何と言うか、おかしくなった感覚って奴は中々治らないんだなと実感してしまう。「新卒って、待遇良かったんだなぁー……うぅん」 初めて職業安定所というものに行ってみた感想がこれだった。 それだけに何と言うか、思っていた以上に大きな機会ってやつを失ってしまったんだと強く思う。「やっぱり海外か? 海外に行って働くしかないのか? むむむ」 現実逃避だとはわかっている。 仮に海外へ飛んで働いたとしても、日本より劣悪な環境だったり待遇だったりする可能性は十分に高いのだし。 なんともまぁ随分な社会不適合者になってしまったものだ。 どれだけ自分が社会ってやつを舐めていたのかと猛省する所存です。「――あれ? 八雲君?」 「ん? あ、店長じゃないですか。どうしたんですかこんな時間にこんなところで」 街中でばったりってのは十分にあり得る話ではあるけど、流石にオフィス街でこの人に会うとは思わなかった。 ぶっちゃけエロマッサージ屋なんてアングラも良いところの住人がいるのは違和感が強すぎる。「やめてくれよ、僕自身こんな場所は似合わないって思ってるんだから」 「やめてくれってのはこっちのセリフですよ、店長。見透かさないで下さい」 「あはは。わかりやすいキミが悪いんだよ八雲君。あぁ、ついでにその店長ってのもやめてくれないかな? キミはもう店員じゃあないし、何よりあの店はもう畳むつもりだから」 「えっ!? 店、無くなっちゃうんですか!?」 いやはや予想外は続くものだ。 苦笑いを浮かべながら頷いている所を見るにどうもマジらしい。 たかがバイトではあったけど、結構繁盛していたと思うし……経営が理由ってわけじゃあないと思うけど。「いや、経営上の理由だよ?」 「だから見透かさないで下さいって何度言えば。って、マジですか」 「マジもマジさ。どっかの大人気エース君が辞めちゃったから、苦しくてね。あぁ、ついでにガサ入れもぼちぼち怖くてねぇ! 色々タイミングってものがね! ははは!」 「……こういう時、なんて言えばいいかわからないものですね」 何処がジョークなのかわからなくなるからさ。「やれやれ。いつまで経っても僕がしょうもないジョークが嫌いだってのは、信じてもらえないみたいだね」 「俺ですか? 悪いの俺ですか? むしろ店長の自業自得だと思うんですけど」
آخر تحديث : 2026-06-10 اقرأ المزيد