All Chapters of キジも鳴かずば撃たれまい!: Chapter 11

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バーニング 2

「真壁か? 今どうなってる」「これが最後の電話になります」 家に帰った二兎は荷物を整理しながらイヤホンを通して電話を掛けた。相手は神奈川県警の同じ対策本部に所属する上司だ。「もう私とは関わらないでください」「あ? おい、お前」「無理なんです。付き纏わないで、ストーカー」 届け。届いて、お願いだから。「……シータの連中が近くにいるのか?」「!」 上司である松永《まつなが》慧《けい》吾《ご》はトクリュウや神奈川の暴力団に精通する信頼できる人だった。だから二兎の置かれている状況にいち早く察しがついたし、それが出来る人だから危険を承知で連絡をよこした。「落ち着いて聞いてくれ。例の取引現場で警察官が殉職した件はこっちに届いてる。遺体《ホトケ》は見つかってないが、あの場所で人が行方不明になって気づかないわけがない」「……それで?」「今はお前の安全が第一だ。足がつきそうなものは生ゴミに混ぜて廃棄しろ。見つかるとまずい」「わかり、ました」「『最後』なんて言うな。必ず生きて帰るぞ」 松永は仕事用のスマートフォンの待ち受けを妻と一人娘にしているような人だった。あの時死んだ警察官の中にも同じように家族がいるはずだ。 ──なんでこうなった?「あの、私今お付き合いしてる人がいるんです。姉崎の〈リンダ〉っていうクラブで働いてる」「……! リンダだな? 阿座上組の息が掛かっていた店だ。そこに連中がいるんだな」「はい」「でかした。あとは俺たちに任せろ」 その日のうちに二兎は自分の警察官としての身分を証明するものをすべて廃棄した。必要な情報は頭の中にしまい込み、燃やせるものは自宅のベランダで吸ったことのないタバコと一緒に燃やした。 殺し屋がいるというだけで二兎は自分でも必要以上だと思うほど怯え切っていた。日常から完全に切り離されて宙に浮かんだ気分だった。 それでも、私は平和を、メビを守るにはこうするしかないのだと思うことにした。 そうしているうちにインターフォンが鳴った。二兎はびくんと身体を跳ねさせたが、草壁一果としてドアを開ける。「メビさん?」「ボスがお呼びだ。その……大丈夫か」 闇バイトの運び屋である少年メビは少し気まずそうに顔を俯かせていた。「声が聞こえたから」「……すみません」「ストーカーってやつか。嫌な野郎だ」「そう、ですね」
last updateLast Updated : 2026-07-08
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