ある時『フレンズ』の日本語吹き替えで、ジョーイの台詞『How you doin'?』が『調子はどう?』と訳されているのを聞いて、思わず笑ってしまった。
オリジナルは明らかにナンパの決め台詞なのに、日本語版ではごく普通の挨拶に変わってしまっている。この微妙なニュアンスのズレが、キャラクターの魅力を半減させている気がする。特にジョーイのようなコミカルな役柄の場合、台詞の持つニュアンスが作品の面白さの核なのに、文化の違いで伝わりにくい部分は難しい。
別の例では『ブレイキング・バッド』のワルター・ホワイトの『I am the danger』という台詞が『俺が脅威だ』と訳されたことがある。原文の不気味な威圧感が『脅威』という単語では弱まってしまい、キャラクターの狂気が十分に伝わらない。こういった翻訳の難しさは、作品の本質的な部分にまで影響を及ぼすことがある。
海外ドラマのセリフには、人生の本質をズバリ突く『至言』が散りばめられています。例えば『Breaking Bad』の"I am the danger"は、主人公の変貌を象徴する一言。
日本語の「名言」と比べると、英語の至言は直截的でリズム感がある傾向があります。『Game of Thrones』の"When you play the game of thrones, you win or you die"は、日本語訳ではニュアンスが柔らかくなりがち。文化背景の違いが、言葉の切れ味に影響しているのかもしれません。