All Chapters of 離婚して、今さら愛してると言われても: Chapter 161 - Chapter 169

169 Chapters

161.最終決戦

遥side 「……なんで遥はここだと思ったんだ?」 俺が麗華に助けられたことの詳細を遥は知らないはずだった。それにもかかわらずなぜ『ここしかない』と断言しているのか不思議でならなかった。 「仕えていた西村家の息子がここが好きで家政婦や執事たちと一緒によく来ていたの。彼の方が少しだけ年下で私が川で彼のことを見張っていたんだけれど、ある日、川上から流されてきた同年代くらいの男の子がいて助けたの……。西村家の息子が大人を呼びに行って、私が川に入ってその男の子を引っ張り出して助けたんだけれど……その時、周りも助けに加わる中で遠くから傍観しているだけのグループがいたの。それが、星野家よ……」 「なんだって……?」 「星野家の存在を知っていた人は、彼らに助けを求めに行った。だけど、『一般人のために我々が動く義理なんてない』と一蹴されたわ。救急車を呼んで、駆けつけた救助隊が病院に搬送するために男の子の名前を叫んでいるのを聞くと、星野家の人たちがざわついて彼を助けると言いだした。それがあなたなの……」 「助けたのは麗華じゃなかったのか……それに、そのことを知っていたのか……何故、自分だと言わなかった?」 「もし言ったら、あなたは私の言うことを信じてくれた?……あなたは、麗華こそが命の恩人だと盲信していた。私が何を言っても信じてもらえないどころか、嘘だと罵倒したんじゃない?だから言わなかったの」 遥の言葉に何も言い返せなかった。麗華の嘘は、八年前ではなく出会った頃から、すべてが嘘で塗り固められていたのだ。 「いたわっ……」 茂みの向こうに、麗華と花蓮の後姿が見えた。麗華は花蓮に興味を持たず、つまらなそうにスマホをいじっている。スマホ自体に興味があるわけではなく、スマホの画面をじっと眺めて誰かからの連絡を待っているようだった。 「遥、二手に分かれよう。俺は麗華の気を引いて時間を稼ぐようにする。その隙に花蓮ちゃんを助け出してくれ」 「分かった」 麗華にバレないように奏多だけが迂回をして麗華の前に向かって走りだした。私はじっと草
last updateLast Updated : 2026-06-21
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162.最終決戦②

遥side「麗華……あなたが運命だと言っていたこの場所であなたは一体何をしていたというの?奏多を助けた?何人かがあなたたちに助けを求めても知らん顔をして、ずっと高みを見物をしていたわよね?周囲がざわつく中でも、あなたたちは気にせずに肉を焼いてお酒を飲んでバーベキューを継続していたわ。……あなたたちが動いたのは、救命隊員が到着してタンカーに運ばれる奏多の名前を知った時だったわ、違う?」私の言葉に麗華は眉間に皺を寄せて、激しく歯を食いしばり表情を歪ませていた。「言いがかりよ……何適当なことを言っているの?奏多を助けたのは私なんだから」「そう……?その日、今はトップになっている西村家の息子もあの場所にいたの。彼に聞けば真実が分かると思うわ。このことだけじゃなくて、奏多の子供を妊娠した話も嘘だったのね……あなたの嘘でどれだけの人が惑わされて迷惑を被ったと思うの?」「迷惑? 違うわ! 私の人生を奪ったのはあなたよ! あなたさえいなければ、奏多は私のものだった。私はただ、彼に愛されたかっただけなのにっ……!」その悲鳴に近い叫びは、奏多への歪んだ執着そのものだった。周囲の犠牲や迷惑など顧みない、あまりに利己的で独りよがりな愛情。奏多は、そんな彼女を冷徹な視線で見下ろし、深く溜め息をついた。「麗華、もういい。麗華に恋愛感情を抱いたことなど一度もない。今後、俺の心が麗華に向くことは絶対にない。……それに遥と結婚するきっかけとなったスキャンダルも、すべては他の人間が仕組ん
last updateLast Updated : 2026-06-22
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165.誓い②

遥side「えっ……遥?」驚きのあまり、声も出せずにこちらを見つめる直人だったが、チャペルな扉がゆっくりと開き、私は前を向いたまま一歩、また一歩とバージンロードを踏みしめる。祝福の拍手と、参列者たちのざわめき。その中にかつて私を地獄から引き上げてくれた恩人たちの顔がある。周囲の拍手を聞き、ふいをつかれて動揺していた直人も真剣な眼差しに切りかえてゆっくりと進んでいった。参列してくれたハリー、俊、そして私のこれまでの全てを知る信頼できる友人たち。彼らは心からの笑顔で私を見守り、中にはうっすらと涙を浮かべて「おめでとう」と眼差しで語りかけてくれる人もいた。私たちの結婚式を、こんなにも多くの人が祝福してくれる。自分の人生が、決して誰かの付属品ではなく、これほど多くの人々に支えられ、愛されていたという実感が、胸の奥を熱く突き上げて感動で視界が滲む。壇上には、未来の私たちが立っている。壇上に辿り着くと、リングガールを務める花蓮が大勢の視線を一身に浴びながらも、誇らしげに胸を張って歩いてくる。彼女は小さな宝物を届けるように、慎重に私たちの元へ指輪を運んでくれた。その役目を果たし、安堵したのか壇上の脇へ戻ろうとしたその時、直人が素早く花蓮の手をそっと握り、壇上の真ん中へと促した。「……え? 直たん、花蓮はもう終わったから
last updateLast Updated : 2026-06-25
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166.三年後 奏多side 

奏多side「佐藤、午後の会議資料はこれで問題ない。参加者に送っておいてくれ。それから、別件で来月に薔薇の手配を頼む。送り先は……」 言い淀むまでもなく、秘書の佐藤は全てを察したように頷いた。 「遥様のところですね。住所は存じ上げておりますので、滞りなく手配いたします」俺は深く溜め息をつき、それ以上は何も言わなかった。薔薇の花束を贈るのも、今年で三回目になる。一年目は驚きに目を丸くし、理由を尋ねてきた佐藤も、今では年間行事の一つとして何も言及せずに粛々と遂行してくれるようになった。「……あれから、もう三年か」オフィスビルから街を見下ろしながら、あの河川敷での出来事を思い出す。遥と最後に会った、あの誘拐事件の日のことだ。あの時、遥は俺に対して一点の曇りもない瞳で自らの信念を突きつけてきた。俺が過去の過ちを謝罪し、本当に愛していたのはお前だけだったと募る想いで伝えても、遥の心は微塵も揺れなかった。迷う素振りなど皆無で毅然と拒絶された。「……俺がかつて麗華をあしらい、冷たく突き放したように、今度は俺が遥に拒まれるなんてな。あの時の遥の瞳には、俺の入る隙間なんて最初から一ミリも残されていなかったな……」
last updateLast Updated : 2026-06-26
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167.三年後 遥side

遥side柔らかな太陽の光が差し込む朝、目が覚めてリビングに降りると執事や家政婦たちが一斉に深々と頭を下げた。「遥様、おはようございます。そして、お誕生日おめでとうございます」「みんないつもありがとう。これからもよろしくね」食卓の席に着くと、直人と花蓮が既に起きていて私を見るなりパッと表情を輝かせて「おめでとう!」と声を合わせて祝福してくれた。「遥、誕生日は本当にディナーだけでいいのかい? 欲しいものがあったら、何でも遠慮なく言ってほしいんだ。君が喜ぶものなら、世界中から取り寄せてくるよ」 「そうだよママ!せっかくの誕生日なんだからパパに甘えて欲しい物を買ってもらえばいいのに」「ありがとう。……でも、いいの。こうして二人がお祝いしてくれるだけで十分幸せだもの」私がそう言って笑うと、二人は少し呆れたような、でも愉快な眼差しで目を合わせている。結婚してから三年。奏多との息苦しい結婚生活よりも長くなったけれど、今も私と直人の関係は新婚当初と変わらなかった。花蓮もこの暮らしにすっかり馴染み、いつの間にか直人のことを『パパ』と呼ぶようになっていた。直人も花蓮の良き理解者で時には私よりも心を許して直人に相談や甘えることもある。
last updateLast Updated : 2026-06-27
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168. 番外編 再会①

遥side「社長、やりました!」​広報担当の社員が、興奮を隠しきれない様子で息を乱し小走りでオフィスへ飛び込んできた。駆け寄ってくるその表情には、明らかな達成感が浮かんでいる。​「一体、どうしたの? そんなに慌てて」​「ビッグニュースです! 先方から連絡がありまして、今年度のトレンド大賞において、我が社の会計システムが最優秀賞を受賞しました! 他社にも類似製品はありますが、我が社が先駆者として市場シェアを独走している点と高い操作性が評価されたようです。来月、都内で授賞式が開催されますので、是非ご出席を、とのことでした!」​その瞬間、オフィス内には社員たちの歓声が響き渡った。このシステムを開発するまでの道のりは、決して平坦ではなかった。連携作業での不具合、深夜に及ぶエラー対応など幾多の困難を乗り越えてようやく形にしたものが、こうして一般の方々にも広く使われ社会に認められたのだ。その喜びは、言葉にできないほど大きかった。​授賞式当日、都内の高級ホテル。三百人を収容できる広大な宴会場は、華やかな空気に包まれていた。直人と共に会場へ足を踏み入れると、報道陣やTVカメラがひしめき合い、活気に満ちている。ノミネートされるだけでも企業として大きなステータスとなるこの賞は、今後の事業展開においても極めて重要な宣伝となる。​「それにしても、すごい人ね…&helli
last updateLast Updated : 2026-06-28
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