林を抜けた瞬間、僕らの目の前に広がったのは、古びた校舎の別棟だった。使われていない倉庫のような建物で、窓ガラスは割れ、壁には枯れ果てた蔦が不気味に絡みついている。 「……ここなら、隠れられるかもしれない」 大樹が短く言い、僕らは肺を焼くような息を切らしながらその暗闇へ飛び込んだ。内部は埃っぽく、腐食した床がところどころ抜けている。美緒は有栖をそっと床に降ろし、僕らは荒い呼吸を整えた。 「……はぁ……やっと……」 美緒の声が震えて膝を突き、荒い呼吸を繰り返す美緒の横で、僕は自分の心臓が、故障した機械のように不規則に激しく、胸の内側を叩いているのを感じていた。 すると、有栖はかすかに顔を上げ、僕を見つめてそっと唇を開いた。 「……まだ……来る……」 その言葉に僕たちは背筋が凍る。 「時間を稼ぐしかない。奴が来る前に、出口を探そう」 大樹が扉に背を預け、低く構える。僕は周囲を見回し、埃をかぶった棚の間に一冊の新しいノートが落ちているのを見つけた。 拾い上げると、黒く塗りつぶされた名前の欄と、異様なほど精密な地図が描かれている。 拾い上げたノートは、異様に新しく、不気味さを放っている。そこに記された地図は、まるで建築主が設計図を自慢するかのような細かく描かれていた。 ページを進めると、カサリという紙の音がこの静まり返った倉庫では爆音のように響いた。 名前を塗りつぶした黒いインクの塊が、そこだけページを侵食している癌細胞のように見えて、僕は指先に嫌な冷たさを覚えた。 (これはヒントじゃない。……恐らくわざと運営から解答を押し付けられているんだ。) 自分の心の声が、他人のもののように冷たく響く。 僕たちは助かろうとしているんじゃない。運営が用意した最短ルートを、なぞらされているだけなんだ。と考えてしまう。 「これ……さっきの体育館のルートと同じ……でも続きがある!」 美緒が覗き込み、顔を青ざめさせる。赤い線で描かれたルートは、この倉庫からさらに北へ、まるで僕らを意図的に導いているようだった。 「……誰が、なんのために……」 「……迎えに行くって……書いてあった」 有栖の小さな囁きに答えるように建物全体が低く軋んだ。外から、重い金属を引きずる音が近づいてくる。 ギリっ……、ギリっ……と床
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