「いでででっ! く、日下……っ! てめぇには関係ねぇだろうが!?」 みっともなく喚くタオに、日下先輩はにこりと笑う。「関係ない……? 残念だけど、それを決めるのは君じゃないんだよねー」 そう言いながら、ギリギリと太い腕をねじり上げると野太い悲鳴が上がった。「人の彼女に気安く触らないでくれる……? この腕、へし折ってやろうか?」 低く、地の底から這い出るような声で日下先輩は威喝する。かと思えば、優しく由香里ちゃんの肩を抱き寄せると、ころりと表情を変え眉を垂れた。「由香里ちゃん、大丈夫? 酷いことされなかった? ちょっと待っててね、害虫はすぐにすり潰すから」 突然のことに、由香里ちゃんは呆然と日下先輩を見上げている。そして頬を真っ赤に染めると、無言で日下先輩をどつき始めた。「え、なに、ちょ、由香里ちゃん痛い!」 その言葉とは裏腹に、日下先輩は楽しそうに笑っていた。涙目でどつき続ける由香里ちゃんの腰を抱き寄せると、腕の中にとじ込める。「由香里ちゃん、顔真っ赤だよ? どうしたの? あー……やっば……可愛い……」 そのどこか色っぽい空気に、周囲はいたたまれずに視線を泳がせた。私もつられて頬が熱くなるのを感じる。だけど、それを面白く思わない輩がいる訳で。「てめ! ふっざけんな! なにイチャついて……いってぇ!」 まだ腕をねじ上げられたまま、タオが声を上げるけど、日下先輩は無視して由香里ちゃんの髪を撫でる。手下達も口々に暴言を浴びせていた。「ごねんね、怖かったよね。すぐ静かにするから」 そう言いながら、そっと額に口づけるとタオを足蹴にした。顔から地面に激突する形になったタオは、鼻血を垂らして日下先輩を睨みつける。「この……っ!」 手下達に手を借りて立ち上がったタオは、その腕を振り払うと勢い任せに殴りかかった。 日下先輩は、振り抜かれた拳をひらりと躱す
Last Updated : 2026-07-21 Read more