旅行結婚をしようと決めてから、もう二年が経った。それなのに、深沢拓海(ふかざわ たくみ)はいまだに私たちの旅程を決めていなかった……私、斎藤晴香(さいとう はるか)は、もう待てなかった。私がもう一度彼を問い詰めると、彼はようやくタブレットを取り出し、自分で作ったという旅行プランを見せてくれた。「晴香、俺はただ、この旅を最高の旅行にしたかっただけなんだ」二年間ずっと溜め込んできた不満と、彼に対する疑念が、私の胸の中でぐるぐると渦巻いている。スマホがピコンと鳴り、彼は立ち上がって少し離れた場所へ移動した。タブレットには、彼がログアウトし忘れたLINEの画面が開いたままになっており、ピン留めされたアシスタントの女の子からの通知が飛び込んできた。【拓海さん、すごすぎるよ! たった二日で旅行計画を立てちゃうなんて……お礼に、二人分の航空券を買っておいた♪】【独身旅行なんだから、晴香さんを連れていっちゃダメなんからね♡】チャットの履歴には、拓海が細かく書き込んだ旅行プランがぎっしりと並んでいた。彼が私に見せたプランはすべて、この二日間のうちに、あの女の子のために作ったものだったのだ。それなのに、私は丸二年もの間、待ち続けていたというのに……耳元に拓海の声が響く。「晴香、今月は景色がよくないから、来月出発することにしないか?」「もういいわ」私は冷静だったが、同時に全身が強張るのを感じていた。「拓海、私たち、別れよう」室内は不気味なほど静まり返っていた。拓海が私をじっと見つめている。長い沈黙のあと、彼は深くため息をついた。まるで、私の理不尽な振る舞いを仕方なく受け入れているかのような様子で。「また何だよ」「もう愛してないから。それじゃだめ?」私の声は淡々としていた。でも、心の中では胸が張り裂けるほど痛かった。過去の記憶が細い針になって、何度も何度も私を刺してくる。出会った頃の私たちは、まだ貧しかった。私がふと「海ノ市のいちご大福が食べたいな」と言うと、拓海はすぐに一番厄介な案件を引き受け、出張で海ノ市まで飛んで行って、私のために大福を買って帰ってきた。大福は、甘かった。でも、それより甘かったのは、ちゃんと稼いで、私が食べたいものを何でも食べさせると誓っている彼の姿
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