃除だけは強調されて言われる。 「うぅぅ…」 そう、今、まさに僕が怒られているのはそれ以外のことだったりする。 「食生活が全滅って…お前は今までどうやって生活してきたんだ!」 またしても智さんの怒号が響く。 「ごめんなさぁ~い!!」 僕は半泣きになりながら謝った。ことの発端は、数日前、智さんたちAGIAのメンバーは仕事の為に遠征していった。その間、僕たちダンサー組はスタジオでデビューに向けての練習をしていた。智さんの家で下宿させてもらってる僕は、智さんが遠征に行く前日に、キッチンの使い方とかをあれこれ教わってから留守番を頼まれていた。留守番は特に問題はなかったんだ。そう、問題はない。じゃぁ、何が問題だったのかというと…「どう考えても、お前はまともに食べてないよな?」 そう、僕がちゃんとした食事をとってないことに智さんが激怒しているのだ。 「えっと、ゼリーとかは食べてますけど…」 僕はおどおどと答えた。 「それは食事とはいえないだろが!!」 智さんの声がさらに大きくなった。 「ごめんなさい!!」 反射的に僕はまた謝ってしまう。 「夏葵、お前ずっと一人暮らしだったよな?まさかとは思うけど、ずっとこんな生活をしてたとか言わないだろうな?」 智さんの鋭い視線が僕を射抜く。 「ひっ」 智さんの顔が怖い。本当のことを言ったらますます怒られそうな雰囲気だ。 「どうなんだ?」 少しだけトーンが低くなる智さんの声。 「えっと…こんな感じ…です…」 智さんが怖くて、最後は消えそうなほど小さくなった。 「このバカやろ!」 智さんの拳骨が容赦なく頭に振り下ろされた。 「いった~い!!」 頭を抱えてうずくまる僕の前で、智さんは腕を組んで溜息をついた。
Last Updated: 2026-02-02
Chapter: 12ー次の日ー練習が終わった後で、智さんたちAGIAのメンバーと、事務所の男の人、畠山さんと一緒に僕が借りているアパートに来ていた。智さんが気を利かせて、畠山さんに頼んで、事務所の車を出してもらったんだ。「てか、夏葵お前、荷物少なくないか?」 僕の部屋に入って開口一番に言われた言葉。 「えっと、多分、少ないと思います。荷物を持ってきてないんで…」 そう、僕の荷物はもともと他の場所にあるのだ。ここに引っ越ししてくる前のアパートって意味じゃなくて、元々の僕の住んでいる実家にという意味だ。実家といっても海外なので、すぐに取りに行くということは無理だけどさ。 「はっ? 持ってきてないって?」 「引っ越す前の家にってこと?」 僕の言葉に竜生さんたちが驚いた顔をする。 「あーっ、違います。前に住んでた場所の荷物は全部ここにありますよ。それ以外の荷物はここには置いてないってだけです」 自分のことを誰かに話してるわけじゃないので、ここ以外の場所に荷物があると言えばますます驚いた顔になる。 「やっぱり、業者を呼ぶ必要はなかったみたいだな。なら、さっさと運んでここを片付けて引き渡せるようにしよう」 なんて、智さんが言うから 「りょうか~い」 「だな」 なんてみんなが返事をして、さっさと数少ない僕の荷物を運び出していった。えっと、僕がやらなきゃいけないのに、僕が手を出す前にAGIAのみんなが動いちゃって僕はただそこにいるだけの人状態だった。「よし、荷物は出したから掃除するぞ」 総指揮官になってる智さんの掛け声でまたしてもみんなが動いちゃって僕が手を出す暇がない。でもただ突っ立てるわけじゃないよ僕も。ちゃんと掃除はしましたよ。智さんたちが来て、僕の家の荷物を出して、掃除が終わったの時間は2時間半ぐらいだった。あれ? もっとかかると思ったのに? 早いよみんな。「じゃぁ、この部屋の手続きは責任もって事務所の方でやってもらうってことで、ヤマさん、鍵は預けとくから事務所に戻ったらよろしく」 いつの間にか家の鍵を持っていた智さんが畠山さんと話してた。 「了解。樋口主任に渡してやってもらうよ」 「あの、すみません。僕の事なのにお願いしちゃって」 僕はそんな2人に謝った。だって悪いから…。 「いいってことよ。元をただせば事務所の責任なんだからな。よし、このま
Last Updated: 2025-10-10
Chapter: 11ダンスレッスンをしながら部屋探しって本当に大変だと思う。特に僕の場合は土地勘が全くないから、どこをどう探せばいいのか見当もつかない。だけど、探さないと困るからチラシとか雑誌とかを見ながらめぼしい場所を探してたんだ。自分なりに一生懸命探してたんだよ本当に。 「みんな集まれ、話がある」 ダンスレッスン中に先生がみんなを呼ぶ。僕たちは個人練習をしてる最中だったのをやめて先生の元へと集まればAGIAのみんなが来ていた。 「よし、集まったな。みんなに発表することがあるそうだ」 先生が言えば、智さんと竜生さんが前に出てくる。 「お前たちバックダンサーの発表兼お披露目の日程が決まったぞ」 智さんのその言葉に僕たちがざわつく。ついに決まったんだと…。 「バックダンサーをファンの子たちに紹介するのは3ヶ月後から始まる俺たちのコンサートになった」 竜生さんの言葉にますます騒がしくなる僕たち。 「静かに! まだ、コンサートの内容が決まってないから、ちゃんと決まるまではみんなは今まで通り練習に励んで欲しい」 「はい!」 智さんの言葉に僕たちは返事をした。 「よし、5分後にまた練習始めるからな」 「はい!」 先生の言葉に返事をして、僕たちはまた個人レッスンへと別れた。といっても、さっきの発表の後だからみんなで雑談をしていた。うん、みんな緊張してたんだよね。ついにAGIAのバックダンサーとして発表してもらえるんだって少しだけ騒いでた。この後、普通に練習が再開されて、僕たちはそっちに集中したんだ。だって、本番で失敗したら意味がないからさ。 僕は休憩中、一人で雑誌を見ながら部屋探しをしてた。だって、急いで探さないと時間がないんだ。期限は着々と迫って来てるんだ。だから、休憩中の間もこうして雑誌を見てめぼしいところを探してるんだ。以前の僕だったら住めればいいって感じで探してたけど、今はちょっと、やっぱりね、バックダンサーになるわけだから適当じゃダメかなって思ったんだ。 でも、この周辺の地理がわからないから中々決められないんだ。だからと言って他の人に相談っていうのもできなくて、結局ずっと一人で雑誌と睨めっこしてるんだよね。 無情にも退去期日が近づいてきた。そろそろ本当にどうにかしないとヤバいのに僕はまだ決められずにいた。 「夏葵?」 集中して雑誌を見ていた
Last Updated: 2025-08-17
Chapter: 10結局、この日の僕はせっかく熱が下がったのにもかかわらず、智さんたちAGIAの前で大泣きをしてしまい、また熱がぶり返したということで、退院は許可してもらったけど、これ以上無理はさせれないということで、自宅待機ということになった。勿論、ずっと付き添ってくれていたAGIAのみんなは仕事があるので、僕を家まで送ってから各々の仕事へと向かった。僕は次の日からまたダンスレッスンに参加することになった。「おっ、ちゃんと出てこれたな」 ダンススタジオに入ってきたAGIAのメンバーが僕の姿を見つけてホッとした表情を浮かべ、智さんが安心したようにいった。 「はい、ご心配とご迷惑をおかけしました。昨日1日ゆっくりと休んだんですっかり良くなりました。皆さんありがとうございました」 僕はAGIAのみんなに頭を下げた。勿論、ダンスメンバーや先生たちにはAGIAのみんなが来る前に謝っておいたんだ。 「俺は自分でやりたいように動いただけだから迷惑だとは思ってない」 って、智さんにはまた言われちゃったけどね。この日から僕の練習は本格的に開始された。AGIAのメンバーを交えて、他のメンバーとのフォーメーションとかも練習して、すべての動作を頭と身体に叩き込んだ。大丈夫、まだ鈍ってはないし、記憶力もあの日のままだ。まだ僕は大丈夫、ちゃんと踊れる。僕は智さんたちAGIAのメンバーに必要だといわれたダンスをもっと磨くために、彼らの後ろでサイコーのパフォーマンスができるように一人での練習も本格的に開始した。 僕たちのお披露目会はまだまだ先だから、今は練習をして、AGIAの曲とダンスを覚えるんだ。 AGIAの曲とダンスは覚えてるけど、あれはAGIAのメンバーだけのダンスだから、ダンスメンバーが入ったダンスはまだまだ練習しないとダメなんだ。ダンスメンバーたちとの練習と個人練習を繰り返す日々を1ヶ月ぐらい過ごしたころ、とある連絡が来て僕は愕然としてしまった。それはアパートの退去連絡。行き成りすぎるし、意味が分からなくて、慌てて事務所に問い合わせた。今住んでるアパートはこっちに来るときに事務所の人が手続してくれたやつだもん。「ごめんなさい、夏葵くん。確認をしたら、事務処理をした子のミスで2ヶ月での契約になってたみたいなの。急いで再契約ができないか問い合わせてみたんだけど、ダメだったの。で
Last Updated: 2025-08-05
Chapter: 09このまま幸せに浸っていたいとか、ずっと握ってたいとか思ったけど、僕は起きたとアピールするように、そっと弱い力で握られている手を握り返してみた。「んっ」ピクリと動きゆっくりと顔を上げて僕を見た。そして 「おはよう、気分はどうだ?」 小さく笑った。テレビで見ていたような笑みじゃない笑みに僕の心臓がドキリとはねた。 「おはようございます。大分、落ち着いてます」 うん、これは嘘じゃない。 「熱はどうだ?」 「えっ? ちょっ」 そんなこと言いながら智さんの額が僕の額に当てられた。 目の前に智さんのカッコいい顔があって…。心臓が止まっちゃう…。 「うん、熱も大丈夫そうだな」 クシャリと僕の髪を撫でて笑う。 「ご心配とご迷惑をおかけしました。ホントに…最初から僕は智さんに迷惑ばっかりかけてますね」 自分で言って自分の胸にグサリと言葉が突き刺さる。 「俺は別に迷惑だとか思ってない。そもそも、俺は自分がしたいと思ったことをそのまま実行してるだけだ。こうやってお前の傍にいて世話をするのもな」 まるで余計なことは考えるなと言わんばかりにまた頭を撫でられる。 「でも…僕は…」 僕は自分が思っている以上に過去のことを拘ってるみたいだ。 「なぁ、夏葵。お前が子供の頃に負った傷はお前にしかその傷の痛みはわからない。だから残念だが俺にはお前のその傷の痛みを知ることができない。だけど、そんなお前にハッキリと言えることがある」 智さんが静かにいう言葉を聞き頷く。 「俺はお前のダンスが好きだ。あのオーディションの時の踊りを見て、お前のダンスに惚れた。だから俺はお前にこのままダンスを続けてほしい。俺たちの、イヤ、俺の後ろで踊ってほしい。早瀬夏葵の本当のダンスをもっと見せてほしい。ってまぁ、これは俺のわがままだけどな」 ハッキリと言い切る智さんの言葉に自然と涙が零れ落ちた。ダンスが好きだと言われたこと、自分が必要だと言われたこと、その言葉が僕の中に溶けていく。 「泣くなよ。俺、お前を泣かせてばっかじゃん」 なんて言いながら涙を流す僕を抱きしめてくれる。まるであやすようにポンポンと背中を叩かれ、それが余計に涙を誘う。 「…っ…ごめ…僕…うれ…しぃ…ダン…ス…好き…で…」 「あぁ、もう我慢しなくていい。お前の実力を隠さずに見せつけてやればいい。それを誰も責めな
Last Updated: 2025-08-02
Chapter: 第45話4人で、大我の家に行ったら 「わ~い、大ちゃんとゆいちゃんだ~」 なんて言いながら劉くんが飛びついてきた。 「うわぁ、ちょ」 俺はそんな劉くんの勢いに負けて倒れそうになるけど 「劉、そのまま突っ込んできたらゆいがケガするぞ」 なんて言いながら大我に支えられて倒れることはなかった。 「ごめんなさ~い」 俺の脚に抱きついたまま劉くんが謝った。いや、うん。可愛いなぁ。 「大我~、劉くんが可愛ぃぃ」 俺はそんなことを言いながら劉くんを抱きしめていた。 「はいはい。そんなことはいいから、早く中に行くよ」 そんな俺にこうちゃんが呆れながら中へ入っていく。その後ろをヒロさんがついていった。 「そんなことって言われちゃった」 ってポツリと呟いたら 「そんなことだろ。あの人にとって劉が可愛いのは当たり前だからな」 大我が笑いながら言ってきて、その言葉の意味を理解して 「そっか、そうだね。ん~、でも俺には劉くんが可愛い。大我の子もきっと劉くんみたいに可愛いのは間違いない!」 なんて、変な力説しちゃった。 「ゆいちゃんも可愛いよぉ」 なんて、劉くんが言ってくるから俺は劉くんの頭を撫でた。 「いつまでそこにいるの?いい加減にこっちに来なよ」 って、こうちゃんに呼ばれて、俺は劉くんを離して今度こそ、目的の場所へと向かった。劉くんを抱いたまま大我と一緒にみんながいる部屋の中に入ったらご飯の準備がしてあった。 「ただいま」 大我が普通に挨拶して自分の席に座っちゃったから、俺は劉くんをおろして悩んじゃった。 「おかえり、ゆいちゃんも座って」 って言われて 「あっ、はい。えっと…ただいま?」 って返事をして大我の隣に腰掛ければ 「おかえり。先にご飯食べましょう。話はそのあとね」 ゆきママのその言葉通り、家族団らんが始まった。 「どう?少しは落ち着いたゆいちゃん?」 ご飯を食べ終えてから2時間ぐらい経ってから、劉くん以外のメンバーで集まっていた。劉くんはもう寝てる。 「あ…少しは…」 落ち着いたと言えば落ち着いてるけど…完全ではないんだろうな…って自分で思った。 「一応、報告があるんだけど、大丈夫かしら大我」 俺ではなく大我に確認するなんてさすがだ。 「まぁ、なんとかなるから大丈夫。で?」 大我は平然と答えてる。うん、まぁ
Last Updated: 2026-06-04
Chapter: 第44話「んっ、んん、んーっ!」 なんて言いながら布団の中で伸び―って伸びたら笑われた。 「なんだよぉ」 文句を言いつつ声がした方を見たら大我じゃなくて、こうちゃんとヒロさんがいた。あれ?デジャブ?これ、前にもあった気が…なんて思いながらジッと二人を見てたら 「おはよう、ゆいちゃん」 「もう、夕方だけどな」 なんて、2人に言われてびっくりして飛び起きた。 「嘘!マジで?」 本当に自分でもびっくりだよ。 「ほら、見てごらん」 飛び起きた俺にこうちゃんが時計を見せてくれた。そこにはハッキリと午後4時の文字が浮かび上がってました。「うわぁ~!俺って寝すぎじゃん。あれ?大我は?」 自分が寝すぎてるのもビックリだけど、大我がいないことに気が付いた。 「委員長様は忙しくて…」 「取り締まりに、保護に…。相変わらず多忙だなあいつは…」 2人はそう説明してくれた。ってことは… 「大我が俺のために?」 この2人がここにいるってことはそういうことなんだろうな。 「うん、それもある」 「ゆいの体調も気になるから見てほしいって言われたから来た」 って苦笑気味に二人がいうから、あぁ、って自分で納得しちゃった。 「朝と夜が逆転してるって大我が言ってたから…」 自分ではそんなつもりなかったんだけどな。 「それだけ、ゆいちゃんにとってあれはショックだったんだよ」 「あの大我が怒るぐらいだからな」 2人の言葉に俺は苦笑を浮かべた。だって、大我がメチャメチャ怒ってるの気付いてたもん。表に出さないようにしてるけど、大我が怒ってるって傍にいてすっごくわかった。でも、嬉しかった。俺の為に行動してくれる大我には感謝しかない。本当に何時も助けられてるもん。「大我ってどれだけいないの?」 俺が気付かないうちに出ていったってことだから… 「お昼からずっと」 「4時間ぐらいはいない。それだけ、仕事が溜まってるってことだな」 2人が教えてくれて、また俺はビックリ。 「えっ…3時前に一回目が覚めて…そのまま寝ちゃって…今16時でしょ…一体俺ってどんだけ寝てんの???」 指折り数えながら思わず叫んじゃった。 「12時間ぐらいは寝てるね」 「それじゃぁ、朝と夜が逆転してもおかしくないな」 2人が呆れたように言ってくるから俺はますます苦笑することになった
Last Updated: 2026-05-15
Chapter: 第43話「んっ」 闇の中に落ちていた意識が戻ってきて、抱きしめられているのに気付いて俺はもっと自分から抱き着いた。その途端にもっと強い力で抱き寄せられた。 それが嬉しくて、もっと強く抱き着いた。そしたらクスって笑われちゃったよ。 「うーっ」 なんだかそれが悔しくて、一人でうなってたら、ますます笑われて、思わず顔を上げて睨んでやった。 「不細工になってる」 なんて言いながら、額に小さなキスが落とされた。 「なっ、なっ」 それがあまりにも突然で、自然な流れで行われてびっくりして変な声が出た。 「ゆいの目が腫れて不細工になってる。ちゃんと冷やしたんだけど、まだ腫れてるな」 そっと、大我の親指が目元を撫でる。 「んー、今回は本当に自分でもびっくりするぐらい涙腺崩壊して、大泣きしてたからなぁ」 「それだけ、唯斗の中では大きな傷になってたってことだからな」 大我の言葉に自然と苦笑が浮かぶ。だって、それは否定できない。中学から今まで大我に支えられてきたのは紛れもない事実だから。 それでも、不思議なことにあれだけ嫌な感情に包まれて、大泣きしたけれど、いつも以上にすっきりしてるし、気持ちが軽くなっている自分がいる。 いつもならもっと、落ちてるはずなのに…。 「唯斗の心のよりどころがちゃんとできたからだろ。もう一人じゃないっていう安心がゆいの心を軽くしてるんだよ。きっとな」 大我の言葉に「あー、そうかも」って納得しちゃった。今まで、大我が傍にいてくれるって、言葉や態度で示してくれてたけど、心のどこかで疑ってたんだ。大我も、大我の家族も、俺のことを捨てるかもしれないって…。疑心暗鬼になってる部分が心のどこかにあったんだ。 でも、それは俺の思い過ごしで…。大我の言葉も行動も全部、嘘偽りがなくて、大我は俺のことを常に優先に考えて、行動してくれていた。今回のことに関しても、今までのことにしても、俺が考えるよりも先に先にと手を打っていった。 俺よりも俺のことを知ってるこの男が常に傍にいてくれたから、俺はここまでこれたんだ。 「うん、やっぱり、俺は大我の愛情がなかったら死ぬ。大我に捨てられたら廃人になって死ぬな」 自分でブツブツ言いながら確信した。それだけ俺は大我に支えてもらってきたのだ。それこそ依存してると言われてもおかしくないぐらいには…。 「心配しなくて
Last Updated: 2026-04-05
Chapter: 第42話「んっ、あ、れ?」 目が覚めて、変な声が出た。ベッドの上でちゃんと服を着て寝てた。寝落ちする前の記憶がある分だけまたやっちゃったと思う。 「たい、が?」 身体を起こして、大我の姿を探せば、机に向かって作業をしてるのを見つけた。 「起きたか、身体は辛くないか?」 俺の嗄れた声で名前を呼んだけど、ちゃんと大我は拾ってくれたらしい。 「ん、だい、じょぉ、ぶ、ちょっと、声、出にくい、けど」 身体はそんなに辛くない。ちょっと、声が嗄れて出にくいだけだ。だからそれを俺は素直に伝えた。 「あー、まぁ、それは仕方がないな。ほら、これ飲んで少しは喉を潤せ」 大我は水の入ったペットボトルを渡してくれた。俺はそれを受け取り飲んだら、半分ぐらい飲んじゃった。 「お腹は空いてるのか?」 そう聞かれて「う~ん」って考え込んだ。空いてるような空いてないような?そんな微妙な感じだったんだ。 「その顔は微妙な感じなんだな」 考え込んでる俺の顔を見て大我が聞いてくるから俺は素直に頷いた。 「食パンがあるからそれでも食べるか?」 なんて聞いてくるけど、大我がただ食パンだけを出すはずがない。きっと軽く食べれるものを作るはずだ。だけど、俺は素直に頷いた。食パンだけでもいいから食べた方がいいかなって自分で思ったんだ。 「なら、トーストでも作るか。自分で動けるか?」 大我が立ちあがり聞いてくる。 「わかんない」 俺は返事をしてからベッドから立ち上がろうとして失敗した。足腰が笑ってる。 「自業自得だからなそれ」 半ば呆れながら大我は俺を抱き上げてリビングまで連れて行ってくれた。そしていつも座ってる場所に座らせてから、キッチンへと行った。うん、俺ってやっぱり大我に迷惑ばっかりかけてるな。なんて思いながらキッチンでゴソゴソ動く大我の背を眺めていた。「お待たせ。熱いから気をつけろよ」 そういいながら大我が俺の前にアツアツのピザトーストとコーヒーを置いてくれた。でも、トースト1枚分だけ。大我さんよくわかってますね。俺が本当に微妙だって。しかもちゃんと切れ目が入ってて残しても大丈夫なようにしてくれてある。 「いただきます」 俺は手を合わせてそれを食べることに専念した。「御馳走様でした」 俺は出してもらったトーストを全部食べ終えて溜め息をついた。全部は食べられないかもって
Last Updated: 2026-02-12
Chapter: 第41話「うっ、ふぅ、ぁ、ん、ぁ、やぁ、ん、ぁ」キスだけで、記憶がどっかに飛んじゃってた俺は気が付けば己の中に大我の熱い塊を招き入れていた。「や、なのか?」なんて言いながら意地悪く動く腰。「やぁ、ぁ、ダメっ、ぁ、ダメっ、ぁ」大我の背にしがみつき爪を立てる。「なら、やめる?」なんて、意地悪く耳元で囁かれる。熱い吐息交じりの声にぶるりと身体が震えた。ぞくりと腰にクル。だからギュって締め付けちゃったよ。「ん?ゆい、やめる?」なんて、また聞かれた。「やぁ、ぁ、ん、ぁ、やめちゃ、やぁ、ん、たい、がぁ、ぁ、」やめてほしいわけじゃない。嫌がってるわけじゃないってわかってるくせに意地悪だ。だから俺は腹いせに大我の背に爪を立てて肩に噛みついた。「っ、じゃぁ、このまま続ける?」噛みついた俺の頭を撫でながら聞いてくるから噛みついたままコクコクと何度も頷けば「じゃぁ、ちゃんと捕まってるんだぞ」なんて言いながら腰を掴まれるとズンッと勢いよく奥まで突き上げられた。「ぁ、ぁ、っ、ぁ、ぁぁ、たい、がぁ、ぁぁ」目の前がチカチカする。俺が一番感じるその場所を狙って大我が何度も突き上げてくるせいだ。「ぁ、ぁぁ、ん、ぁ、やぁ、ダメっ、ぁ、ぁぁ、ん」いつも以上に感じるその行為。心の奥底から神尾大我を欲してる自分がいる。もっと、もっと、もっと、もっと、欲しい、大我が、もっと欲しい「っ、クソッ」そんな呟きと共に唇が奪われた。繰り返すキスが気持ちよくて、絡め合う舌が熱くて、それでももっとして欲しくて俺は何度もキスを求めた。「んっ、ふぅ、ぁ、ん、ふぅ、ぁ、んん」止まらないんだ。自分で止められない。もっと、欲しい。「んっ、ふぅぁ、はっ、ぁ、はぁ」必要以上に大我を求めていたらバリってはがされた。「酸欠、キスはお預け」「ん、やぁ、もっと、ぁ」大我の言葉にイヤイヤと首を振り訴えれば「ダーメ。変わりにこっちで感じて」なんて、また最奥めがけてズンと突き上げられ首筋に吸い付かれた。「ぅぁ、ぁぁ、ん、ぁ、やぁ、らめ、それ、ダメ、ぁ、」イヤイヤと首を振れば「なんで?」首筋を舐めながら聞かれた。「やぁ、それ、ぁ、ん、ぁ、感じ、ぁ、すぎ、て、ぁ、波、きちゃ、ぁ、ぁ」さっきからお腹がキュンキュンしてるんだ。このままいいとこばっかり攻められたら波が来ちゃう。俺はもっと大我
Last Updated: 2026-01-12
Chapter: 第40話「んっ、ふぅ、ぁ、ん」繰り返すキスはいつにも増して甘くて気持ちがいい。「ゆい、と…好きだ」わざととぎって呼ばれる名がぞくりと腰にクル。「ん、ぁ、たい、がぁ、キスぅ、もっと、して」気持ちが高ぶったままの状態で、溢れたフェロモンはいつも以上に濃く強くなる。大我の眉間に皺が寄り、その双眸はとっくに色を変え、澄んだ碧色を煌めかせていた。俺が好きな色。この瞳の大我になら骨の髄まで喰らいつくされたいと思う。普段の大我でもいいんだけど、この色の大我の方がより一層強くそう思う。「キス、だけ?」頬にキスを落とし、耳元で囁かれる。それだけでゾクゾクしてくる。もう、すでに俺は腰砕け状態。ホントに、この男はなんでこんなにもカッコいんだ。「ん、ぁ、やぁ、キス、だけじゃ、足り、ない、ぁ」イヤイヤと首を振ればクスリと笑われる。「じゃぁ、気持ちいいこと一杯する?」なんて、笑いながら聞いてくる。「ん、ぁ、する、ぁ、たい、がぁ、キス、以外、もぉ、して、ぁ」大我に触れたい、触れられたい。キスがしたい。そんな欲求がフェロモンとして溢れかえる。部屋の中に広がる俺の濃くなったフェロモン。「あー、でも、その前にたんま」急に大我が冷静になる。「ぁ、なんで?」不満げに呟けば「なんでって…もしもの保険が必要だから」大我はそういうと俺の頭を撫でて部屋を出ていった。本当はわかってる。俺のために薬を取りに行ったんだってこと。大我は過ちを起こさないために必ず俺の事を考えて行動してくれる。自分がどれだけ大変な状況だとしても…。ここまで濃くなったフェロモンは、確実に発情へと変化する。だってさっきから俺、大我が欲しくてウズウズしてるんだ。それもひどく欲してる。だから、このまま先に進めば確実に発情する。神尾大我という男に発情するのだ。「っ、また酷くなってるな」俺の薬の瓶を持って戻ってきた大我の言葉が詰まる。「んっ、たい、がぁ、欲しぃ、たい、が、が」戻ってきた大我に両手を差し出して訴える。今すぐにでも欲しい。喰らいつくされたい。「わかったから、これだけは飲んでくれ」さっきよりも眉間に酷く皺を寄せながら俺の口元に薬の入った小瓶をもってくる。俺は大我の手を借りてそれを飲み干した。大我は瓶が落ちて、割れない場所に置いて、俺を抱きしめて「ゆい、好きだ」そう告げて唇を塞いだ。触れ合う唇を
Last Updated: 2025-12-19
Chapter: 138目が覚めれば病院のベッドの上。俺は誰かに助けられたんだね。おや、お客様みたいだねぇ~。やっと本当のお客様みたいだ。俺は腕に付けられている点滴の針を外す。息を殺して部屋に入ってきてるけどさ「部屋に入るならその殺気消した方がいいよ」俺はそう声をかける。「チッ」そんな舌打ちと現れたのは神谷。「ようこそ、いらっしゃ~い。神谷くん。それとも…佐久間亮一くんって言った方がいいのかな?」俺は組んだ脚に肘をつき言う。「なんでその名前を…」神谷もとい佐久間が驚く。「んふふ。俺を唯の飾りだと思った?残念でした。亮一くんは渡の弟だもんねぇ~。しかも恋人だしね」俺は淡々と言う。気付かないわけないじゃない。「お前の口から渡の名前は聞きたくない!」佐久間はそう怒鳴る。「んふふ。やっぱり?あの日、ZEAのメンバーの中に紛れ込んでたのは褒めてあげるよ。でもね。まだまだ甘いね。亮一くんも。俺たちを騙せないよ?」リーダーである翔太がメンバーの顔を覚えてないはずがない。わかっててあの場所に来たんだからね。翔太も意地悪だよね。あの場所の中がどうなってるかわかってるくせして連れてきてるんだもん。まぁ、それだけ翔太も怒ってたんだけどね。だって、翔太も佐久間渡がどういう男だったのかって知ってるんだもん。「お前なんか殺してやる」佐久間はそういいながら腰からナイフを取り出し俺に向かってくる。「血の気の多いのは兄貴譲り?」俺はそう言ってベッドから降りる。その拍子に点滴が倒れてガシャンと派手な音を立てた。ありゃ…。静かにするつもりだったのになぁ~。「だからお前の口から兄貴のことは聞きたくないつっただろ!」ナイフを振りかざし佐久間がいう。「その攻撃方法も教わったんだろ?渡にさ。あ~そうそう。俺を陥れようと拓真に近付いたみたいだけどちゃんと相手してもらった?」俺は窓辺に凭れいう。佐久間がそのままナイフを翳し突進してくる。俺の頬をかすめて窓ガラスが割れる。「お前…何者だ?」佐久間が呟く。俺は小さく笑った。さすがに今の騒ぎで看護婦たちがやってくる。まぁ、結構派手な音がしたもんね。「織田さん。一体なんですか…きゃー!」あらら。めんどくさくなったなぁ~。「ん~。危ないから来ちゃダメですよ~」俺はそう言って手を振る。「貴様」佐久間がナイフを動かす。俺はそ
Last Updated: 2026-06-19
Chapter: 137学校ってこんなにつまらなかったのかな?俺はボーっと授業を受けながら考える。教室内に聞こえる声が只の雑音にしか聞こえない。こんなもんなのかな。ほんと俺一人取り残された気分。ってか取り残されてるんだっけ。俺の時間はあの日止まったまま。渡が転校して来たあの日に止まったまま。動き出すことはない。もっとも動かす気もないけど……壊れた人形が誰にも迷惑かけずに壊れていくだけ。だから別にいい。このまま壊れて無くなってしまえば誰にも迷惑掛からないでしょ?両親ですら俺を捨てたのだから……。だからそれでいい。俺がどんなに壊れても誰も気付かない。それでいい。誰も気付くことなく俺は壊れてしまえばいい。俺は窓の外を見る。この席でこの景色を見るのも後何回あるだろう。あと、どれだけこの景色を見て過ごすんだろう。俺の心の中では決心がついてる。でも今はまだ時期じゃない。もう少し……我慢しなきゃね。でなきゃせっかく張った網の意味が無い。きっと親子の縁も完全に切れるかもね。あの父なら……。子供のことより自分の名声の方が大切なんだから……。まぁ殴られるの覚悟しといた方がいいのかなぁ~。意外に血の気が多いしね。なぁ。翔太。お前はどうする?俺が消えたらお前はどうする?蒼華が消えたらお前はどうする?なんてな。いわねぇよ。俺はお前にも言わねぇよ。全部隠してくからな。今までありがとね。ほんと……俺に付き合ってくれてさ……ありがとな。でもこれで最後だからさ……だからごめんな。俺は溜め息一つつき窓の外を眺め続けた。授業が終われば俺はさっさと教室を後にする。その方がみんなにはいいからさ。「蒼樹」その声と共に腕を掴まれた。「何?」俺は溜め息をつき振り返る。相手は翔太。「今夜…正輝さんとこでいつものやつやるんだけど…お前来るよな?」あぁ。もうそんな時期なんだ。「悪いね。今年は俺不参加」俺はそんなのに参加しなくてもいい。「どうして! お前がいなきゃ意味ねぇだろ?」翔太が聞いてくる。俺はもう一度、溜息をつき「俺がいなくても平気じゃん。それに蒼華は消えたんだ。だから俺は参加しない」翔太の手を解き言う。「んでだよ! なんでそうなるんだよ!」翔太が俺を掴み言う。「翔太。俺とお前の住む世界は違う。もう俺に構うな」俺は翔太の手を解
Last Updated: 2026-06-05
Chapter: 136『2-Aの織田蒼樹。大至急生徒指導室までこい』あ~らやだ。吉田ちゃんからのラブコールだわ…。な~んてね。判ってたことだけどさ。俺は背伸び一つしてのんびりと生徒指導室まで向かった。「織田はいりま~す」そう声を掛けて扉を開けると物凄い厳しい顔をした吉田がいた。「説明してもらおうか。この答案用紙の意味を…」吉田はずらっと俺の白紙答案を並べ言う。「説明ってそのまんまですけど?」俺はとぼけてみる。本当はわざとだけどさ。「あのなぁ。そんな嘘が通じると思うか? 今までずっとトップクラスの奴がいきなりこれはないだろ?」さすが吉田。伊達に先生をやってるわけじゃないんだな。「先生。冗談じゃないんだけど? 俺マジでこのとき頭真っ白状態。だから答えなんてわからなかったんです」俺はあくまでも嘘を貫き通す。「お前な。授業まともに受けてないお前がいつもトップになってるんだぞ? そんな嘘が通じると思うか?」あらやだ。俺が授業まともに受けてないのも知ってるよ。さすが吉田だねぇ~。「は~い。せんせぇ~。俺は嘘言ってませ~ん。ねぇ。先生。俺にとってテストなんてただの紙切れでしかないって知ってるでしょ? ほんとに今回は俺調子悪かったし…全然答え出てこなかったんだけど?」俺はそういう。吉田は大げさに溜め息をつき「あ~も~いい。わかった。追試は真面目に受けろよ」そう言って解放してくれる。「追試も意味ないけどね」俺はそう呟き部屋を出た。どこから情報を得たのか俺が白紙答案を出したと全校内に伝わった。「よっぽど暇なのな」俺は呟く。「織田くん。ちょっと付き合って」急に呼ばれたと思ったら雅だった。「何?」俺は聞いてみる。「うん。いいから付き合って」雅はそれ以上言わない。俺もそれ以上は聞かず着いていった。雅が向かったのは生徒会室。つくづく俺ってここに縁があるのな。雅はソファに座ると「織田くんもここに座って」自分の隣を叩いて言う。はてなんでしょうか? 俺は言われたまま隣に座ると雅はいきなり俺の頭を自分の膝の上に乗せた。「み…雅?」俺は意味がわからず聞き返すと「寝不足。顔に出てるよ。僕の膝で悪いけど少し寝てよ」やっとそう説明してくれる。「え~。雅の膝を借りたら清に殺される~」俺は冗談で言う。「大丈夫だよ。それより寝ないと無理やりにでも寝かすよ
Last Updated: 2026-06-04
Chapter: 135「あ…あの…織田さん」生徒会室から帰る途中で呼び止められた。「何?」俺は振り返り聞いてみる。「なんでなんですか? なんで苗代さんや金城さんと仲悪くなったんですか?」なんてまぁ~相変わらず直球で来るねぇ~「関係ないだろ?」俺はそう答える。これは俺たちの問題。だから他人にとやかく言われる筋合いはない。「どうしてですか? あんなに仲良かったのに…それに…金城さんと付き合ってたんじゃないんですか?」あ~も~イライラする!「るっせぇ~よ! どうしようが俺の勝手だろうが!」俺はそう怒鳴ると同時に廊下の窓ガラスを割っていた。「何だ今の音は」騒ぎを聞きつけた教員がやってくる。「先生。ごめん。転んだ時にガラス割っちゃった俺」俺はそう誤魔化す。「お前は…兎に角保健室で怪我の手当てしてこい」俺の手を見た教員が言う。「へ~い」俺はそう答える。紅く染まった手は痛みすら感じない。「俺がどんな気持ちであの二人から離れたかお前らにはわからねぇよ…」俺はさっきまで俺を問い詰めていた集団に呟く。「え?」「織田さん?」「先輩?」俺の呟きが聞こえた生徒が振り返り問いかけてくるが俺は無視をした。「先生お時間いいですか~」俺は保健室の扉を開け聞く。意外に保健室でやってる連中いるからね。「今度は何?」あら今日は大丈夫だったのね。「これ治療してくださいなぁ~っと」俺は怪我した手を見せる。保健医は大きく溜め息をつき「織田くん。自虐趣味? 外の水道で洗ってらっしゃい。それからよ治療は」呆れ顔で言う。「あら? そう見えます?」俺はそう言って保健室を出てすぐにある手洗い場で血を洗い流す。「ほいじゃお願いしま~す」また保健室の中に戻り手をだす。「破片はないみたいね。今度は何をやったの?」傷の手当てをしながら聞いてくる。「躓いてこけそうになってガシャ~ンって感じかなぁ~っと」俺は冗談交じりに答える。「はいはい。そういう事にしとくわ」保健医はそう言い包帯を巻く。「せんせ…ここでする時は鍵掛けた方がいいっすよ? 因みに口紅が歪んでます」俺は小声で言う。「な…や…嘘…」保健医は慌てて手鏡を見て口紅を直してる。「ほいじゃお邪魔しましたぁ~」俺は何食わぬ顔で保健室を後にした。保健室からのんびり戻ってくる時ふと掲示板に目が行った。そこ
Last Updated: 2026-06-02
Chapter: 134渡がドラッグ所持で捕まったことは翌日、全校生徒に伝わっていた。「相変わらず情報が早いことで…」俺は呟き自分の席に着く。「特Aに転校生だって」なんてクラスで噂になっている。俺には関係ないけどな。誰が来ようとさ。それに歪んだものは歪んだまま。元には戻らないんだ。それを一番知ってるのは俺自身。みんなが俺と距離を開けてるのは知ってるし俺自身近付けさせないようにしてるし…此処にいるのも潮時かもな…俺はボーっと窓の外を見ていた。これが終われば自由になってもいいよな…みんなの前から消えちゃってもいいよな…俺は小さく息を吐き机にうつ伏す。一番後ろって便利だよな。教室の全体が見えるんだからさ。みんな色んなことやってバカなことやって楽しんでる。俺には入り込めない世界だけどさ。俺が入っちゃいけない世界なんだ。俺が入ればすべて壊してしまう。だから歪んだままでいい。一緒にバカをやってた頃に戻らなくてもいい。俺の心はもう決まってるから……。だからみんな俺のこと忘れてくれ……記憶の中から総て消して……俺が姿を消すまでの間に……「バイバイ」俺は小さく呟く。誰にも聞こえないように。ごめんな翔太。俺はお前にも何も告げずに消えるから…だからメンバーのこと大事にしてやってくれ。拓ちゃんもごめんね……俺のわがままにばっかり付き合わせちゃったよな。でもこれが終わったら俺はあなたの前からも消えるから…だからごめんな…特Aクラスに転校生がきたのはその日のうちに全校に知れわたった。大人しくて可愛い子らしい。俺は興味ないけど…。俺は東棟に向かうために教室を出て廊下を歩いていたら、ちょうど反対側から拓ちゃんが歩いてきた。隣にいるのが噂の転校生なのか。確かに可愛い子だ。ふと拓ちゃんと視線が合ったがあからさまに逸らされた。まるで俺に見せつけるように隣の子と仲良く楽しそうに話してる。別にそんなことしなくてもいいのにな。俺は無言のまま二人の横を通り抜ける。そして東棟へと向かう。目的地はどこにしようか?なんて考えながら歩いていたらたどり着いた場所は音楽室。なんとまぁ~こんなところにたどり着くとはな…。俺はピアノの前に座り蓋を開け鍵盤を押す。やっぱりキレイな音がする。誰かが調律してるんだな。「こういう時はやっぱりあの曲かな?」俺はそう呟
Last Updated: 2026-06-01
Chapter: 133俺がいつもの店に着けば「遅かったな」不機嫌丸出しの渡がいた。そこで俺は気が付いた。昼間の拓ちゃんの突然の行動と渡の不機嫌の意味に…。俺は一人ククッと喉の奥で笑う。「何だよ?」渡が不機嫌なまま聞いてくる。お前はまだ変わってねぇんだな。自分の玩具を横取りされるとすぐ機嫌が悪くなる。子供っぽい所はそのままなんだな。それならその方が扱いやすくていい。「なぁ。渡」俺は渡の腕を掴み立たせるとそのまま壁際に連れて行き抱きつく。「何だよ? 珍しいじゃねぇか?」そういいながら俺に腕を回す。俺は渡に気付かれないようにそっと渡の腰に付けてあるナイフを引き抜く。「キスして?」お前はこういうのに弱いよな。「いいぜ。してやるよ」渡はニヤリと笑い俺にキスをしようとする。俺はクスッと笑い「残念でした」渡の両手にナイフを突き刺しそのまま壁に貼り付ける。「ぐあぁぁ。お…織田…お前…」渡が驚き俺を見る。俺は渡の腰からもう2本ナイフを取ると渡の首ギリギリに突き刺す。少しでも動けば皮膚が切れ血が流れ出す。俺は渡の手から流れ落ちる血を指ですくい、「大人しくそこで見てなよ。此処が真っ赤に染まるのを…」そう言って舐める。渡の顔色が変わる。「お前…本当に…あの織田なのか?」その言葉に俺は「さぁね。お前はそこで大人しく見物してろよ。お前は最後に相手してやるからさ」そう告げゆっくりと店の真ん中へと歩み寄る。流石にドラッガー達もボスの異変に気付き戦闘体勢に入ってる。俺はニヤリと笑い「お待たせ。さぁ始めようか? 最高のショーを…」指を鳴らす。さぁ総て破壊してやるよ。総てを……真っ赤に染めてやるよ&he
Last Updated: 2026-05-31