All Chapters of 水の檻〜ミズノハコ。出られる場所に留まる理由: Chapter 11 - Chapter 20

25 Chapters

11話/ゆかり。疑う

目覚めるとそこは、柔らかな光が差し込む美しい部屋でした。「そう言えば昨日……」ここは“水Pハウス”……1晩泊まって思ったが、確かに創作意欲を掻き立てる美しいものが多い。喧騒の無い静かな環境、侘び寂びを感じさせる佇まいの外観と、それを裏切るような都会的な内装、そして朝には優しい光が差し込む居室……設計者がクリエイターの事を考えて作ったのがよくわかる。……けど……ー「おはよう!ゆかり!早いな!」「あいさん、おはようございます。あいさんこそ早いですね。もう日課の筋トレは終わったんですか?」あいさんは、朝とは思えないテンションです。「ああ!いつも通り夜明け前に起きて地下のジムに行ってみた!欲を言えばキリが無いが、なかなかの設備だったぞ!それに朝から露天風呂に入れるとは贅沢なハウスだな!」あいさんはご満悦のようです。確かにここはそこらのリゾートよりも設備が充実していた。居室も広いからそのままアトリエに出来そうですね。「クス……確かに素敵なところですね」「……だが……本当にいいのだろうか……60億円かけて建てた家に住まわせてもらいながら、家賃を払うどころか助成金までくれるなんて……やはり……体が目当てか?ハァ……ハァ……いいだろう!甘んじて受けるぞ!私はどれだけ体を弄もてあそばれようとも心までは屈しない!むしろご褒美だ!ハァ……ハァ……」あいさんは真正のドMのようですね。本気で……言っているんでしょう。「では朝食の準備をしましょうか。……うん……簡単なものなら作れそうですね。あいさん、手伝っていただけますか?」ー朝食ができる頃には、しずかさん、ゆいさん、りえさん、めぐみさんが起きてきました。「おふぁよ……ヤスタカと……いろはとようこは?まだ寝てるのかな?」めぐみさんは大欠伸とともに周りを見渡す。そんな朝のボヤけた空気の中で、一際大きな声がこだまする。「みんなおはよう!よく眠れたか?昼前くらいには一旦帰るから、それまで自由にしててくれていいからな!」……この人も朝から元気……朝の空間に男の人がいるのは馴染めるのでしょうか……男の人が……というよりこの人が……でしょうか……「お、ゆかり、あい。朝食の準備手伝うよ」私はニコリと、しかしやんわりお断りします。先ほどのあいさんではありませんが、私はまだヤスタカという人間を信用でき
last updateLast Updated : 2026-07-07
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12話/ゆかり。スネーク

時刻は深夜過ぎ……みなさんが自分の部屋、あるいは地下に入っていくのを確認しました。そして、辺りを見回してからそそくさと1階へ降りるようこさんが、1時間ほど帰ってきていないのもわかっています。この数日、毎晩通っているようです。私は扉を閉め、頭の中を声に出して整理します。「まず、陰獣といろはさんは恋人。これは何の問題もありません。恋人と逢瀬を重ねるのに誰が文句をいいましょうか。次にようこさん。性に奔放な方のようなので、ここでただ1人の男性である陰獣と何かあっても不思議ではありません。でもあの陰獣が受け入れているのが問題です。こんな近い距離で浮気なんて……」私はハッと気づく……陰獣なんて……私はいつからこんな汚い言葉を……口に出したのは初めて?どうだったでしょうか……自信が持てません……悪い意味で、あの陰獣が私の心を……語彙力までをも狂わせる……私は気を取り直して言葉を発する。「いろはさんという素敵な女性がいながら、例え相手がようこさんのような美人だったとしても、流されるような最低陰獣は許せるはずもありません!」……いつの間にか、みなさんを理不尽な性暴力から守ることよりも、自分自身の倫理観で考えていました。それもこれもあの陰獣のせいです。ともかく男子寮に行ってみれば真相は明らかになる……なぜだか確信を持てました。ー私は闇に紛れるため、動きやすい、少し暗めの服に身を包む。キッチンの奥、寮母室前を抜けて渡り廊下から坪庭に出る私。男子寮の坪庭側の窓の下まで来られました。向かい側を見てみると、いろはさんの部屋は真っ暗……寝ているのか……部屋にいないのか……私はそっと窓から男子寮を覗き込みました。そこで私が見たのは……全裸にアイマスクで拘束されたいろはさんとようこさん……確定です!あの陰獣は2人を無理やり支配しているのだと!『よし……今日は少し踏み込んでみよう。S男のロールプレイだな。いいか?無理な体位や痛いことはしないつもりだけど、いつも通り嫌なら“レッド”の合図だぞ?』『はい♡ん♡合図“レッド”了解です♡あ♡ちゃんと……ん♡こうして高めてくれるので……あん♡大丈夫です……よ♡』『私もオーケーよ!合図もわかったから!早く!私も!』『よし……じゃあ覚悟しろ!今夜は寝られると思うなよ!』『あん♡いいですよヤスタカさん♡早速S男感……
last updateLast Updated : 2026-07-07
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13話/いろは。暗躍する

計算外でした……まさかゆかりさんの方から勝手に落ちてくるなんて……いえ、それについてはむしろ助かりました。単に色々考えていたことが無駄になったというだけです。ゆかりさんはいつも上品にニコニコ笑っていますが、ヤスタカさんには一線……どころか分厚い壁を作っていました。なので、最後の砦になるとすら思っていました。これもヤスタカさんの魅力の為せる技なのでしょうか♡「ちょっと……あん……いろはちゃん!ん♡ん♡休憩……終わったなら……あ♡早く来てよ!」「あらあらようこさん……こぼしちゃもったいないです♡んく……ジュボ……プハ♡」「あ、ごめんなさい!考え事を……ヤスタカさん失礼しますね♡ふ♡ん♡」やはり3人ともなると余裕が違いますね!しかしヤスタカさんもまだまだ余裕……ようこさんに至っては人数が増えても毎回気絶しています。ゆかりさんは優秀で、夜は空いたスペースを無理なく補い、私とようこさんの休憩をさりげなくサポートしてくれます。私が日中忙しくしていても隙を見てはヤスタカさんに“奉仕”してくれています……まあ私もしていますが……ここで1人、様子がおかしい子が出てきました。ゆいさんです。この家は各部屋は全て完全防音ですが、共有部分は空間がつながっています。なので、部屋の外での情事はゆいさんの耳には丸聞こえらしく、最近では顔を見るたびに赤くなって俯いています。ー私は少しだけ余裕が出てきたので、ゆかりさんと朝食を作れるようになりました。みなさん夜型が多いですが、ご飯はなるべくみんなで摂りたいというヤスタカさんの提案で、なるべく集まるようにしています。……ようこさんだけは毎朝腰を引きずりながらの参加ですが、これはもう仕様ですね。ー『いただきます』大人数での食事は楽しいです。ヤスタカさんとの2人きりの食事もいいですが、ワイワイするのも“家族”になったようで嬉しいです。「ヤスタカさん♡口元、付いてますよ?」「あらあら♡そっちではなく……ここです♡」チュパ♡すっかり隠す気を失った私とゆかりさんは、ヤスタカさんを甘々に甘やかします。もちろん、煽りの意味もあります。ふとテーブルの奥に座るゆいさんを見ると、またも顔を真っ赤にして、髪をいじいじして俯いています。そんなやりとりに業を煮やしたのはりえ。んふ♡……必ず乗ってくると思ってました。「な…
last updateLast Updated : 2026-07-07
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14話/あい。悩む

仕事が無い……この私、あいが常日頃から胸を強調していてもヤスタカは一向に襲ってこない……「おい、そのだらしない胸肉を使って金を稼いで来い」とも言ってこない……何故だ……代わりに競馬コラムを書いたり、動画チームと組んで予想動画なるものを監修したりはしているのだが……主従契約はどうしたんだ!同じライターのようこは毎晩のようになにかしていると言うのに!ドン!「何故だ!私とようこで何が違う!」「そーゆーとこだろあとようことは別に主従関係じゃないから」「そーゆーとこですねあいさん全部声に出てますよ」私が叩いたダイニングテーブルで、サヤエンドウの筋を取りながらヤスタカといろはが言う。今夜は煮物だろうか。「どういう事だ!?そーゆーとことはなんだ!」私はヤスタカに詰め寄り首を締め上げる。なぜそうしたか、自分でもよくわからない。「もう!あいさん!ヤスタカさんに乱暴しないで下さい!脳まで筋肉なんですか!?」ヤスタカを介抱するいろは。本当に仲が良くて羨ましい限りだが、今は私の事を優先して欲しいところだ。「ごほ……あのな……俺もようこの仕事に同行したことがあるから多少わかるけど、上手い立ち回り、っていうのかな?そこがあいは下手すぎる」「上手い立ち回り……なるほど!うまくクライアントに取り行って枕営業というやつをすれば良いんだな!?」そういうことか……確かに仕事で会う男たちは私の胸ばかり見てくる……なんなら胸と話してる男も……それならば即座にうまくいくのでは?しかしこれは……「ハァ……ハァ……つまり……女を武器に使えと……くっ!しかし!心までは許したりはしないぞ!?ハァ……ハァ……」そこへ取材から戻ったばかりのようこが現れる。「……ちょっとあい……私をなんだと思ってるわけ?枕営業なんて最近はしてないわよ」「した事自体はあるのか……」「おお!ようこ!どうだろう!私は枕営業に向いてるか!?」「いやわかるわけないじゃない……それこそ男の人に聞くのが良いんじゃない?」と、ようこは、さっきから自分の胸を鷲掴みにしている私を見ないようにしているヤスタカの方をチラリと見る。「それもそうだな!ヤスタカ!どうだ?この体は!枕営業に向いてるだろうか!ハァ……ハァ……な、なんなら試してみるか!?ほ、本意ではないが……どうだ!?」「どうだ?じゃない!試さない
last updateLast Updated : 2026-07-09
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15話/めぐみ。大人の女

「はい、みなさんこんにちは!“水Pプロジェクト”のめぐみです!今日は私たちの住んでる家を紹介するんだけど……はいドン!山奥の古民家!ふふふ……ただの古民家じゃないわよ?兎にも角にも、この後全貌を公開!」 私は大仰な身振りでハウスの全景をパンして撮影。私有地ならではの大声でのロケが出来るのはいいわね。 「ふぅ……まずはこんな感じかな」 普通、お部屋紹介といえば部屋の中を映すものだけど、このハウスの凄さはそこだけじゃない。外観と内装のギャップ。そもそも規模がバカ。目に映るほとんどが私有地なのも大バカ。特定されたところで家が見える場所に入った時点で不法侵入が成立する。やろうと思えば全裸で日光浴だってできる。……私はしないけど…… 「うん、いいんじゃないか?次は寄りだったな……車と対比するか?めぐみとの対比だけだとめぐみが小さいだけと思われそうだし」 レフ板を置いて、ヤスタカがにやりとしながら笑いかける。 「私は小さくない!けどそうね……明確な対比物は欲しい所ね。ナンバーは編集で隠して見せたほうがわかりやすいわね」 「そうだな。でもなんでこのタイミングなんだ?そろそろ外ロケは寒くないか?」 「バカね……そんなの、年内に公開して税金対策する為に決まってるでしょ?あんたもその辺意識しないときっこさんに怒られるわよ?」 きっこさん……私たち個人事業主の守り手にして天敵……税理士を
last updateLast Updated : 2026-07-10
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16話/しずか。絶好調

このハウスに来てから、私は絶不調だ。いや、小説は書けている。なんなら過去最高と自画自賛できるほどノリノリだ。ヤスタカとの合作も調子がいい。防音と空調は完璧。窓の灯りを遮断すれば、24時間365日、時計とカレンダーが無ければ外界とは完全に隔絶できる。その上、家事も当番制で毎日しなくても生活が回る。どころか…………何故か私だけ家事の当番から外されてるのは腑に落ちないけど……ならば何が絶不調かと言えば、有り体に言えば“性的な欲求不満”だ。作家が自分をこんな言葉で片付ける日がくるなんて、笑えない。ハウスに来る前は、ヤスタカのあの声を隣室で聞いて慰めればすぐに解消できた。だが、それが不味かったのだろう……愛しい男との妄想よりも上質なオカズなどこの世にはないらしい……だから私の性欲はそろそろ臨界を迎えそう……コンコン不意に部屋のドアをノックする音。時間は10時…… 「はい、誰?」 「しずか?俺だけど……今いいか?」 (ヤスタカ!?え!?嘘!こんな時間に!?)私は慌てた。もしかしたらもしかするかもしれない……だとしたら、嬉しい…… 「ちょ!ちょっと待って!」 「……別に散らかってても今更気にしないぞ?俺がどんだけ部屋の掃除をさせられたか忘れたのか?」 「今裸なの!ちょっと待ってってば!」 嘘だ。散らかってるのは諦めて、せめて彼をお迎えできる格好…&helli
last updateLast Updated : 2026-07-11
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17話/ヤスタカ。踏み込めない

俺はなんて男なんだ……自分から誘ったわけでは無いとはいえ、共にクリエイターとして過ごす仲間全員と関係を持ってしまった……いや、良い悪いで言えば、いろはという恋人がいながらようことも関係を持った時点で悪いことなんだけど……ようことの時にいろはは「傷つけてないなら許します」と言ってくれた。だがその後は?この人数は?確かにいろはも一緒にしているけど……他の子を傷つけてはいないけど……いろはは?こんなに女性にだらしない俺を見て、内心では傷ついているんじゃないか?そう思っていたんだが…… 「あ、ヤスタカさんおはようございます!今、朝ごはん作っちゃいますね」 「いろはちゃん、手伝うわ」 「いえいえ、しずかさんは座ってて下さい。絶対にキッチンに入らないで下さいね♡絶対にですよ?♡」 いろはは笑顔でしずかに圧をかける。笑顔を崩さずしずかをキッチンから追い出す様は逆に怖い。 「……いろはちゃん……なんか私だけ“家事やらせたくない”みたいなの……なんなの?」 しずかは不満を口にするが、聞いている全員が察している。“しずかに料理をさせてはいけない”と。 「だって……ヤスタカさんやみなさんに産ぱ……いえ、ゴミ……じゃなくて、不味い料理を食べさせるわけには……あ、いえ、昨日もお疲れだったでしょうから♡」 「取り繕うならちゃんとして!言い直しの
last updateLast Updated : 2026-07-12
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18話/いろは。焦る

驚きました。……いえ、“知らない間に警察のご厄介”もですが、今はヤスタカさんのことです。まあ私はヤスタカさんだけで世界が回っているので大体のことは些事ですが。この間の会話の事です。ヤスタカさんが罪悪感を抱えているのは分かっていました。ですが、沢山の女の子を手篭め……コホン、籠絡……いえ、惹きつけているにも関わらず、私のことをそこまで考えてくれていただなんて……確かに私は彼女です。ですが、ことここに至って“彼女”なんて薄い記号でヤスタカさんが縛られていただなんて……嫉妬してる、なんて言ってはみたものの、実は最近は全くそう思うことは無くなりました。むしろ……どんどん人が増えて、どんどん私の立場が薄くなっていくのが快感だなんて……そして、そんな状況でも私を気にして罪悪感を抱くヤスタカさんがたまらなく愛おしいなんて……言えませんよね?……こんな考え方……おかしいですよね。昔の私が聞いたら呆れますかね。きっと笑うんでしょうね。“私!壊れてるじゃん!”って。バカですね、昔の私。こんなに気持ちいいのに……ヤスタカさんが最終的に私ではない誰かを選んだとしても、誰がこのハウスから離れていっても、私はここにいる……ここにいたい。……ヤスタカさんのそばにいたい……沢山の中の隅っこでいいから…… ー お昼頃。ふとリビングの窓を見やると、MM号が帰ってきました。私は、“怒っているモード”で待機中です。
last updateLast Updated : 2026-07-13
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19話/しずか。もう戻れない

ゴクッ……ゴクッ…… 「ふう……お水美味しい……運動の後はこれよね。ただの水すら甘露に変わる」 私は椅子に腰掛けて周りを見渡す。窓の外には美しく落ち着いた庭園。間接照明は柔らかく庭の木々を照らして、幻想的とも言える雰囲気を醸し出している。そして部屋の中は…… 「あ!あ!あ!ん!あ〜!♡ちょっとしずかさん!詩を綴ってないで!あ♡交代!あん♡交代を要求します!」 「あらあらりえさん、次は私ですよ♡ヤスタカ様!後ろから……」 ガチャン! 「ん!んん!プハッ!ご主人様!私はいつ!?」 ……部屋の中はいつも通り。嬌声と、鼻をつく男女の匂いと、引力の中心に群がる女たち……私もいよいよ倫理観ガバガバね。これが日常だなんて。創作としては面白いのかもしれないけど……それにしても凄いメンツよね。大人女子、合法ロリ、ドM。方向性がバラバラなのにちゃんと機能しちゃうなんて……これもいろはちゃんのプロデュース?ヤスタカの意思……では無いわよね。いまだに罪悪感を抱えながらだもの。でもやめられない時点で同罪ってやつかしら。ヤスタカと関係を持ってから、ヤスタカの観察と分析をしてみた。声だけを聞いていたあの頃にはわからなかったけど、ヤスタカは熱を持ち続けられる、というわけではなかった。晩から朝まで萎える事なく続けられるわけでも、賢者になる事がないわけでも無かった。ただ、放つ事と賢者の因果関係が薄く、回復が異常に早い。それだけの男だった。&hell
last updateLast Updated : 2026-07-14
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20話/めぐみ。帰る、替える

今日もハウスは通常運行。 (これが通常?そんなわけない……はずよね?) 不健全どころか、ハウスに来る前より健全だ。夜中に仕事をする人間が激減。朝起きて、ご飯を食べて、仕事して、夜はみんなでまったりと過ごす。夜型の多いクリエイター集団でこれは、なんなら一般家庭より健康的でしょう。 (字面だけは……ね……) 健康な大人の男女が交わるのも普通。むしろ、何もない方が不健全じゃないかしら? (そう思ってしまう自分がおかしいんでしょうね……本当は) 大人数が暮らせばそういうことも……致し方ないんでしょうね。 (致し方ない?普通は1対1。じゃなかったかしら……) ……まあ、気を失うのが日常なのは、少し危険な香りがしなくもないけど。 (うん、これは流石にアウト) ー 「みんなおはよう!めぐみはさっきぶりだな」 ヤスタカの、静かな朝の空気を切り裂く声。いつも思うけど、この人いつ寝てるのかしらね。ショートスリーパーってやつ? 「おはよう。今日は朝ごはんの当番私だからね。他のみんなは?あいの拘束、ちゃんと解いてきた?」 一時期少し悩んでたみたいだけど、すっかり晴れやかになって……罪悪感は消えたのかしら。ううん、違うわねこれは。抱えたまま前を向いている……そんなとこ
last updateLast Updated : 2026-07-15
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