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第544話

Author: 藤崎 美咲
律人は笑って言った。「お礼なら喜んで受け取りたいところだけど、僕は星乃を通して、君の会社に追加出資するよう頼んだ覚えはないよ。たぶん、何かの間違いじゃないかな」

遥生は少し黙り、この前、株式譲渡契約をあらためて確認したときの、星乃がどこか落ち着かない様子だったことを思い出した。

その瞬間、彼はなんとなく事情を察した。

それ以上は律人に何も言わず、笑って答える。「たぶん本当に僕の勘違いみたいだ。悪かったな」

電話を切ると、遥生はそのまま星乃のもとへ向かった。

星乃はちょうど仕事に追われていて、遥生が来ても特に気に留めなかった。

「ちょっと来て」そう言い残して、遥生は先に部屋を出る。

いつもと違う口調に、星乃は首をかしげたが、手を止めてあとを追った。

二人はエレベーターで屋上へ向かう。

周囲に誰もいないことを確認すると、遥生は真剣な表情で星乃を見つめた。

普段は穏やかな彼しか知らない星乃は、無表情でどこか怒っているような遥生を見て、思わず身構える。

頭の中で、このところ仕事で何か問題があっただろうかと必死に思い返した。

心当たりといえば千佳の件くらいだが、あれはもう
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    律人は笑って言った。「お礼なら喜んで受け取りたいところだけど、僕は星乃を通して、君の会社に追加出資するよう頼んだ覚えはないよ。たぶん、何かの間違いじゃないかな」遥生は少し黙り、この前、株式譲渡契約をあらためて確認したときの、星乃がどこか落ち着かない様子だったことを思い出した。その瞬間、彼はなんとなく事情を察した。それ以上は律人に何も言わず、笑って答える。「たぶん本当に僕の勘違いみたいだ。悪かったな」電話を切ると、遥生はそのまま星乃のもとへ向かった。星乃はちょうど仕事に追われていて、遥生が来ても特に気に留めなかった。「ちょっと来て」そう言い残して、遥生は先に部屋を出る。いつもと違う口調に、星乃は首をかしげたが、手を止めてあとを追った。二人はエレベーターで屋上へ向かう。周囲に誰もいないことを確認すると、遥生は真剣な表情で星乃を見つめた。普段は穏やかな彼しか知らない星乃は、無表情でどこか怒っているような遥生を見て、思わず身構える。頭の中で、このところ仕事で何か問題があっただろうかと必死に思い返した。心当たりといえば千佳の件くらいだが、あれはもう解決したはずだし、遥生も事情は知っている。じゃあ、いったい何のことだろう。そう考えていると、遥生が低い声で切り出した。「前にUMEへ振り込んだあのお金、本当はどこから出たんだ?」まさかそのことを聞かれるとは思わず、星乃は目を泳がせながら無理に笑みを作る。「その話、前にもした気がするけど」正直に話すつもりがないと察した遥生は、まっすぐ言った。「さっき律人に電話した」その一言で、星乃の胸がどきりと鳴る。「律人に……何を話したの?」明らかに動揺している彼女を見て、遥生は自分の予想が当たっていたことを確信した。「律人は何て言ってた?何か聞かれなかった?」星乃は慌てて尋ねる。自分の中では、悠真とのことはもう完全に終わっている。けれど、律人が同じように考えているとは限らない。息が少し速くなり、いっそ自分から事情を説明したほうがいいのではないかと頭の中で考え始めていた。「何も言われなかったよ。僕が勘違いだって伝えておいた」その言葉に、星乃はようやく胸をなで下ろした。遥生には隠し通せないと分かり、星乃は以前、悠真と交わした約束についてすべて話した。続

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