ログイン夫と夫の愛人の裏切りによって無実の罪で刑務所に入れられてしまった音羽 刑務所で暴行を受け、救急搬送された事がきっかけで、夫との子供を妊娠していたと知る 音羽を刑務所から出すと優しく告げた夫 だが、当初の刑期が何故か伸びてしまった 子供も夫と愛人に奪われ、実の母は死んだと言われる 夫は、音羽の筆跡を偽造し、勝手に離婚をしていた 途方に暮れる音羽の前に現れたのは、どこか危険な香りを纏う男だった 「表の世界に戻れないなら、俺と一緒に来ればいい」 表の世界で、輝かんばかりの日々を送る元夫と、愛人 せいぜい表の世界でふんぞり返っていればいい 私は、裏の世界からあなた達を引きずり落とす 元夫が泣いてすがっても、もう遅い
もっと見る◇ 玉櫛 樹、玉櫛 裕衣が逮捕された。 伏見に散々抱かれ、気怠さを残したまま起きた音羽に、その言葉が告げられた時。 音羽は一瞬聞き間違いかと思った。 だが、伏見が見せてくれたスマホ画面にはしっかり樹と裕衣が逮捕される瞬間が映されていた。 感極まった音羽が乱れた服装のまま伏見に抱きつき、それがまた伏見の理性を崩して第2ラウンドに突入し、家に帰宅したのが午後になってしまったのはご愛嬌だ。 これで全て終わったのだ、と安心したのも束の間。 音羽は無実の罪を着せられ、服役したのだ。 それらについて警察署や裁判所、それにマスコミからも連絡が来てそれらの対応に暫くは目が回る忙しさだった。 全てが落ち着くのに、約1年ほどの時間を有したのだ。 ◇ ──4年後。 「お帰りなさいやし、組長、姐さん!」 都内、伏見組。 組員がずらりと並び、頭を下げている。 組員達が出迎えた、一台の車。 そのドアを開けたのは陸野だ。 ドアが開き、車から長身の1人の男が降りてくる。 男は組員や陸野には目もくれず、ドアの隣に立ち、もう1人降りて来るのを待っていた。 「──足元気をつけろ、音羽」 低く、落ち着いた声。 普段組員に向けられるような冷たく威圧感のある声ではない。 柔らかく、とろりと甘さを含んだ声。 そんな声を向けられるのは、組長である彼──伏見 蓮夜の最愛の妻と、子供「達」だけだ。 「ありがとう、蓮夜」 伏見の声の後、ほっそりとしたしなやかな白い手が伏見が差し出した手に重なる。 「頭をぶつけるなよ」 「ふふっ、大丈夫よ」 重ねた手をそのままどちらからともなく繋ぎ合わせ、家へと足を進める。 「組長、今日の予定ですが──」 陸野が伏見の斜め後ろに立ち、予定を告げる。 話される内容に軽く頷いた伏見に、陸野は頭を下げてその場から下がった。 2年前──。 正式に伏見が伏見組の跡を継ぎ、組長に就任した。 それと同時に、前組長は妻と一緒に少し離れた伏見組の別荘に引っ込んだのだ。 残りの人生は、最愛の妻と余生を過ごす、と──。 だが、最近はしょっちゅうこちらに帰ってきている。 今日だって、そうだ。 「──帰った」 「ただいま戻りました、お義父さん、お義母さん」 がらり、と障子を開けて音羽と伏見が部屋に姿を現すと、部屋の中にいた伏見の両
何度、伏見の指と舌で絶頂に導かれただろうか。 睦み合う2人はいつの間にか後部座席に移動しており、室内は甘ったるく濃厚な夜の気配に包まれていた。 限界だ、とばかりに覆い被さっていた伏見が自分の服を勢い良く脱ぎ捨てる。 服は乱雑に座席の下に放り捨てられ、伏見の鍛えられた均整の取れた体躯が音羽の目に飛び込んでくる。 太い首筋に、くっきりと浮かんだ鎖骨。 胸は厚く、呼吸が荒い今は大きく上下に動いている。 引き締まった腰に割れた腹筋。 そして──。 「熱い視線だな、そんな熱の篭った目で見ないでくれ」 「──〜ッ」 くつり、と掠れた低い声が音羽の耳元で囁かれる。 艶やかなその囁き声に、音羽は知らず知らず無意識にごくり、と喉を鳴らした。 壮絶な色気、だ。 伏見の表情、仕草、声──。 そのどれもに抗い難い色っぽさを孕んでいて、音羽は小さく喘いだ。 待ちきれない、といった様子の音羽に伏見は堪らないと唇を舌で潤す。 「ほら、俺の首に腕を回して……そうだ。しっかりしがみついて……」 まるであやすような、優しい声。 だが、下半身では凶悪なソレが音羽のそこに狙いを付け、今か今かと食らいつこうと涎を垂らしている。 「は……っ、ぅあっ、蓮夜……っ」 「……急かすな、はっ、音羽……っ」 はしたない水音を立てながら、待ち望んでいた質量が音羽の中に入ってくる。 耳を塞ぎたくなるほどの水音が下半身から奏でられる。 だが、伏見の首に腕を回している音羽に、自分の耳を塞ぐ事は出来ない。 「──ひっ、あっ、大きっ、苦し……っ」 「……頼むから煽るな」 「──ッ!」 伏見の耳元で、音羽の掠れた喘ぎ声が途切れ途切れに紡がれる。 切羽詰まったような伏見が、唸るように呟いたと思ったら。 ガツン、と音羽の体に強烈な快感が走った。 かひゅっ、と音にならない悲鳴を上げる音羽だったが、伏見はタガが外れたように苛烈な突き上げを繰り返す。 ガクガクと体が震え、あっという間に絶頂に上り詰める音羽だが、音羽が達しても伏見は腰の動きを止めてくれない。 「──ぃやっ、待って……っ、止まっ、蓮夜……っ」 「無理、だ……っ、は……っ、音羽っ、音羽っ」 「──ひっ」 何度も何度も声にならない喘ぎ声を発し、バタバタと暴れる。 だが、音羽の体をがっちりと押さえつけている伏見
ばっ、と勢いよく伏見から体を離された音羽は、きょとんと目を瞬いた。 涙に濡れ、キラキラと輝いている瞳が伏見を見つめる。 「蓮夜……?」 「……っ、そろそろ、家に帰ろう」 もう日付けはとうに変わっている。 今から帰宅すれば、夜中には家に着ける。 伏見はドアを開け、音羽を助手席に座らせると自分も運転席に回り、乗り込んだ。 バタン、とドアを閉めてシートベルトを締めようとした伏見だったが、ふと助手席に座る音羽がじっと動いていない事に気がついた。 「──音羽?どうした……」 いつもだったらすぐにシートベルトをするはず。 それなのに、音羽はシートベルトを指先で遊びつつ、どこか拗ねたような口調で呟いた。 「……まだ、蓮夜にぎゅっとしていて欲しかったなって……」 「──〜っ」 「それに、キスも……」 したかった。 ぽつり、と呟かれた音羽の可愛らしいお強請り。 その言葉を聞いた瞬間、伏見の頭の中でぷつり、と何かが弾けた。 運転席に座っていた伏見が、自分のシートベルトを離してぐっ、と音羽に体を近付けた。 シートベルトをしてくれるのかな。そう思った音羽だったが、そのまま伏見の体が覆いかぶさり、自分の唇を塞いできた事に、目を見開いた。 「──んっ」 びっくりして目を見開いた音羽だったが、その目はすぐにとろんと甘く細められる。 自分の我儘を聞いてくれたのだろうか──。 嬉しくて嬉しくて、音羽は瞼を閉じて伏見の背中に手を回した。 音羽の手のひらに伝わる伏見の背中の熱が、とても高い事に驚いた。 瞬間──。 ガクン! 「──きゃあっ!?」 座席が突然後ろに倒れ、音羽は驚きの声を上げてしまった。 閉じていた目を開けると、自分の目の前にはどこか切羽詰まったような伏見の顔がある。 伏見の大きな体にまるで閉じ込められているような。そんな感覚に陥る。 「……俺が我慢していたってのに」 「──え、あ……んっ」 伏見は苦しそうに呟くと、再び噛み付くようにキスをする。 最初から激しく、まるで喰らい尽くすような濃厚なキスに、音羽の頭がぼうっとしてくる。 伏見の舌は、音羽の咥内を思うがままに蹂躙する。 激しい口付けに酔いしれていると、伏見の大きな手が音羽のスカートを捲し上げ
「どうした?大丈夫か?」 伏見はドアを開け、音羽の頬に自分の手のひらを添えた。 音羽の頬は白く、冷たい。 その事に気付いた伏見が眉を寄せた時、音羽が口を開いた。 「ご、ごめんなさい……何だか、まだ実感が湧かなくて……。裕衣が、本当に警察署に自首を……」 「ああ。間違いない。俺の目でしっかり見た」 「……っ、昔の事件を……」 「ああ。……音羽に被せた罪を、洗いざらい吐くと言った。そうしないと、自分の身が危ないからな」 音羽も、聞いただろう?そう優しく問いかけてやると、音羽はこくりと頷いた。 裕衣を海から引き上げ、助けた後。 伏見の誘導に従い、裕衣は自らの罪を認め、そして自分の身を守ってもらうために警察に自首すると口にしたのだ。 「念の為、ボイスレコーダーで玉櫛 裕衣の証言は録音してあったが……使わないで済みそうだな。明日にはきっとニュースになる」 「──〜っ、やっと……、やっと、私の罪が……無実だったと、証明されるの……?」 「ああ、そうだ。音羽には何の罪もなかった。それが、世間に知らされる」 ぐしゃり、と表情を歪め、涙を流す音羽。 伏見は音羽を車から抱き上げ、強く抱きしめた。 「もう大丈夫だ、音羽。音羽に無実の罪を着させた奴らは、ぶち込まれる。音羽が無実だと言う事が、世間に発表される」 「れ、蓮夜……っ、蓮夜……っ」 ありがとう、ありがとうと何度も繰り返す音羽に、伏見は笑い、首を横に振る。 音羽がお礼を言う必要などない。 「罪を犯した人間が、逃げ続ける事は出来ない。嘘だってその内バレる。遅かれ早かれ、こうなっていたさ」 「でもっ、でも……蓮夜がいなかったら……こんなに早く暴かれなかった……っ、それに恭ちゃんだって……っ、蓮夜がいてくれたからっ、蓮夜が助けてくれたからっ、恭ちゃんも、事件もっ、全部解決出来たんですっ、蓮夜っ、蓮夜……っ」 音羽は何度も何度も伏見にお礼を伝え、何度も伏見の名前を呼ぶ。 伏見はただただ音羽を強く抱きしめ、彼女が落ち着くまでずっとそのまま抱きしめ続けた。 すん、すん、と鼻を啜る音が聞こえる。 感情の昂りが、ようやく落ち着いてきたのだろう。 伏見は自分の腕の中にいる音羽を見下ろし、優しく問いかけた。 「落ち着いたか?」 「──ん、すみませ、」 「ははっ、大丈夫だ。ほら、目を擦るな。赤
いやらしく蠢く樹の手のひらを、音羽は慌てて掴んだ。 「ちょっ、樹……っ!」 「……何故止める、音羽?」 音羽が抵抗した事が面白くないのだろう。 樹は、不機嫌さを隠しもせずに低い声を返す。 だが、樹は音羽の首筋に顔を寄せ、音羽の白くて細い首筋を舌で辿る。 その感触に、快感ではなく嫌悪感からぞっと体を震わせた音羽だったが、樹は彼女が快感に震えたのだと勘違いしたのだろう。 途端に機嫌良さげに笑い、音羽に掴まれた手を振り払い、病院着の中にするりと入れた。 細い音羽にしては大きな胸に、樹は自分の手のひらを食い込ませると我が物顔で揉みしだいた。 「ちょ……っ、止め
樹が出て行った部屋で、1人。 音羽は痛みに呻きながら嬉しさに涙を零していた。 「樹……樹が、来てくれた……!」 音羽の瞳からは、後から後から涙が零れる。 とても、辛かった。 覚えの全くない罪で捕まり、実刑判決を受け、刑務所に入れられた。 生まれ育った場所を離れ、地方の刑務所に入れられ。 どれだけ心細く、恐ろしかったか。 だけど、樹がわざわざこんな遠い場所まで駆け付けてくれた。 そして、必ず出してくれる、と樹が言ってくれた。 それに──。 音羽は、自分のまだぺったりとしている腹部に目を向け、痛む腕を何とか動かして下腹部に触れた。 「ここに……私と樹の赤ちゃんが……」
「──えっ」 「今、妊娠6週目らしい。つわりなどは無かったか?体が辛かったりしないか……?」 「ぜ、全然……気付かなくって……私のお腹に樹の赤ちゃんが……?」 全く気付いていなかったのだろう。 音羽は樹の言葉を聞いて呆然としていたが、次第にじわじわと頬が紅潮し、瞳が潤む。 「本当に……?本当に私と樹の赤ちゃんがいるの……?」 「ああ。間違いない。病院で検査をして、間違いなく妊娠しているそうだ」 「嬉しい……っ!」 「ああ、俺も嬉しいよ音羽。俺の子を妊娠してくれて、ありがとう……!」 樹は、音羽をそっと抱き起こし、自分の腕で抱き締める。 本当は思いっきり強く抱き締め、病室
病院内は、清潔で掃除が行き届いているのが良く分かり、樹はほっと胸を撫で下ろした。 (受刑者とは言え……玉櫛財閥の嫁だ。ぼろい病院じゃなくてまだ良かった。……だが) 樹は顎に手を添え、考える。 (この先の事を考えれば、音羽の刑期を短くさせて早く出した方がいいだろう。都内の大病院に入院させねば……) 考えながら歩いていると、あっという間に音羽が入院していると言う病室の前に着いた。 「玉櫛様、こちらです」 「──分かった。ひとまず妻と2人きりにしてくれ。話は後で聞きに行く」 「かしこまりました」 頭を下げ、去って行く院長や医師達。 その背中を数秒見つめた後、樹は特別室の扉をスラ
レビュー