تسجيل الدخول木工ギルドの職員に詳細を話してしまうことにする。
「実は、新しいゲームを考えたのでそのゲームの説明をするにあたって木工職人の手を借りて、そのゲームの素になるパーツを作ってほしいのですが、職人の手を借りて一つ一つ丁寧に……というほどに豪華なものではないのですよ。なので、どのように注文していいものなのか迷ってしまって。それで」
「なるほど。だとすれば徒弟の出番ですかね」
「徒弟の制度があるんですか」
「ええ、木工ギルドにも、鍛冶師ギルドにも、それぞれ徒弟制度があります。あえてお弟子さんを取ってらっしゃらない親方もいますが、複数人抱え込んでどうやって育てていこうか悩んでいる親方もいらっしゃいますので、糊口をしのぐ形になるとしても、何かしら仕事を募集してる工房に引き合いがあれば……あ、モクロク親方! 」
後ろを見てふと手を振っている先を見ると、人間の親方らしい人がお供を三人連れてカウンターに寄ってきた。
「なんだい、仕事でも見つかったかい? こい
村の外側まで大きく回って、まずは被害の大きそうな畑から見ていく。畑一枚当たりで考えると、二割から三割ほどの作物が荒らされてしまっている。麦は踏まれると強くなるとは言うが、収穫直前にこれでは商品や食い物にならないだろうな。 早速一匹目のミニボアを見つけたので、さっと近寄って首筋にショートソードを入れて血を抜き、畑から引っ張り出して畑のそばに横たえておく。さすがに畑を血で汚されるのは好まないだろうし、かといって畑から追い出してから倒すのでは余計な被害が出かねない。 冷静に一匹ずつ、ミニボアを倒していく。本当に大量繁殖しているかどうかは置いといて、畑一枚あたりに一匹は潜り込んでいる感じだ。畑が……30枚ぐらいあるから、少なくとも30匹は倒せるな、という感覚でまずは一枚一枚畑を確認していく。 そして、ミニボアがいたら倒して畑から引きずり出して、畑の横に並べて置いておく。畑の中を移動しながら戦う都合上、いつものアイテムボックスで血抜きをしながら戦う方法は封印だ。 セルフィが時々集めてくるミニボアを血抜きが終わったかどうかを確認しながらアイテムボックスに詰め直していく。普段よりちょっと手間だが、実質二倍速で作業をしているので、やはり総合すると五割増しぐらいのスピードで仕事が進んでいることになる。 午前中の間にすべての畑の見回りを終わり、セルフィと確認し合ったところで、畑の外側に生息しているであろうミニボアを予防措置として倒していく手はずとなった。 外側とはいえミニボアもそこそこ生息領域が広いモンスターではあるらしいのだが、村の周辺に近寄らないように予防線を張っておくのは大事だろう。 村の畑から出て、目に見える範囲ぐらいの間にいるミニボアをまた一匹ずつ狩り始める。今度は畑の外なので、血も抜き放題だし逆さにし放題だ。手順良く倒しては半分格納、血抜きが終わったら完全収納、と手順良くやっていく。 途中、セルフィが倒して血抜きをしたまま放置したのであろう跡を見つけたので、血が抜けていることを確認してアイテムボックスに収納していく。ワイルドボアは今のところ出てきていないのが救いか。 ワイルドボアの相手を一人でやる
パルム、というのがこの村の名前らしい。それほど人口は多くないらしく、村というよりさらに小さい集落、というほうがしっくりくる程度の、数十人程度が暮らしている様子の場所だ。村の裏手……街道から見て反対側には畑が広がっている。 この畑がある都合でここに集落があるのだとすると、毎日ボコマズの街やその更に向こう側の村から通うとなると中途半端な上に、きっとここが作物を育てるのにちょうどいい場所だったのだろう。 しかし、街の城壁に囲まれない場所では周辺のモンスターの状態によって環境や危険度を左右されるのは仕方がないところ。今回も”そういう依頼”ということなんだろう。 パルムの村の中に入り、一番大きい家のほうへ向かっていく。村長や代表なんだから一番大きい家に住んでいるだろう、という偏見でしかないが、それでもおそらく間違ってないだろうところに向かう。「すいません、誰かいますか」「なんじゃい、どちら様かな」 爺さんらしき人が一人出てきた。長老って威厳はないが、気安そうな爺さんが一人出てきた。気難しそうな人でなくて良かった。「冒険者ギルドから来ました。ミニボアの繁殖で困ってると聞いたので」「おお、来てくれたか。待っとった。今年はグレートボアの大繁殖期らしくてな。そのおかげでワイルドボア、ミニボアの数も増えておってな。畑を掘り返されて困っとるところなのよ。その畑の警備をお願いしたいんじゃが……一日銀貨二枚、倒したミニボアは二匹を除いて好きにしてもらって構わない、という条件のはずだが、聞いておるか? 」「ミニボア二匹を残す件以外はおおむね。ちなみに、ミニボア二匹の理由を聞いても? 」「単純に、畑を荒らされてる分食い物がないからその腹いせに食い返してやろう……というだけじゃ。深い意味であるとか、少しでも依頼料をごまかそうとかそういう意味ではない。一匹残らず狩った自分たちのもんだと言い張るなら、それでもかまわんて。ただ残してくれるといろいろ手間が省けてうれしい、程度のもんじゃ」 なるほど。なら、二匹ぐらいなら
常設ではない依頼を見ていく。村に現れるゴブリンの定期駆除、わかっている場所のゴブリンの巣の掃除、ミニボアの大発生による畑の警備、村の倉庫の整理手伝い、いろいろある。しかし、ゴブリン退治や定期駆除のほうはDランクからの依頼となっている。まだ受けられないな。 村の倉庫の整理手伝いなんかはFランクからでも受けられるようになっているが、村までの距離と受け取れる報酬なんかを考えると、効率はあまりよろしくないな。ちょっと悪いけどパスさせてもらおう。 そして、ゴブリンはどうやらこの世界では面倒なモンスターの範囲らしい。きっと、駆除するにも集団行動をしっかりしてくる、統率の取れたモンスターなのだろう。 コボルトがその分弱いというわけではないのだろうが、コボルトは低ランク向けのダンジョンのモンスターとしても出るところを見ると、ゴブリンのほうが厄介なのだろう、と考えておいたほうがいいな。「うーん、社会的信用もそうだが、きちんとした依頼っぽいものを受けるためにはまだまだ努力が足りないらしいな。Dランクからということはかなり大変な戦いになるらしいし、まだ常設依頼以外をするにはちょっと効率が悪そうだな。どうする? 一応Eランクでも受けられる依頼はあるようだけど」「そうですね……せっかく朝から活動できるんですし、近くの村へ行って移動時間分だけ稼ぐお金が少なくなりますが、それでも名前を売りに行くのはありだと思います。私たちも名を売りに出かけましょう。一番近くの村で何か仕事がないか探してみるのがいいと思います」「一番近くの村……地図が必要だな。まずは地図を探そう」 書棚を漁って周辺地図を探しだし、近くの村の位置や隣町までの距離などを、この街に来て十数日目にしてようやく拝むことになった。そういえば、俺も南門から入った当初は近所の村から出稼ぎにきた、という表向きの理由で来てることになっているんだったな。 隣村の名前を近い順に頭に思い浮かべて、近くて楽そうな依頼を探す。すると、やはり近くの村ではミニボア……またミニボア狩りか、と思うところではあるが、うっかりワイルドボアなんかが出てきた場
今日もいつもの朝を迎える。本当に、このあたりはあんまり雨が降らないんだな。時期的なものだと思いたい。きっと、梅雨ではないにしろ雨期は存在するんだろうな。でなければ草原など自然に維持されるようなものではない。「おはようございます、ご主人様。今日も頑張りましょうね」 セルフィも昨日はリバーシに勝ってからゆっくり眠れたからなのか、いつもより目覚めも快調の様子。さて、今日は何をしようかな。 清潔魔法を使って服を洗って体の身支度を済ませて、綺麗に服装を整えたところで昨日の残り物のご飯をもらいに食堂へ。「おはようリンカちゃん。今日も朝食と、お出かけ用のお昼ご飯もよろしく」「おはようございます。座って待っててください、すぐお持ちしますね。お昼は朝を食べ終えたぐらいで用意できるように頑張ります」 テーブルに座ってしばらく待ってる間に、今日やることを決めようと考える。 三日前は薬草採取と肉集め。二日前は一日豚骨スープ作り。昨日は骨焼きと午後から肉集め。そうすると、今日はできるだけ被らないようにするには……薬草採取かダンジョンかってところだな。 もしくは、新しく依頼を探してそれを受けてみる、という手もある。しかし、Eランクでも受けられる常設以外の依頼というのは、ちゃんと稼げる範囲で存在するんだろうか。それを色々と確かめてみるか。特になかったらダンジョンに行こう。「よし、今日の予定を決めた。とりあえず冒険者ギルドで依頼探しだ。何かEランクでも世の中に貢献できる、胸を張って人の役に立てたと言えるような依頼があればそれをこなすことにしよう」「そういうのもいいですね。みんなのお腹を満たすことも必要ですが、もっとより明確に他人の役に立てることがあればそれに越したことはないと思います。やる気も名誉も信用も得られて何重もお得ですね」 名誉や信用が欲しくて仕事をするわけではないが、ないよりはあったほうがいいからな。お金にはならないけど、お金を呼んでくれる条件として名声や信用は大事だ。信用があれば金も借りれるし、すぐ返せと言われなくて済む。 それに名誉や信用があれば、ちょっとした
食事を食べ終わり、水を飲んで休憩をしていると、リバーシ待ちで声を上げる人がいたので、セルフィとそれぞれの席に向かってリバーシを楽しむことに。「よろしくお願いします」 お互いに礼をして、リバーシを始める。ルールを完全に知っているのと、ルールを活かして勝負ができるのと、読みあいや棋譜の基本が頭に入っていてどう相手に打たせればこっちに有利になるかまでを誘導するように打たせられるかはレベルが違う。 俺にできるのはせいぜいルールを活かして読み合いが軽くできる程度だ。ちょっとだけ、ルールを覚え始めたプレイヤーよりは強いぐらいの腕しか持ち合わせていない。 俺がリバーシの考案者ということは広まっていないので、考案者の癖に弱い、ということまではばれていない様子だ。ただのリバーシをルールだけは覚えた宿泊者、という立場を崩したくないので、ここは精一杯戦って勝てるかどうか試すことにしよう。 もし相手の腕に自信があるなら、俺に勝てたら飯代はおごりでいい、と自主的に言い出して奮起させる方向に行くだろうが、この相手はそんなことは言いださなかったので、そこそこの腕前、というところなのだろう。 実際、十手ずつほど進めたところで、まだいい感じの勝負を続けている。それほど強いと感じないあたりが……いや、もしかするとそこそこの腕前に見せかけているだけかもしれないな。油断せずいこう。「参りました」「お粗末様でした」 ほぼ同時に始めたはずだが、セルフィのほうはセルフィが勝って終わったらしい。やっぱりセルフィ、頭が柔らかいのか、かなり強い気がする。俺が弱いわけじゃないんだな、という自信がさらについた。よし、ここは俺も勝って……あれ、どんどん俺の色が減っていくぞ。 とりあえず……ここで、いや、ここにおくとこっちに置かれるから……うん、これ微妙に詰んでないか? 相手の顔を見ると、ニコニコとしている。どうやら、こっちの手の内を読んで、何手か先までは見通されているかのようだ。これは……負けかな。 どこ
しばらくミニボアを狩り続けていたところ、足音が響く。この足音は間違いない、ワイルドボアだ。 周囲を急いで見渡すと、一直線にこちらへ駆けてくる一匹を見つけることができた。「ワイルドボア来たぞ、攻撃のほうよろしく、こっちは前回と同じく、受け止めつつ頭を狙う」「わかりました。十分ご注意を」 セルフィが俺のそばにきて、いつでも飛び出せるポジションに立つ。俺が正面からしっかり腰を落とし、ワイルドボアの体当たりと牙を確実に避けられる姿勢を取る。 やがてワイルドボアはそのままのスピードを殺さず、全力で俺に体当たりを敢行してきた。その体当たりをショートソードと手首、腰、そして足首と足裏で完全に受け止める。 そして、ショートソードの先はちょうど脳天を突き破り、ワイルドボアの頭を割ったところで止まった。そのままセルフィが横から飛び出し、いつもの場所に傷をつけ、効率的に血を垂れ流させる。 脳は傷つけたが心臓には一切ダメージを残していないため、心臓はかろうじて動き続けてはいる。その間に一滴でも多めに血を抜いてやらないとな。ワイルドボアを半分アイテムボックスから出し、血を抜き続ける。 頭に一撃入ったから血は完全に抜けないかもしれないなあ。脳の、心臓の駆動に関する部分を傷つけていたらアウトだろうが、そこ以外に当たっていたらまだ見込みはあるか……まあ、実際どうなるかは解体結果書次第か。うまく行ってくれてますように。 ◇◆◇◆◇◆◇ ワイルドボアはその後も二匹来た。三匹目を倒したところで俺とセルフィの剣術、剣聖レベルもレベルアップ。ワイルドボアをより楽に倒せるようになったはずだ。 次のワイルドボアが楽しみだなあと思いながらミニボアを倒していたが、そういう時に限って出てこないものなんだなあ。結局その後ワイルドボアが道沿いにまで出てくることはなかった。 その代わり、ミニボアに限っては充分な数を倒すことができて食料にできる分だけしっかりと倒すことができた。 日が暮れ始め、時刻を時空魔法で確認すると17時。今から戻って冒険者ギルドで解体結果書を受け取って、銀の卵亭に
奴隷商で茶を出される。ちゃんと商売をしている以上飲み物に何かを混ぜられたりはしていないし、鑑定で鑑定してもただの茶葉……といってもそれなりに値段はするらしいので、これは客だ、と見込まれて出されたことになる。普通なら水か白湯、というところだろう。「さて、まずは奴隷を探しに来た理由を聞こうか」「知り合いの子が昨日奴隷として売られていたのを見た……では理由として薄いか? 」 知り合いではないし、一方的に知っているわけでもない。ただ、出自は俺と同じだろう、ということだけがわかる。そんな微妙な
翌日、朝日の出とともに目覚める。角部屋で窓にカーテンがないためだが、それにしてもまぶしい部屋だなここ。誰だこんな部屋借りたの……俺か。 二度寝を決め込もうとも考えたが、今日は大事な日だったな。これは寝てはいられないし、微妙に日当たりが良すぎて暑くもなってきそうだ。よし、起きるか。 昨日履いたパンツを、井戸の横に設置されていた、桶と洗濯板で洗う。ここで洗い物していいんだよな……? パンツだけは毎日替えないと気分悪いからな。洗ったパンツは後で干しておこう。 パンツの洗濯が終わったところで
ちゃんと日が落ちる前に南門から街中へ帰る。「お、ちゃんと帰ってきたな、えらいぞ」 門番からはちゃんとお使いできてえらい! と褒められた。40過ぎのおっさんが、だ。でも、新人冒険者には違いないからな。言われたことをきちんと守るのも冒険者の務めなら、今日一日は立派に過ごせたということになる。 にしても、腰を痛めなくてよかったな。最近は歳のせいか、ぎっくりの気配が近寄ってくると、察知できるようになってきたが、今日は中腰仕事を半日してもいつもなら現れるであろうぎっくりの気配がかけらも来なかった。これも異世界転移特典だったりしてな。わはは。
30分待つことなく、武器だけ買いそろえた俺は南門へ向かった。その場で先に待っていたイアンちゃんと合流する。イアンちゃんはさっきより一枚二枚多く着込んだような服装で、頭には軽めの帽子をかぶっていた。 腰にはしっかりナイフを持ち、戦う準備は万端という感じだ。 実際にはもっと重苦しい装備もできたんだろうが、薬草採取ならこのぐらいで大丈夫だろう、という感じだな。「早かったですね。そういえば、武器も持たせずに待ち合わせに来てしまいました。今から急いで武器だけでもそろえに行きますか? 」「いや、アイテムボックスに入れてある。この通り」







