『ブレードランナー 2049』のサウンドトラックに収録された『Tears in Rain』は、ヴィンテージ・シンセサイザーの音色が儚さと救済のニュアンスを同時に表現している。ハンス・ジマーとベンジャミン・ウォーフィスの作曲は、人工的な存在の死が「雨の中の涙」という詩的な比喩で昇華される瞬間を音で描く。
特にピアノの単旋律が不規則に途切れる構成は、生命の脆さと永続的な安らぎの共存を暗示させる。この曲を聴くと、『ブレードランナー』原作の有名なモノローグが脳裏に浮かび、死が唯一の人間性獲得手段だった複製人間たちの運命に思いを馳せずにはいられない。
曲を聴くとき、いつもまず人物像から音を想像する癖があって、クロエ=反骨心と寂しさが同居するキャラクター像が浮かぶ。だからおすすめの一つ目は、'Life is Strange'のオフィシャル・サウンドトラックに収録されているインディー寄りの楽曲たち。特にSyd Mattersの「To All of You」はクロエの切なさと希望の揺らぎをよく表現していて、何度聴いても胸が締め付けられる。
次にスコア面では、ゲーム内でクロエの出番に多用されるアコースティック主体の短いフレーズ群を追ってみてほしい。ジャンルで言えばフォーク寄りのギターや控えめなストリングスがクロエの繊細さを際立たせるので、シーンごとに流れる短いスコア曲を断片的に聴き比べるだけでも新しい発見がある。僕にとっては、この組み合わせがクロエ像を最も生き生きと感じさせてくれる。最後に、ゲーム外でのカバーやアレンジも侮れないので、ピアノやギターソロのインストアレンジもチェックしてみてほしい。