「お母さん、早くなんとかしてよ!」晴は紗由美をせっついた。紗由美はたまらず晴を叱りつけた。「あんたって子は、自分の婚約者一人まともに操縦できないの!?本当に役立たずなんだから!」晴は途端に目を赤くした。「なんで私を怒るのよ!お母さんこそ自分を責めるべきでしょ、あんな恥知らずなアバズレを産んだんだから!あいつがあんなことしなきゃ、玄清が私に冷たくするわけないじゃない!」紗由美は眉をひそめた。「それ、どういう意味よ?」「べ、別に意味なんかないわよ!とにかく、早くなんとかしてよ。もう疲れたわ!」紗由美はどうしようもなく、再び玄清に電話をかけたが、やはり出なかった。店員は彼女たちが一向に支払いを済ませないのを見て、入り口の警備員に合図を送った。警備員がすぐにこちらへ歩いてくる。「あ、あの……私たち、今からどうしても急ぎの用事ができちゃって。この指輪は取り置きしておいてちょうだい。明日また取りに来るから!」そう言うと、紗由美は晴の手を引いて足早に立ち去ろうとした。しかし振り返ると、すでに二人の警備員が彼女たちの背後に立ちはだかっていた。「お客様。すでに伝票は作成されております。このままお帰りいただくわけにはまいりません」「だから、買わないとは言ってないでしょ!明日取りに来るって言ってるじゃない!」「そのような言い訳を、私どもが信じるとお思いですか?」紗由美は眉をひそめた。「じゃあどうする気?私たちに手を上げるつもり!?」「めっそうもございません。しかし、お客様の行為は当店の正常な営業を著しく妨害しております。警察を呼ばせていただきます」そう言ったのは、騒ぎを聞きつけて奥から出てきた店長だった。「店長。あちらのお客様は『自分は江川製薬の若奥様だ』と仰っていましたが、たった五百二十万の指輪のお支払いすらできないそうです。買えないなら買えないで構わないのですが、この指輪を独占して他のお客様にお見せすることもできず、私どもの販売業務を完全に妨害しております」店員が店長に報告した。店長は晴を上から下まで値踏みするように見た。「江川製薬の若奥様?ハッ。金もないのにセレブのフリをするような人間は今までにも腐るほど見てきましたがね、そういう人間は総じてロクな末路を辿りませんよ!」そう言い捨てると、
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