もう一つのおすすめは『Scars That Sing』で、ここでは音楽を媒介にした癒やしが主題です。kentoのピアノと相手の歌声が、お互いの傷に触れていく様子が詩的です。『ハリー・ポッター』のスネイプとリリーのようないきさつはないものの、過去を乗り越える瞬間の描写は圧巻でした。特に、最終章で二人が作詞作曲するシーンは、読後も余韻が残ります。
しかし時が経つにつれ、彼のプレイには微妙なニュアンスが加わり始める。『ART OF LIFE』のような長尺作品では、クラシカルな要素を取り入れたり、シンバルの微妙な揺れやタムの響きを意識した表現が目立つようになった。特に90年代半ば以降は、単なる速さやパワーだけでなく、音楽全体の流れを構築するためのドラミングへと変貌を遂げている。最近の演奏を聴くと、若い頃のような荒々しさは影を潜め、代わりに熟練のミュージシャンらしい計算された間の取り方や、情感を重視したフレーズが増えたと感じる。