赤い砂だけが吹き荒れる惑星シャンプールに、重たい朝が来た。 サンブルク商会の支店ビル。 その会議室では、若き支店長レンギンの前に各工区の所長たちがずらりと並ばされていた。 窓の外は荒野、机の上には収支表。まるで人の命まで数字の一部に組み込まれているようだった。 ひとりの所長が、恐る恐る口を開く。「さ、流石にその部分の経費削減は、工員の生命に著しく危険かと……」 その瞬間、レンギン支店長の顔から笑みが消えた。「何を言ってるんだ!」 机を叩く乾いた音が響く。「いつも言っているだろう? 返事は、はい、か、やり遂げます、の二種類だけだ。何回言わせる気だ!」 所長は肩をすくめる。 だが支店長は追い打ちをかけた。「それとも何か? 結婚したばかりの奥さんを連れて、人っ子一人いない辺境廃鉱区へ飛ばされたいのか!?」「……い、いえ」 所長は顔を青ざめさせ、唇を震わせた。「は、はい。やり遂げます」 レンギンは、今度は満足げに笑った。「そうだ、その調子だ。そうすれば我らの賞与は上がる。万々歳じゃないか。これを皆がウインウインの好循環というのだよ!」 会議室には乾いた追従笑いが広がる。「……は、はい。その通りです」 中には進んで支店長を持ち上げる者までいた。保身か、習性か、あるいはもう諦めているのか。 少なくとも外から見分けはつかなかった。 その一部始終を、ツーシームたちは離れたホテルの一室からモニター越しに見ていた。 昨夜、彼女が秘書ローターへ握らせた金貨は、しっかり役に立ったらしい。「こういうのを見ちゃうと、人間ってのは、どうもねぇ……」 ビッグベアが腕を組み、渋い顔で呟く。 隣にいるノーム人のエジルへ目を向けるが、エジルは作り笑いを貼りつけたまま、返事に困っていた。 笑うしかない者の顔だった。 その時だった。 支店ビルの隣のコントロールタワーから、耳をつんざくような巨大警報が鳴り渡った。 モニターの向こうでも空気が変わる。 レンギン支店長だけは眉ひとつ動かさなかったが、まだ善意の残っているらしい所長のひとりが会議室を飛び出し、血相を変えて総合コントロール室へ駆け込んだ。「どうしたんだ、一体!?」 管理員は顔面蒼白のまま、震える声で答えた。「ど、毒性廃棄物タンクが二つ破裂しました……それも、気化しやすいタイプの危険
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