まって……お願い……まって……置いてかないで……俺を一人にしないで……まって…… 「まって!」 俺はその声と共に飛び起きた。夢? 「大丈夫か?」 その声にハッとして俺は隣を見る。 俺は拓ちゃんにお姫様抱っこされて誰かを掴もうとして伸ばした手は拓ちゃんに優しく握り締められていた。 「あ…ごめん…」 俺は下を向き呟く。 「お前。記憶を失くしてから謝ってばっかりだな。俺はお前に謝ってもらうようなことはしてないけどな。それに俺はお前からのごめんは聞かないことにしてるし」 拓ちゃんはそう言って握り締める手に力を入れてくる。 「もう少し…このままでいてもいい?」 俺はそう聞いてみた。断られるの覚悟の上で。 「ダメならこんな格好で抱いてない」 拓ちゃんはそう言って俺の頭を自分の肩に引き寄せた。 「特Aクラスの拓ちゃんをサボらせちゃったね」 俺はポツリ呟く。 「なんでお前、俺が特Aだって知ってるんだ?」 拓ちゃんが静かに聞いてくる。 「…少しだけ…記憶が戻ってるから…でも一番大事な部分が思い出せない。…思い出したいのに…思い出せない…」 俺は正直に話す。 「そうか。戻ってきてるのか」 拓ちゃんは静かにいう。 「俺は…あなたのことを忘れてたんだね…一番大事な記憶はあなたのことなんだね…」 俺は握り締められた手に少しだけ力を込めていう。このまま突き放されてもいいやと思いながら… 拓ちゃんは握り締めた俺の手を口元に持っていき 「俺はいつでもまってる。お前が自分で記憶を取り戻すのをな。だから焦る必要はない」 そっと唇を寄せ言う。 「やっぱり拓ちゃんは優しいね」 俺は拓ちゃんに凭れたまま呟く。あなたも金狼さんも優しいね……俺には勿体ないぐらいにさ……ほんと……優しすぎるよ……だから甘えちゃうんだよ……でも……もう決めたことだから……今更止めたりはしないけど…… 「次の授業は出た方がいいでしょ?俺のことはいいから戻っていいよ?」 俺は拓ちゃんに言う。 「いや。大丈夫だ。今はお前とこうしてたい」 拓ちゃんはそう言って俺を抱き締める。 ほんと優しいね…。俺がどんなふうに言われてるのかも知ってるのに…… 俺がどんな扱いを受けてるのかも知ってるのに…… それでも変らず接してくれるんだから優しいよね…… 「
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