このことわざのルーツを辿ると、中世ヨーロッパの農耕社会にたどり着きます。当時の農民たちは、自分の土地の芝生が枯れているのを見て、隣の家の緑豊かな庭を羨ましく思ったのが始まりと言われています。
興味深いのは、英語圏では『The grass is always greener on the other side』として広まっていること。文化を超えて人間の心理に共通する部分を表しているんですね。実際に芝生の色の違いを比べていたわけではなく、他人の所有物をより良く見てしまう心理現象を巧みに表現したのだと思います。
ふと比べてみると、日本語の『隣の芝生は青い』と英語の“The grass is greener on the other side (of the fence)”には似ているところも多いけれど、ニュアンスの重みや使われ方に差があると感じる。
僕は普段から訳す作業をしているから、この違いが会話でどう響くか体感している。英語の諺はしばしば“always”を伴って「いつも他人の方がよく見える」という強い不満や永続的な比較心を示すことが多い。一方で日本語は語形が短く、状況によっては単に「今のところ向こうの方が良さそうに見える」という控えめな観察として使われることがある。
実用面では、ネイティブ同士の軽い会話ではどちらも気軽に使われるが、文章や説得的な文脈では英語の慣用句がより決め打ち的に聞こえ、日本語は婉曲表現や補助語句で柔らかく調整されることが多い。自分の経験では、場面に合わせて語尾や修飾を変えるだけで、誤解を避けやすくなるよ。