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第8話

Auteur: 弐雨
雲偉守への畏敬と、皇太子としての体面を守りたい思い、この二つの考えが宋懐景の心の中で激しく絡み合っていた。

彼は深く後悔していた。

柳如煙の言葉を真に受け、結婚式をこれほどまでに盛大にしたことを。

そして――皇太子の威光を示すために、都の高官たちを招き寄せたことを。

目を閉じ、乾いた声でようやく言葉を紡ぐ。

「歳晩……孤が、悪かった――」

言い終わらぬうちに、柳如煙がすがるように彼の服の裾を握った。

「殿下……妾、殿下にはふさわしくございません。そのことは重々承知しております。今すぐ姉上にお詫びいたします……」

そう言って手を放し、膝を地にすりつけるようにして私の面前まで進んだ。

「姉上、すべての罪は妾にございます。皇太子妃の座もお譲りいたします。どうか……殿下をお許しくださいませ」

――さすがは江南第一の花魁だな。

その一挙手一投足が、人の心をくすぐるような弱々しさに満ちている。

先刻まで彼女に苛立ちを見せていた宋懐景でさえ、その表情をわずかに和らげたほどであった。

「歳晩……大目に見てやれ」

宋懐景の厚顔無恥さに、私は再び呆れ返った。

口元に微笑を浮か
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  • 今、あの時の過ちを知る   第8話

    雲偉守への畏敬と、皇太子としての体面を守りたい思い、この二つの考えが宋懐景の心の中で激しく絡み合っていた。彼は深く後悔していた。柳如煙の言葉を真に受け、結婚式をこれほどまでに盛大にしたことを。そして――皇太子の威光を示すために、都の高官たちを招き寄せたことを。目を閉じ、乾いた声でようやく言葉を紡ぐ。「歳晩……孤が、悪かった――」言い終わらぬうちに、柳如煙がすがるように彼の服の裾を握った。「殿下……妾、殿下にはふさわしくございません。そのことは重々承知しております。今すぐ姉上にお詫びいたします……」そう言って手を放し、膝を地にすりつけるようにして私の面前まで進んだ。「姉上、すべての罪は妾にございます。皇太子妃の座もお譲りいたします。どうか……殿下をお許しくださいませ」――さすがは江南第一の花魁だな。その一挙手一投足が、人の心をくすぐるような弱々しさに満ちている。先刻まで彼女に苛立ちを見せていた宋懐景でさえ、その表情をわずかに和らげたほどであった。「歳晩……大目に見てやれ」宋懐景の厚顔無恥さに、私は再び呆れ返った。口元に微笑を浮かべ、私はそっと柳如煙の顎を持ち上げた。「実に見目麗しい顔だね。私でさえ、心が揺らぎそう」視線を静かに滑らせ、揺らめく彼女の瞳の奥を射抜く。「ただ、ひとつだけ――あなた、ひどく勘違いをしてるわ。私があなたに手を出さないのは、恐れているからではない。穢らわしいと思ってるだけ」その「穢らわしい」の一語に、柳如煙も宋懐景も顔色を変えた。「雲歳晚……どういう意味だ!」宋懐景は歯を食いしばり、怒りを露わにする。柳如煙の顔も一瞬歪み、すぐに泣き崩れそうな表情に戻った。「妾は花魁ではございますが、身は清らかでございます。殿下以外、誰にも触れられたことはございませぬ……姉上、これ以上妾に死を迫られるおつもりでございますか……?」私は手を離し、春杏に目を向けた。春杏はすぐに清らかな手巾を差し出した。大勢の見ている前で、私は柳如煙に触れた指先を丁寧に拭いていく。「柳如煙、本名は陳燕(ちん えん)。揚州の出身、十九歳。家は貧しく、七歳で父に売られて遊郭へ。その時の名は『花萃』(かすい)十六で初めて客を取り、十七で正体不明の富豪に身請けされたが、十九に

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