このことわざのニュアンスに近いものを探すと、中国の古典『孫子』にある「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」が思い浮かびます。どちらも目標達成のために間接的なアプローチを重視する点で共通していますね。
『三国志演義』で諸葛亮が敵の糧道を断つ作戦をよく用いたのも、まさにこの考え方の実践でしょう。直接戦力を削ぐよりも、補給路を絶つ方が効果的だという発想です。現代のビジネス戦略でも、競合他社と正面衝突するのではなく、顧客の支持を徐々に獲得していく方法が取られることがあります。
英語圏では「Kill two birds with one stone(一石二鳥)」も間接的な効果を狙う点で通じるところがありますが、日本の「風が吹けば桶屋が儲かる」の方が、より複雑な因果関係を表現していて面白いですね。ことわざの深みを考えると、文化によって戦略の捉え方にも特徴があるのが興味深いです。
このことわざを英語に訳す時、文化の違いをどう乗り越えるかが面白いところだ。直訳すると『He who aims to shoot the general should first shoot his horse』だが、これでは英語圏の人にはピンと来ない。英語には『Cut off the head and the body will die』という表現があるが、ニュアンスが少し違う。
日本語の原典は戦略的なニュアンスが強いが、英語ではより直接的な表現が好まれる傾向がある。『To defeat the leader, first weaken his supporters』という言い換えなら、ビジネス書などでも使えそうだ。『Game of Thrones』でタイウィン・ラニスターが『A lion doesn't concern himself with the opinion of sheep』と言った台詞も、この戦略思想に通じるものがある。
ことわざの翻訳で難しいのは、単に言葉を置き換えるだけでなく、その背後にある思考様式まで伝えること。中国の兵法書『三十六計』にある『擒賊擒王』も同じような意味だが、英語圏では『To catch the bandits, first catch their leader』と説明されることが多い。文化の違いを超えて戦略の本質をどう伝えるか、翻訳者の腕の見せ所だ。