ロビーにいた役員たちは全員、静まり返った。莉子の顔から笑みが消えた。彼女がまだ何か言おうとする前に、凪はすでに隣の陽菜へと目を向けていた。「私と一緒に人事へ行って、ミツキホールディングスの社員のデータを集めてちょうだい。それから、経理の全データをロックして。30分後には、私の秘書もチームを連れて来るから、帳簿の照合と人員の整理をするのよ」「はい」陽菜はうなずき、受付で預かったカードキーを手に、凪を追ってそのまま上のフロアへと上がっていった。陽菜にとって、これが初めての仕事だった。しかし彼女は恐ろしいほどの手際の良さで動いた。経理部も総務部も何が起きているか理解できないうちに、出入りを禁じられ、事態が収束するのを待つことしかできなかった。しばらくすると、泉が新しい人事や経理の担当者たちを連れて現れ、作業に加わった。その間、莉子は何度も凪との話し合いを求めた。だが、凪はそれを一切受け付けなかった。役員たちの持ち物を次々と押さえ、陽菜と泉と共に重要書類を集めると、すぐに信頼できるチームに調査を依頼した。こうした状況が丸二日間続いた。ミツキホールディングスでは、清掃員と警備員以外の人間が一人残らず一掃された。そして、莉子が再び凪と顔を合わせた時のことだ。入り口の通路には多くの人が押し寄せ、オフィスの扉をドンドンと叩いて大声を上げていた。「辞めさせるなら退職金を出せ!」「俺たちはミツキホールディングスで何年もやってきた古参なんだ!言葉だけで退職させようなんて都合のいいことは通用しない!」「不当解雇として訴えてやる!」目の前に広がる怒りの渦の中、凪は椅子に座り、穏やかな表情で言った。「陽菜、賠償を求める人間をリスト化して。規定に基づき、適正な額を支払いなさい」あまりの対応の早さに、社員たちは呆気にとられた。納得できた者もいれば、できなかった者もいた。紆余曲折あったものの、最終的には大半の者が合理的な金額を受け取り、立ち去った。これにより、ミツキホールディングスの人員入れ替え作戦は完全に成功した。そんな様子を見ていた莉子は、怒りに駆られながら群衆をかき分け、凪の机を力いっぱい叩いた。「全員追い出して会社を潰す気なの?!ミツキホールディングスは私が必死で育ててきた会社よ!」莉子の手駒だっ
Read more