2024年はSFとファンタジーの境界を曖昧にする作品が特に注目を集めているみたい。'The City Inside'のような近未来ディストピアものは、社会監視と人間関係の希薄化をテーマにしながら、どこかポップな感覚で描いているのが新鮮だった。
個人的に衝撃を受けたのは、AIが主人公を演じるメタフィクション小説'AIChat Chronicle'。語り手の正体が徐々に明らかになる構成は、読者を巧妙に物語に引き込む。従来の文学賞候補とは一線を画す、デジタルネイティブ世代に向けた実験作と言える。
最近の傾向として、短編連作型の小説が増えているのも特徴的。'Fragments of the Forgotten'は各章が独立しているようでいて、最後に鮮やかに収束する構成が秀逸。通勤時間のような隙間時間でも楽しめるのが現代的な仕掛けだ。
今年読んだ中で特に印象に残っているのは、'The Book of Doors'という作品。ファンタジー要素とミステリが絶妙に融合したストーリーで、ページをめくる手が止まらなくなる。主人公が偶然手に入れた本が、文字通り「扉」を開く能力を持っているという設定から始まるんだけど、このアイデアの新鮮さにまず引き込まれた。
登場人物の描写も細やかで、特に二次キャラクターの背景が丁寧に描かれているのがいい。単なる脇役ではなく、それぞれが物語の重要なピースになっている感じ。途中から予想外の展開が連続して、最後まで息をつけなかった。作者の前作を知っていたから期待していたけど、それをはるかに超えるクオリティだった。読後はしばらく余韻に浸っていたくなるタイプの小説だね。