古写本や現代の注釈書を横断するのが肝心だと、最近改めて感じました。特に注目しているのは、17世紀以降の版を原資料として丁寧に校訂した現代の批判的編集です。たとえば『The Goetia of Dr Rudd』という校訂書は、異なる写本群を比較して注釈を付け、ソロモン72柱に関する変種を明示してくれるため、個人的には重宝しています。
さらに19世紀の編纂書であるジャック=パランシー(Collin de Plancy)の『Dictionnaire Infernal』も挙げておきます。これはオカルト・民俗の言及を含めつつ、近代における悪魔の系譜を読者に示したもので、ヴィエールやゴエティア資料と照らし合わせると名称の通俗化が見えてきます。自分がこの二つを参照するのは、原典だけでは分からない史的な伝播の痕跡を拾えるからです。
書誌を漁るうちに最初に目に入るのは古代から中世にかけての資料だと感じた。
古い伝承の核として注目すべきは、悪霊や召喚に関する古典的なテキストだ。特に『Testament of Solomon』(ソロモンの遺言/偽典的作品)は、ソロモンが悪霊を使役する物語を伝える最も古い記述群の一つで、ギリシア語やラテン語の写本、近代訳が複数存在する。これを読むと、「ソロモンに由来する悪霊譜」の起源が民間伝承や初期キリスト教的想像力に根ざしていることが分かる。
続いて『Clavicula Salomonis』(いわゆる'Key of Solomon'、中世ラテンの呪術書)を当たる価値がある。中世ヨーロッパの写本群に見られるこの書は、ソロモン伝説を儀礼魔術として整えた例で、各種写本は主要な西洋図書館(大手大学図書館や国立図書館)の蔵書目録やデジタル化資料で確認できる。目録検索では原題と英語訳タイトルの両方で引くと見つけやすい。自分はまずこれら二つを押さえ、写本の系譜と近代の編集・訳出を照合して起源問題を追っていった。