Bメロや間奏ではEm7→A7→Dm7→G7のような循環で転調感を出せます。ジャズっぽくしたければG7をG13やG9に置き換え、裏拍で入れると特徴が出ます。僕はよく同じ進行で'Fly Me to the Moon'の雰囲気を参考にして、コードを少し延ばしたり短く切ったりして歌に合わせています。最終的には左手をシンプルに保ち、右手でメロディ+コードを同時に押さえる形が初心者にも弾きやすいと思います。
歌いやすくするコツとしては、キーの移動に便利なカポ(鍵盤ではトランスポーズ)を使うこと。移調しても同じ指使いで弾けるように和音の形を覚えておくと重宝します。僕はこの手法を'Can't Help Falling in Love'のようなシンプルなバラード伴奏にも応用しています。弾き方次第で雰囲気がガラリと変わるので、まずは上の進行でゆっくり確かめてみてください。
譜面を見ずに雰囲気だけ出したい時の手順を書いておくね。
自分は最初、完璧に弾こうと意気込みすぎて挫折した口だけれど、'なんでもないや'はシンプルなコード進行に落とし込めばぐっと弾きやすくなる。鍵盤初心者向けにキーをCに移調した簡単バージョンをまず提示するよ。イントロ/Aメロの基本進行は:
C | G/B | Am | Em/G | F | C/E | Dm | G
コーラスはほぼ同じ進行を繰り返して最後にCで着地する感じだ。
左手は各小節のルート(あるいは分数ベースの低音)を1拍目と3拍目に置き、右手は3音またはアルペジオで和音をなぞるだけで十分に曲になる。ペダルは長く踏みすぎず、和音の変わり目で軽く切ると歌のフレーズが生きる。歌に合わせてテンポを少しゆっくりにして練習すると、確実に弾けるようになるよ。
歌詞を読み返すと、まずフランス語の音とリズムが持つ軽やかさに心を奪われる。'La Vie en Rose'の原詩は短いフレーズで感情を重ね、曖昧さを残して恋の主体をふわりと浮かせる。例えば「Il est entré dans mon cœur」という一節は直訳すれば「彼が私の心に入ってきた」だが、原語では動詞の選び方や現在完了的なニュアンスが、出来事の美しい突然さと持続する幸福感を同時に示す。音の連なりや母音の響きも意味の一部で、詩的な余白があるのだ。
日本語訳ではしばしば具体化か補完が行われる。直訳で伝わりにくい曖昧な主語や時制は、聞き手に分かる形に整えられるため、結果として感情の輪郭が変わることが多い。たとえば「des yeux qui font baisser les miens」は「目が私の目線をそらす」と訳されることが多いが、日本語にすると受動感や羞じらいの強さが増すことがある。フランス語の微妙な主語の距離感や、動詞の軽やかな動きを日本語の文法に合わせると、どうしても色合いが変わってしまう。
翻訳はいつも選択の連続だ。メロディがある歌では一語一句が音節と同じくらい重要なので、訳詞は意味と発音・拍節の折り合いをつけるために言葉を削ったり付け加えたりする。歌としての自然さを優先するなら意味の細部が削られ、意味重視なら歌いにくさが残る。フランスの映画や歌謡文化、たとえば'シェルブールの雨傘'が作る情感のように、原語が持つ空気を完全に移し替えることは難しいと感じる。だからこそ、原詩と和訳を両方味わうと、それぞれ別の豊かさが見えて楽しいのだ。