翻訳には常に文化の壁が立ちはだかりますが、この詩的な問いかけを英語に移すなら、『Are you an echo? No.』が最も近いニュアンスを伝えられるでしょう。
『こだま』を単に『echo』と訳すだけでは響きの繊細さが失われますが、『Are you~』の疑問形が持つ直接性が原詩のシンプルな力を再現しています。特に『いいえ』を独立した短い否定文にした点が、谷川俊太郎のリズム感をうまく転写できていると思います。
言語学者のエドワード・サピアが『言語は単なる単語の置き換えではない』と述べたように、翻訳は常に創造的行為です。この場合、科学的な反響現象よりも、人間同士のコミュニケーションにおける『反復』というテーマを強調する訳が適切だと感じます。