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第4話

Penulis: ラクラク
再び目を覚ましたとき、絵麻は病室のベッドにうつ伏せで寝かされていた。背中が焼けるように痛む。

「絵麻!」清輔がすぐに駆け寄ってきた。その目は血走っている。「目が覚めたか?まだ背中は痛むか?」

その心配そうな様子を見て、絵麻はふと現実感を失いかけた。

以前、熱を出したときも、彼はこうしてベッドの傍を片時も離れずにいてくれた。

けれど、今回は違った。病気で熱を出したのではない。彼の両親の命令で、暴力を受けたのだ。

それなのに清輔は、最初から最後まで、冷ややかな目で見ているだけだった。

彼女は黙って自分の手を引き抜き、彼と目を合わせようとはしなかった。

清輔は一瞬固まったが、再び口を開いた。「絵麻、君を庇わなかったわけじゃない。ただ、あの場で俺が止めていたら、もっと重い罰を受けていたはずだ……」

「……つまり」絵麻の声はひどく掠れていた。「あなたも、私があの子を傷つけたと思っているのね?」

清輔の喉仏が上下に動いた。だが、結局最後まで彼は沈黙を選んだ。

その一瞬の沈黙は、鈍い刃のように絵麻の胸を切り裂いた。

彼女は目を赤くしたまま彼を見つめた。涙が今にもこぼれ落ちそうに揺れていた。

「ひとつだけ聞かせて。あなたは、私を信じてる?」

「絵麻」彼の眉間に深い皺が寄り、声が張り詰めた。彼自身も気づいていないほどの苛立ちが、その語調の底に滲んでいた。

「証拠も証人も揃っているというのに、俺にどうやって君を信じろというんだ。

もう少しの辛抱だと言っただろう。なぜ、わざわざ波風を立てる真似をするんだ」

絵麻の瞳から、不意に涙がこぼれ落ちた。

もう痛みなど感じないほど心は死んだと思っていたのに、胸はやはり生きたまま引き裂かれるように痛んだ。

彼女は慌てて顔を背けた。これ以上、こんな惨めな姿を彼に見られたくなかったのだ。

「……もう、行って」その声は、消え入りそうなほど細かった。

「もう少し待ってくれないか」彼の声が和らいだ。「もうすぐ、俺たちは前のようなふたりに戻れる」

――前のように?

絵麻は目を閉じた。喉の奥が締めつけられる。

本当に、戻れるのだろうか。

彼には今、知夏がいて、ふたりの子供がいる。

その人たちのために、彼は何度も自分を傷つけ、何度も他人を選び続けてきた。

彼女はゆっくりと体の向きを変え、彼に背を向けた。もう、一言も話したくなかった。

清輔はそっと彼女の髪を撫でた。「眠るといい。俺はここにいるから」

だが、その言葉が終わらないうちに、看護師が慌てて病室に駆け込んできた。

「夏山さん!草間さんがずっと泣き止まなくて、どうしてもあなたにお会いしたいと……」

清輔は眉をひそめ、しばし躊躇したものの、やはり立ち上がった。「待ってて、すぐ戻るから」

けれど、この瞬間を境に、彼が絵麻のもとへ戻ってくることは二度となかった。

退院の日は、あいにくの激しい雨だった。

絵麻は病院の玄関先に立ち、清輔の車がゆっくりと近づいてくるのを見た。

車のドアを開けようとした瞬間、助手席に知夏が子供を抱いて座っているのが目に入った。

「清輔さん……」絵麻の姿を見つけるなり、知夏は怯えたように慌てて清輔の方へ身を寄せた。「私、まだこの前の恐怖から立ち直れていなくて……」

目を赤く潤ませながら、震える声で哀願するように続けた。「私を傷つけるのは構わないわ。でも、子供にだけは……もう少しだけ、時間をいただけないかしら?彼女と同じ車に乗るのは、まだ怖くて……」

絵麻は冷たい雨の中に立ち尽くし、全身の血が凍りついていくのを感じた。

清輔は長い沈黙の後、彼女に傘を差し出した。

「絵麻、ここで少し待っていてくれ。すぐに迎えの車を寄越すから」

そう言うと、彼は車の窓を閉め、瞬く間にその黒い車は走り去っていった。

絵麻はその場に立ち尽くしたまま、親子3人を乗せた車が遠ざかり、やがて雨の帳の中に消えていくのを、ただ見送るしかなかった。

目を閉じると、胸に大きな穴が空いたようだった。冷たい風がひゅうひゅうと吹き込んで、どれだけ経っても埋まらなかった。

彼女は長い間、待ち続けた。雨脚はどんどん強まり、あたりはすっかり暗くなっていったが、清輔が約束した迎えの車は、いつまで経っても現れなかった。

何度も電話をかけたが、受話器から返ってくるのは決まって、冷たい機械的な話し中の電子音だけだった。

空はますます暗さを増し、雨は容赦なく叩きつけるように降り続いている。

仕方なく、絵麻は折れそうな傘を差し、一歩、また一歩と自力で家路をたどった。

強風に煽られ今にも傘の骨が折れそうになる中、よろめきながら歩いていたその時。ぬかるみに足元を滑らせ、泥水の中に激しく倒れ込んだ。

バキッという鈍い音と共に傘は無残に折れ曲がり、氷のような雨水が瞬く間に全身を濡らした。

ようやく、泥まみれのみすぼらしい姿で家にたどり着いた頃には、すでに深夜を回っていた。

びしょ濡れのまま玄関先に立ち尽くしていると、リビングから知夏の泣きを含んだ声が聞こえてきた。

「清輔さん、あなたが好きなのは絵麻さんだって知ってる……」その声は柔らかく、震えていた。

「でも今は本当に、特別な事情があって……

乳が張って、痛くて仕方ないの。それに子供もずっとぐずって、飲みたがってて……」

すすり泣きながら、彼女は続ける。

「お願い、子供のためだと思って、助けて……

大丈夫よ……絵麻さんには、絶対に知られたりしないから……」

絵麻はその場に完全に凍りついた。全身の血液が、一瞬にして凝固していくような感覚だった。

清輔は扉に背を向けて立っていたため、どんな表情をしているのかは見えない。ただ、酷く強張ったその広い背中だけが見えた。

長い沈黙の後、絵麻は、彼の左手がゆっくりと持ち上がり、指先が知夏の襟元をそっと開いていくのをこの目で見た。そして右手が、彼女の白い肌に直接触れるのを。

そして、絵麻は目を逸らすことすらできないまま――彼がゆっくりと頭を下げ、その薄い唇を知夏の柔らかな肌へと重ねるのを、ただ呆然と見つめていた……

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