腹黒キャラ
ゴールデンウィークの連休中、口元の形成手術を終えたばかりの六歳の息子、桐生悠真(きりゅう ゆうま)は、マスクをつけてうちの書店で本を読んでいた。
すると、ある若い男が鼻をつまみ、ふんぞり返った態度で書店のマネージャーを呼びつけた。
「伝染病持ちのガキをよくも店に入れたな!さっさとこいつらを追い出せよ!」
マネージャーは俺、桐生蒼海(きりゅう そうみ)を追い出せるはずもなく、申し訳なさそうに男へ言った。
「お客様、大変申し訳ございませんが、私どもに他のお客様を退店させる権限はございません」
ところが男は執拗に食い下がり、喚き散らしながら俺の目の前までやって来た。
「空気が読めるならさっさと出て行け!俺の彼女は蒼奈グループの社長、神崎麗奈(かんざき れいな)だぞ!お前なんかが逆らっていい相手じゃねえんだよ!」
俺は思わず呆気にとられた。極度の男嫌いで、俺以外の男には拒絶反応を示すあの麗奈が、いつからこいつの彼女になったというんだ?