「大竹亜香里です。よろしくお願いいたします」 彼女はペコっと頭を下げる。 社員もそれに合わせ、軽く会釈をした。 社長が退席をし、部長が大竹さんに向かって話しかけている。数言話したかと思えば、こちらに向かって歩いてきた。「黒崎さん。大竹さんです。よろしくお願いします」 それだけ言うと部長はそそくさと歩き、自席へと戻ってしまった。「はじめまして。黒崎です。今日からしばらく研修担当者になります。よろしくお願いします」 俺が挨拶をすると「大竹亜香里です。よろしくお願いします」 彼女は俺へペコっと頭を下げた。 それから、マニュアルに従い、社内の案内をし、今後しばらくの一日の流れについて説明をする。 大竹さんは「はい」と返事をしながら、俺の話を真剣に聞いているように見えた。 しばらくはパソコンで社員の共有事項を見るように説明をしたあと、自分の仕事を確認するために、自席へと戻る。 さきほどまでは「普通」だったが、一体、どんな子なのだろう。 基本的な社会人としての対応はできるのだろうか。 俺の席からは彼女の席が見える。うしろ姿だから顔は合わせないが、手元などを見れば、何をしているのかわかるように席を配置してもらった。 とりあえずは指示通りにパソコン画面を見ているな。 午前中は何もなく、昼休憩時間になる。「お昼は、社員食堂でもいいですし、持ち込みももちろんできます。時間内に帰ってこれるのであれば、外で食事もできますから。持ち込みの場合は、精密機器があるので、飲み物等はキャップが閉められるものを持ち込んでください。何かわからないことがあったら、あとで聞いてください」 単調すぎたか? いや、社長の子どもだからと言って、特別愛想良く対応する必要もないだろう。 一通りの説明をし、自席へ戻ろうとした時「黒崎先輩。お昼、一緒に食べてくれませんか?こう見えてもまだ緊張していて。何も買ってきていないし、会社の近くにどんなお店があるのかまだわからなくて。社食、一緒に行ってくれませんか?」 彼女は上目遣いで俺を見つめている。 思わず「ご飯くらい一人で食べたらどうですか?」と言いたくはなったが、上司の言葉を思い出し、止めた。「社長と一緒に食べたらどうですか?」なんて言葉も思い浮かんだが、さすがに冷たすぎるだろうか。 今日一日くらいだけなら、仕方がないか
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