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第29話・愚か者

Auteur: 新矢識仁
last update Date de publication: 2026-05-28 04:50:12

「でも、町のキャパ超えたらどうするんだ」

「あ。それは大丈夫」

 ティーアの質問に手をひらひらさせる。

「増えた分広がるみたいだから」

「は?」

 ぼくがまともなことを言ったのか、と疑う視線。

「多分、町民として迎え入れるって決めた瞬間に、家のスペースも畑のスペースも何か必要なもの置く為に広がるんだ」

「広がる?」

「うん。町も最初の頃から比べれば随分大きくなった」

「広がり続けたらどうなるんだよ」

「広い場所に移動する」

「はあ?」

 今度はヴァローレも入って来た。

「移動って……この町動くのか?」

「動く。ていうか、飛ぶ」

「…………」

 ティーアもヴァローレも身動き一つしない。

「…………飛ぶ?」

「うん、飛ぶ」

「待て。ちょっと待て」

 ヴァローレが片手でぼくを制し、残った片手で自分の眉間のしわを撫でた。

「そうだな、エアヴァクセンからスピティまで、結構な距離がある。クーレやこの町にいたのがエアヴァクセンの人間ばかりと考えれば、あの速さの牛車では半年はかかるだろう。だけど」

 眉間のしわが深くなる。

「普通町は空飛ばない! 飛ばないから!」

「普通じゃないから」

「伝説のペテ
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