無表情な女性の内面を掘り下げたオーディオブックを探しているなら、『氷菓』のオーディオブック版が特に印象的だ。千反田えるの『好奇心』と対照的に、福部里志や伊原摩耶花の無感情な描写が、声優の演技によってより繊細に表現されている。特に摩耶花の「本音と建前」の狭間で揺れる心理が、抑揚の少ないトーンで再現される様は、文字だけでは伝わりにくいニュアンスを音声が補完してくれる。
『Another』の見崎鳴も、無口で表情に乏しいキャラクターながら、オーディオブックではわずかな息遣いや間の取り方で死の影に怯える心情が浮かび上がる。小説版では分かりにくかった「人形のような無表情」の意味が、ナレーターの声質と相まって、不気味さと哀しみの両面を同時に伝えている。
海外作品では『The Girl with the Dragon Tattoo』のリスベット・サランダーが、モノトーンな朗読スタイルと完璧にマッチしている。犯罪被害者への無関心を装いながら、耳を澄ませば歯を食いしばる音が微かに聞こえるような、矛盾した心理描写の表現が秀逸だ。