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まっど↑きみはる
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Novels by まっど↑きみはる

別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

「我が宿敵!! あなたに、私の夫となる権利をあげるわ!!」  一人の女が赤面しながら男を指差し言う。  そう、王国騎士『マルクエン・クライス』は、敵対していた魔剣士の女『ラミッタ・ピラ』にプロポーズを受けのだ。
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Chapter: マッサ
 マルクエン達が聖域を訪れる数日前の事だ。「私の名はスフィン・スク。ルーサの将軍だ」「将軍様か、そりゃあいい!」 スフィンを助け、食事を食べさせている冒険者の男、マッサは膝を叩いて爆笑していた。「貴様、信じていないな?」「いや、信じるよ。信じるとも」 言葉ではそう言っていたが、態度からはそんな気が|微塵《みじん》も感じられない。「私は確かに戦場に居た。そこで落馬し、意識を失って、気が付いたらここだ」「なるほどな、不思議な話もあるもんだなー」 豆のスープを食べながらマッサは適当に頷いていた。「やはり、貴様信じていないだろう」「まず、そのルーサってのは国なのかい?」「あぁ、そうだ」「悪いが、聞いたことないんだよねー」 聞いたことが無いと言われ、スフィンは驚く。 だが、目の前の男が残党狩りで嘘をついていないとも限らない。「本当に知らんのか?」「全くね、ここはコニヤンって国だけど、周りの国にも無いしなー」「その国こそ聞いたことが無い。疑問なのだが、聞いたこと無い国同士出身の私達が何故同じ言葉を話せるのだ?」「それは俺も分からないねー」 何とも要領を得ない男の話に、スフィンは少しイライラとしていた。 そんな時、スフィンは物音と、それに混じった殺気を感じ取る。「おや、お客さんみたいだね」「剣を、貸してくれるか?」「あぁ、予備が一本あるよ」 マッサが剣を差し出し、スフィンはそれを受け取った。 野生生物を模した魔物が二人に飛びかかる。 スフィンは蟻型の魔物を剣で斬り捨て、光の矢を多数呼び出し、射出した。 串刺しになる魔物達。マッサは熊型の魔物の腕を切り落としながらそれを見る。「はぇー、やっぱやるねぇ!」 スフィンは近付く魔物を剣で切り捨て、中距離以上の敵は魔法で殲滅した。 マッサも次々に魔
Last Updated: 2026-07-19
Chapter: 恋の予感
 コラーは戦いの時とぜんぜん違う顔をするマルクエンを見て、勇者のあるべき姿はこうなのかと思う。「ラミッタさまー。私ね!! お空飛んでみたい!!」「あら、いいわよ」 子供の頼みを快諾し、ラミッタは抱きかかえて空を飛んだ。「うわー!! すごーい!!!」「俺も飛びたい!!」「僕も!!」 すっかり子供たちの人気ものになるラミッタ。「マルクエン様、俺、本当は勇者になりたかったんです」 コラーは自分でもつい言ってしまった言葉に驚く。「あっ、そのっ、こんなに弱い俺じゃなれないって知っていますけどね!!」「戦いの強さだけが、人の強さではありませんよ」 真面目な顔をしてマルクエンは言った。「私は、元々騎士でしたが。国を守るために戦っていました」「守るため……、ですか?」「そう。コラーさんは村を、皆を守りたいと心から思っている。それはとても立派なことです」「えっと、その、ハハハ。何だか恥ずかしいですね……」 下を向いてコラーは照れ顔を隠す。「マルクエン様は、今は何を守るために戦っているのですか?」 そう問われ、考える。真っ先に思い付いてしまったのはラミッタの顔だったが。「えっと、今も国を守るため、元の世界へ帰るために戦っています」 ちょっとだけ嘘をついた。「コラー、ここに居たのか!!」 セロラがやって来てコラーの隣に座る。「肉焼いてきた、食え!! マルクエン様も!!」「お前、まさか、また勝手に狩りを!?」「気にするな!」「気にしろ!!」 マルクエンは二人の会話を聞いて笑っていた。「なるほど、あえて手負いの魔物を残す。か」 王都ではコニヤン軍の参謀長であるシガレーは報告を受けてそう呟く。「箱の破壊にばかりを考え、
Last Updated: 2026-07-18
Chapter: VSクラム
「マルクエン様!! 私も戦う!!」 セロラが飛び出してクラムに斬りかかるが、簡単にいなされ蹴り飛ばされた。「雑魚は引っ込んでな!!」「私は雑魚じゃない!!」「セロラさん!! 後ろに居て下さい!!」 マルクエンはクラムと斬り合いながら言う。「でも!!」「危ないから!!」 マルクエンに強く言われ、悔しさを感じながらも大人しく従うセロラ。 地上ではマルクエンとクラムが剣をぶつけ合う。「ほう、ちょっとは楽しめそうなぐらいにはなったか」 クラムはニヤリと笑ってマルクエンに言った。 目にも止まらぬ速さで攻防を繰り広げていたマルクエンだったが、|咄嗟《とっさ》に身を引く。 次の瞬間、クラムに向かって特大の火の玉が降り注いだ。 クラムは|躱《かわ》そうとするが、炎の直撃を食らい、傷を負った。「小賢しい、斬り合いの邪魔をするな!!!」 怒りを剥き出しにして上空のラミッタに怒鳴りつける。「卑怯とは言わないでしょうね? これは戦いよ、何でもアリでしょ」「ッチ、ミネス!! そいつの相手をちゃんとしておけ!!」「あー、ごめんごめん」 そう言ってミネスはラミッタに向けて魔法の短剣を投げつけた。 十数本の短剣がラミッタを追尾してまわる。 ラミッタは高速で飛び回り、地面に急降下した。 激突する寸前の所で水平に飛び、曲がり切れなかった短剣は地面に突き刺さる。「マーダージャグリング!!!」 次にミネスは雷を地上に何発も落とした。「ぐっ!!」 マルクエンは直撃は避けたが、地面から伝う電流で感電する。 対策を施している装備でこれ程までなら、直撃したら命は無いなと妙に冷静に考えていた。「ミネス!! そっちの女の相手をしろ!!」「えー、ボク命令されるの嫌いなんですけどー」 そんな事を言うミネスを無視し、ラミッタはマルクエンと対峙しているクラムに斬りかかる。 各個撃破をしようとするマルクエンとラミッタだったが、それを不快そうにミネスは見た。「命令も嫌だけど、無視はもっとムカつくかもー」 ミネスは氷の剣をマルクエン達に向かって飛ばす。 ラミッタは魔法反射で弾き、マルクエンは剣で粉々に砕いた。 その一瞬の隙を逃さず、クラムがマルクエンを袈裟斬りに斬ろうとする。 だが、それは罠だった。マルクエンは振り下ろされたそれを剣で受け止め、ラミッタの剣
Last Updated: 2026-07-17
Chapter: 痛み
 楽しい宴会から一変して村は悲惨な状況になった。 セロラはコラーの横に座って泣いている。「ごめん、コラー……」 意識を失ったままのコラーから返事は無い。 月明かりが差し込む中。コラーは目が覚めた。 全身がビリビリと痛み、うっと声を上げる。 足元に重みを感じて見てみると、セロラがもたれ掛かって眠っていた。「セロラ……」 一言そう呟き、セロラが無事だった事に安堵する。 その時、セロラの猫耳がピクリと動き、顔を上げてコラーを見た。「コラー! 起きたか!?」「あぁ……」 セロラは思わずコラーに抱きつこうとするが、ぐるぐる巻かれた赤く血の滲んだ包帯を見て自重する。「コラー。何で私を助けた?」「何でって……。気付いたらな、体が勝手にだよ」「そう……」 セロラは何と言えば良いのか、ずっと考えた。 そして、出した答えは。「コラー。ごめんね。助けてくれてありがとう」「良いんだ。でも、もう無茶はしてくれるなよ?」「うん……」 いつになく聞き分けの良いセロラを見てコラーはフッと笑う。 朝になり、集会所で目覚めるマルクエンとラミッタ。 ラミッタは徹夜で手当をしていたので、まだ眠気が抜けきらないでいた。「おはよう。お疲れラミッタ」「えぇ、大丈夫よ」 ふわーっとあくびを一つして集会場を見渡す。 犠牲者こそ居なかったが、怪我人は多数いる。 その中でも、一番重症のコラーの様子を見に行く。「あら、仲良さそうに寝ているわね」 コラーと寄り添って寝るセロラを見て二人は安堵した。 他の怪我人を看ている間に、目覚めるコラーとセロラ。「おはよう、気分はどうかしら?」「あっ、おはようございます!! 申し訳ありません。自分が不甲斐ないばかりに……」「いえ、誰かを守る姿勢は兵士として立派でした」 マルクエンに言われると、思わずコラーは照れた。「とりあえず、痛み止めを飲んで。そして薬塗って包帯の交換よ」 言われた通りにするコラー。傷口に包帯が張り付いていて、剥がす時が物凄く痛い。「コラー、大丈夫か?」 セロラが手を握っていてくれているので、恥ずかしい所を見せるまいと耐える。「さてと、どうしたものかしらね」 集会所の外、村の中心に置かれた箱を見てラミッタは言う。「箱を壊しても、これじゃいたちごっこだな」 マルクエンも思わずはぁっとた
Last Updated: 2026-07-11
Chapter: マキガリスープ
「勇者様、この度は何とお礼を申し上げて良いものか……」 この村の村長がマルクエン達のもとまでやって来て深々と頭を下げる。「いえ、皆さんがご無事であれば何よりです」「何も無い村ですが、せめて宴を楽しんでいって下さい」 村の中心では焚き火が組まれ、その上にとても大きな鍋が乗っていた。 獣人達はそこへ熊や鹿の肉、人参と大根、里芋といった根菜類を入れ、大豆の加工品である『ミソ』を溶かしてぐつぐつ煮込む。 食欲を|唆《そそ》るいい香りが漂い、皆は火を囲み、音楽を鳴らして踊っていた。「マルクエン様、ラミッタ様、どうぞ!」 コラーが鍋のスープを二人の元へ持ってくる。「この村名物のマキガリスープです」「マキガリスープ? ですか、美味しそうです」 |器《うつわ》を受け取ったマルクエンはまじまじとそれを見つめた。「では早速、イタダキマス!」 ズズズッとスープを飲んでみる。肉の旨味とミソの風味が口に広がる。「むっ、美味しいです!」「それは良かった!」「本当、美味しいわね」 勇者達に村の味を気に入って貰えて、コラーはホッと胸をなでおろす。「マルクエン様ー、おいしいか? 気に入ったか? 村住むか?」 マタタビ酒を呑んで、ぐでんぐでんに酔ったセロラがマルクエンに言う。「いえ、美味しいですけど、我々にはまだ使命がありますので……」 マルクエンは苦笑いをしながらスープを食べ続ける。 セロラはまたスリスリとマルクエンに顔を擦り付けた。「セロラ!! もう、行くぞ!」 コラーが首根っこを掴んでどこかに連れて行く。 宴もたけなわになり、皆の気が抜けていた時だった。ラミッタがふと遠くの気配を感じ取る。「! 来るわ!!」「なっ!? 魔人か!?」 二人の言葉を聞いたコラーは「えっ」と小さく言った後、状況を理解したらしい。「た、大変だ。魔人ですか!? 兵士長に知らせてきます!!」「みんなを避難させて下さい!!」 だが、遅かった。もう既に上空には飛ぶ人影があった。「みんなでお祭り? ボクも混ぜてよ!」「お前は……。ミネスだったか?」 マルクエンは奇術師の格好をした魔人を見て言う。「名前覚えていてくれたんだ。嬉しいよ。好きになっちゃいそう」「何だお前、泥棒猫か!!」 セロラが敵意を剥き出しにして空を見上げる。 ラミッタは酔い覚ましの魔法を自
Last Updated: 2026-07-06
Chapter: 森の箱
 マルクエンにくっついたままスリスリと顔を擦り付けるセロラ。「ちょっ、セロラさん!? こ、困ります!!」「嫌なの? マルクエン様?」 純粋な瞳で下から見つめられるマルクエン。「い、嫌というか、何と言うか……」「離れろセロラ!!」 コラーによって引き剥がされたセロラは不満そうな表情をしていた。「私、マルクエン様とツガイになりたい! 結婚したい!! 赤ちゃん欲しい!!!」「ばっ、だからそういう事を言うなって!!」 何故かコラーが赤面していた。「あなた、何でそんなに赤ちゃんに|拘《こだわ》るのかしら?」 ラミッタがそう口にすると、コラーの方が先にハッとした反応をする。「私、家族居ないから……。ツガイと赤ちゃんが欲しい!!!」「家族が居ない?」 マルクエンが聞き返すと、コラーが補足を入れた。「セロラは森の奥で、ずっと一人で生きていたみたいなんです」「森の奥?」 ラミッタが不思議そうに言う。「えぇ、この村までやって来たのは、つい三年前ぐらいの事でして」「私、おじいと生きた。でも、おじい子供の頃死んだ!」 笑顔とは不釣り合いな内容の話をするセロラ。 そんな彼女の境遇に自分自身を少し重ね合わせて見てしまうラミッタ。「だから、マルクエン様とツガイに……」 言いかけて、セロラの耳がピクリと動き、笑顔が消えた。 そして、急に村はずれまで走り出す。「箱、開いた!」「何っ!?」 セロラの短い言葉を聞いて、マルクエンは驚くが、思考を切り替え走り、ラミッタは空を飛ぶ。 常人の数倍の速さで走るセロラ。その横をラミッタは飛んでいる。 コラーも獣人なので身体能力は高く、タッタッタと駆けていった。 マルクエンは鎧の重さというハンデを感じさせない動きだが、流石に獣人二人と空を飛ぶラミッタには追いつけない。 箱の場所から上空に向けてバーンと大きな音と共に信号弾の魔法が打ち上がる。「来るぞー!!!」 箱の警備をしていた兵士は槍や剣を構える。 箱の側面からヌルリと出てきたのは、狼型の魔物、熊型の魔物といった哺乳類型。 その他には虫型のカマキリやクモ、ムカデといった魔物だ。 兵士は距離を取りながら槍で牽制を入れる。 比較的小さい魔物はそれで倒せたが、一人の兵士へ熊型が襲いかかった。「このっ!!!」 剣で斬りつけるが、大した傷を負わす
Last Updated: 2026-06-26
裏庭が裏ダンジョンでした

裏庭が裏ダンジョンでした

 結界で隔離されたど田舎に住んでいる『ムツヤ』。彼は裏庭の塔が裏ダンジョンだと知らずに子供の頃から遊び場にしていた。  裏ダンジョンで鍛えた力とチート級のアイテムと、アホのムツヤは夢を見て外の世界へと飛び立つが、早速オークに捕らえられてしまう。  そこで知る憧れの世界の厳しくも残酷な現実とは……?
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Chapter: カバン奪還作戦 2
「今の私達では裏の道具持ちと戦うのは危険だ。ムツヤとの合流、カバンの奪還が最優先だ」「そうねー、1人1人で戦っても負けるのが目に見えてるし」 モモがぼんやりとしている事に気付いてアシノが言う。「モモ、お前が居なければ私達は死んでいたかもしれない。感謝する」 それからアシノは頭を軽く下げて続けた。「それと嫌な役目を任せてしまってすまない。気持ちはわかるが、今はムツヤと合流する事だけを考えてくれ」 モモはパンっと自分の顔を叩いてから返事をした。「はい、急ぎましょう」 アシノは死んだキエーウの男に片手で素早く祈りをした。モモもそれに習い、皆は先を急いだ。 恐らくエルフの村から一直線に、一番遠くにある反応がカバンだろう。それを倍以上のスピードで追いかけている点がムツヤのはずだ。 ムツヤは今、魔剣ムゲンジゴクのレプリカしか持っていない。 しかし、サズァンから貰ったネックレスと裏の連絡石のおかげで反応が分かる。「ギルス、ムツヤと繋いでくれ!」「分かった、ちょっと待ってろ」 走りながらアシノはギルスに連絡を入れた。しばらくしてムツヤの声が聞こえてくる。「アシノさんでずか!? 今カバンを持ってる奴を追いかけているんですが、他に道具を持っていった奴もいて!」「ムツヤ、お前はカバンを取り戻すことだけ考えて走れ!」「わがりまじだ!」 ムツヤとの連絡が終わり、石を仕舞おうとした時にちょっと待ってくれとギルスの声がした。「おい、何人か引き返してきているぞ!」「僕たちを、倒しに来たんですかね……」 ユモトの予想は当たっているかわからない。しかし反応が向かう先を見て答えが分かってしまった。「っ!! そうか、エルフ亜人だから!!」 ルーの言う通りだ。裏の道具の反応がエルフの村へと近付いて行っている。「道具の試し打ちにはもってこいって所か、私達も引き返すぞ!」 アシノの号令
Last Updated: 2026-07-19
Chapter: カバン奪還作戦 1
「待てルー!! カバンがアイツ等の手に渡ったらどうなるか分かってんのか!?」 アシノに咎められたルーだったが、ナイフを突きつけられているエルフを見て他の方法を考えてみても代案が無い。「ムツヤ、走ってアイツを倒せないか?」「やだわぁん、ひそひそ話なんて。ちょっとでも変な動きをしてみなさい。この子は死ぬわ」 ムツヤ達はキエーウの連中を睨みながら立ち尽くすことしか出来なかった。「ほら、カバンをこっちに投げなさい」 ムツヤは苦い顔をしながらバッグを肩から下ろして放り投げた。キエーウのメンバーがそれを拾って立ち去っていく。「カバンは渡したわよ。開放しなさい!!」「駄目よ、もうちょっと遠くに逃げるまで待っていて貰うわ」 すぐに追いかけてカバンを取り戻せたらという甘い考えは打ち砕かれた。「ただ待っているってのも暇ね、お喋りでもしましょうか?」 ウトナはそう言ってムツヤを見る。「お前なんかと話すことはない!!」「あらぁん、釣れないわぁん。でもね、聞いてくれるだけで良いのよ?」 そして勝手に話し始めた。「エルフは長命だから無駄に知識をもっているわ。そして自分達が1番賢い種族だと思い他の種族を見下すの。それはさっきわかったでしょう?」「それを言ったらあなた達こそ何なの? 人間が1番だと、おごり高ぶって、そんな変な仮面まで付けて」 ウトナの言葉にルーは言い返した。「他種族が居るからこんな争いが起こるのよ? 人間が選んだ者以外きれいサッパリ殺しちゃえば、今こんな争いも起きてないわ」「お前らはつくづく1か0かでしかモノを考えられないんだな。人間同士でも争いも戦争も起こるし、他種族とも分かり合うことができる」 今度はアシノが言い返すが、ウトナは鼻で笑った。「まぁいいわ、あなた達とお喋りしても無駄みたいね。それじゃこの子は返してあげる」 宿屋の夫妻が安堵した次の瞬間だった。ウトナは短剣をカノイの背中に突き立て、一気に押し込んだ。
Last Updated: 2026-07-18
Chapter: 召喚術師と枯れ葉の少女
 5体いる水の精霊がエルフへ襲いかかるが、矢で射抜かれパシャパシャと水へ帰る。 その間を縫ってヨーリィが飛びかかり、ナイフで弓の弦をピンと切り裂く。それはしなって細長い棒へと変わり、武器としての役目を終えた。「モモ、2人に任せて逃げるぞ」 アシノが小声でモモへ伝える。「ですがっ!!」「武器もない私達が居ても出来ることは何もない。外へ出て武器かムツヤを探すぞ」 2人の仲間を見捨てるようで心苦しかったが、モモはアシノの後を付いて窓から外へ出た。 その後ろでは短剣でエルフの男がヨーリィに斬りかかっていた。先を丸めた木の杭を手に投げつけ当てると、痛さで思わずエルフは短剣を落とした。「やるわね、ヨーリィちゃん。私の出番は無いかしら?」 時間を掛け、より強力な水の精霊をルーは召喚した。そして風呂場のお湯を吸い込みあげて発射させる。 水鉄砲を喰らい、エルフ達は怯んでいた。態勢を崩して倒れる者もいる。 先頭に居たエルフの娘カノイも両手を前に出して水から身を守っていた。 ヨーリィは致命傷を与えるためにカノイの元へと走る。それを察したルーが言う。「ヨーリィちゃん、駄目!!!」 ナイフは首元でピタリと止まった。そしてヨーリィは後ろを振り返る。「今のうちに逃げるわよ!!」 ヨーリィは質問をするでもなくコクリとただ頷いてルーと共に窓から外へ脱出した。 モモとアシノは体にタオルを巻きつけて宿の外を走った。素足のため地面の石が痛いが、そんな事を気にしている場合ではない。 隣の男湯へと向かうとムツヤとユモトが居た。アシノはガラスをドンドンと叩く。近くで体を洗っていた宿泊客がそれに気づいた。「ち、痴女だー!!!!」「違うわ!!!」 叫びに気付いてムツヤとユモトは振り返る。「え、アシノさん!? も、モモさん!?」「早く開けてくれ、エルフ達の様子がおかしいんだ!!」 ユモトは急いで駆け寄り窓を開ける。それと同時に男湯の入り口に見覚えのある人間がやってきた。「あらぁん、やだわん、男湯なのに女がいるじゃない」 以前ムツヤ達を襲撃したオカマであり、キエーウの一員ウトナだ。「お、オカマだー!!!!」「うるさいわね、ちょっと眠ってなさいあんた!」 ウトナは杖から催眠魔法を放ち、宿泊客を眠らせた。「またお前たちの仕業か」 しかし、おかしいとアシノは思っ
Last Updated: 2026-07-17
Chapter: 因縁 2
 トッピングはトマトやトウモロコシ等見覚えのある野菜たちだったが、珍しい葉っぱが下に盛られているサラダが前菜として出てきた。「それじゃあ、いただきまーす」 ルーが言うと共にそれぞれ食事前の祈りを行った。 口に入れて噛むと野菜たちの甘みが広がり、少し酸味のあるドレッシングとよく合った味だ。 そして、珍しい葉っぱは薄いのにシャキシャキとした歯ごたえがあり、食べ心地が良い。「んー、おいしー!! なんて葉っぱか知らないけど!」「本当、おいしいですね」 ユモトも食べて驚いていた。ルーは共に運ばれてきた赤ワインに手をのばす。「うーん、ワインもやっぱり美味しい!」 他の皆も真似してワイングラスを手に取る。深みとコクがあるのに飲みやすく、変な癖が無い。フルーティなワインだった。「エルフって長命だから、ワイン造りを極めた人の年代物のワインがお手頃価格で飲めるのよ」「なるほど、エルフのワインが有名なわけですね」 モモは感心して言った。こればかりは他の種族には中々真似できないだろう。 そんな中次々と料理が運ばれてくる。「お待たせいたしました、本日のスープでございます」 琥珀色に輝くスープには、さいの目状に切られた野菜と肉が入っている。「スゲー!! どんなスープなんですか?」「本日は山で取れた鹿やイノシシの骨を香味野菜と共に煮込み、それで作ったブイヨンを使用したスープでございます」 一口飲むと旨味が口の中に広がる。飲めば飲むほどお腹が空くようなスープだった。 ムツヤ達が前菜を堪能してしばらくするとメインディッシュ達が運ばれてくる。「お待たせいたしました、鴨肉のソテーと森のキノコのパスタでございます」 大皿にいい香りのする料理が運ばれてくる。ユモトはなれた手付きでパスタを皆に取り分けた。「鴨肉おいしー! やっぱりこの味は野生じゃないと出せないわね!」 噛むほどに味が滲み出る鴨肉と酸味と甘みのあるソースが口の中で幸せのハーモニーを奏でる。「このキノコ、歯ごたえが独特で美味しいですね」 ユモトは森のキノコのパスタが気に入ったらしい。キノコの香りがパスタにも移り、食べるとその香りが鼻から抜けていく。 ムツヤ達はワインと料理を堪能していた。そして腹も膨れた頃にデザートが来る。「こちら森の果実のシロップ漬けでございます」 透明なシロップの中に色
Last Updated: 2026-07-11
Chapter: 因縁 1
 ムツヤ達一行は宿場街を出て次なる街へと向かう。キエーウに対抗するため、探知盤の石をスーナの街を中心にして時計回りに埋めていく為だ。「あの街はさっさと出るつもりだったが、思わぬ足止めを食らったな」「すみません、僕のせいで……」 アシノが言うとユモトは身を縮こませて申し訳無さそうにした。「いや、だいたいはムツヤのせいだ」「すみません……」 今度はムツヤがペコペコ謝っていた。しかしアシノは口ではそう言っているが実際の所あまり怒ってはいない。 みんな心身共に疲労が溜まっていたので、しっかりとした宿で休む事は必要なことだった。「次はクロースという村だ」 アシノが言うとモモは浮かない顔をした。ルーはそれに気付いて言葉をかける。「クロースはエルフが多い村だけど、あそこのエルフは他の種族にも友好的だから心配しなくても大丈夫よ! 多分」「いえ、大丈夫です」 モモは短く返事をした。ムツヤは何のことか分からなかったので首を傾げている。「オークとエルフは昔から何かと因縁があるんだ」「そうなんですか」 ムツヤはアシノに説明をされてもいまいちピンと来ない。「まぁ、何百年も前の話だ。つってもエルフは長命だから生きている間に争いを経験した奴もいるかもしれんが」「もう平等宣言がされてから100年も経つのよ? 大丈夫よ」 この時、ムツヤ達はまた大きな争いに巻き込まれることを知らずにいた。 半日ほど歩いてムツヤ達はエルフの多い村であるクロースに着いた。入り口のエルフの衛兵に呼び止められて身分証を見せる。 モモは自分の番になった時少し緊張したが、特に嫌な顔もされずに村へ通された。 それよりむしろアシノの身分を知って衛兵は驚いていた。「俺、エルフの人って初めで見だがもしれません」 ムツヤが少し興奮気味に言うとアシノは説明をしてやる。「あぁ、エルフはあまり生まれ故郷を離れることはしないからな」 ムツヤはお得意の千里眼を使ってそこら中のエルフを眺めていた。そして疑問を持つ。「エルフの人って耳が長い人ばかりだと思っていたんですけど、そうじゃない人もいるんですね」「エルフは耳が長いものだってイメージがあるけど、意外と人間と同じ様な耳と長い耳が半々ぐらいなのよ」 ムツヤは「へぇー」と言って歩き続ける。宿屋を見つけてそこへ立ち寄った。「いらっしゃいませー」
Last Updated: 2026-07-06
Chapter: 偽装ランデブー大作戦 2
 ユモトとタノベは店に入る前に言っていた通りモンブランケーキと紅茶を注文していた。「あ、あの、わ、私達も何か注文をしましょうか?」「そうですね、モモさんはモンブランが良いんでしたっけ?」「そ、そうですね!」 店の雰囲気と目の前にムツヤが座っていることにモモはソワソワと落ち着かずにいる。「それじゃあ俺も一緒で良いかな」 テーブルに置かれた連絡石に触れると店員がやってきた。ムツヤはモンブランケーキと紅茶を注文する。「そういえばモモさんと2人きりで食事をするのって久しぶりですね」「そうですね!」 モモは短い言葉でしか受け答えが出来なくなっていた。「初めて一緒に冒険者ギルドで食べたペペカグ美味しかったなー」 そんな事まで覚えているんだと何だかモモは嬉しくなった。「そうでしたね、何だかつい最近のような、ずっと昔の事のような、不思議な感覚です」「いろんな事がありましたからねー」 と、ここでモモは気付く。自分達のやるべきことはタノベの監視であり、おしゃれな喫茶店でムツヤ殿とお茶をすることではないと。「っと、ムツヤ殿、ユモトがどうなっているか見ておかなくては」「あーそうでしたね」 2人はユモトのテーブルに聞き耳を立てた。楽しそうなお喋りが聞こえる。「僕、こんなおしゃれな喫茶店に来たの初めてかもしれません」「そうですか、ならば来てよかったです」「はい、ありがとうございます!」 そう言ってユモトは笑顔を見せる。眩しくてタノベは直視できずに視線をそらしてしまった。「何かいい雰囲気ですね」 モモは見て言った。その光景は、店内にいる誰もが男2人でお茶を飲んでいるだなんて見抜けないだろう。「あ、えっと、そ、外、晴れてよかったですね」 タノベは2人きりになった緊張からかガタガタと震えている。バイブレーションタノベだ。「そうですね、気持ちの良い天気です」 視線を外に向けながら柔らかくユモトは微笑む。その時ちょうどユモト達2人の席に紅茶とケーキが届く。「うわぁー、美味しそう!」 目をキラキラと輝かせて言う。タノベはそんなユモトを眺めていた。「それじゃ頂きましょうか」「はい、いただきます!」 ユモトは紅茶を1口飲んでからモンブランケーキを食べる。口の中に広がる甘みと栗の風味で幸せな気分になった。「このケーキ、とても美味しいです!」「
Last Updated: 2026-06-26
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