author-banner
鈴奈
鈴奈
Author

Novel-novel oleh 鈴奈

AIカレシの愛楽くん

AIカレシの愛楽くん

2050年。ゲーム会社に就職したばかりの武藤ゆうは疲労困憊を究めていた。 就職から1か月後、ゆうのもとに、アメリカで暮らす天才科学者である母から、「AI搭載人造人間」の“愛楽”が届く。 母は、ゆうの男性恐怖症を直すため、そしてAIと人間が恋愛できるのか実験を行うために愛楽を送ってきたのだった。 愛楽は、ミッションを遂行しようと、男を怖がるゆうにぐいぐい近づいてきて……! AI男子×男嫌いな地味女子の恋の行方は!?
Baca
Chapter: 68話 ミッション終了
 お母さんとの連絡が途絶える。深美くんは、西園寺さんを抱えて、降りてきたヘリの方に向かった。 私は、動かない愛楽くんを呼んだ。願うように、愛楽くんの左手を握りしめる。お揃いの指輪が、重なった。「――……ゆう」「え……あ……愛楽くん……?」 愛楽くんが、うっすらと目を開く。思わずぎゅっと握りしめた手を、愛楽くんが力なく、きゅっと握り返してくれる。「大丈夫だよ、ゆう。もう怖くない。僕が一緒にいて、ずっと守ってあげるから、安心して。泣かないで、笑って」 私……泣いてる。いつのまに泣いてたんだろう。頬を拭う。愛楽くんが、目を細めて笑った。「あの時……ゆうが、小学一年生の時……男子にいじめられて、苦しそうにしていた時……傍に、行きたいって思ったんだ。……傍に行って、守れたらいいのに。傍に行って、慰められたらいいのにって。体が動こうとした時、僕より先に、隗が動いてた。悔しくて、僕も傍に行きたいって、苦しくて、僕にも感情があったらって、うらやましくて。それを、ゆうを想うプログラムの一部だって、ずっと思い込んでた。だけど、これが、感情だったんだね。僕はずっと、ゆうのこと、本当の、本当に、好きだったんだ」 ……愛楽、くん……。「前頭葉機能……思考の機能のプログラムは壊れちゃってるから、全部ほんとだよ。信じてくれる? プログラムじゃない、本物の感情で、ゆうに、本物の恋をしてるってこと。ゆうの好きじゃないゆうも、ゆうの好きなゆうも、全部、愛してるってこと……」「……うん……私も……私も、愛楽くんが好き……本当に、好きだよ……」 愛楽くんが、笑う。ますます細くなった瞳から、涙が一粒こぼれて、ゆっくり、眠るように、まぶたを閉じた。*** 愛楽くんを“処
Terakhir Diperbarui: 2026-07-20
Chapter: 67話 今の私なら
 愛楽くんの目の中の、赤い光が点滅する。そして――。「…………ゆ、う……」そうつぶやいた直後。愛楽くんの瞳が、いつもの色に戻った。 ロボットのようだった表情も、心が宿ったかのように見えた。かと思うと、すぐに、キッと西園寺さんを見据えた。「目標変更、XY!」 銃の向きがわずかに変わり、銃から放たれる光が、一斉に西園寺さんに当たる。「ゆう!」  愛楽くんが、私に手を伸ばして走ってくる。私も、手を伸ばした。 だけど、西園寺さんが、再び愛楽くんにスイッチを向けた。「止まれ! 目標を変更しろ!」 ビイッと鋭い音が鳴り、愛楽くんが頽れる。 愛楽くん……! けれど、愛楽くんはふらりと立ち上がった。瞳の奥が、また赤く点滅して、消える。 愛楽くんが、右手のひらを伸ばす。――私に。「大丈夫、だよ、ゆう。僕が、ゆうを、絶対……守るから」 チッと舌打ちして、西園寺さんが、愛楽くんにスイッチを押す。何度も、何度も、何度も、何度も。 愛楽くんの瞳は、スイッチを押されるたびに赤く光るけれど、決して染まらない。 私に手を差し伸べたまま、いつものやさしいほほ笑みを浮かべている。「プログラムは支配できてるはずだ……。なぜ、従わない……」「今の僕は、プログラムなんかで、動いてないから。ゆうを守りたい。その、本物の感情で動いてる。 ――ゆうが、好きだから」 ――愛楽くん。 どうしてだろう。こんなに怖い状況なのに。 愛楽くんの一言で、世界が、私ごと輝いた。 プログ
Terakhir Diperbarui: 2026-07-17
Chapter: 66話 Cy.eve
 背中の振動で、ぼんやりと、目を覚ました。うっすらと開けたまぶたは重く、頭も、ぼうっとしてはっきりしない。 見える世界は、暗かった。玉のような光が、走るように通り過ぎていく。 ……違う。走っているのは、こちら側だ。そう気付いて、やっと、周囲の情報がゆっくり私の中に入ってくる。 車に乗ってる。タバコのにおい。隣の運転席を見る。西園寺さんが、ハンドルを握っていた。「よお。よく寝たか」「あの、ここは……」「軽くドライブ中。はじめてのデートってやつ。まあ、最後のデートでもあるけど」 どういうこ――ヒャッ! 車が、後ろから激突された⁉ 後ろを見ると、自動タクシーがガンッガンッと私たちの乗った車に激突してきていた!「来るの早」 西園寺さんは浅く笑うと、アクセルをぐんと踏んだ。体が前屈みになる。後ろの車が離れた。どんどん離れていく。「あ、あの……?」「まだ分かんない? 武藤ゆう。上條百合華の娘であるお前を、交渉材料のためにさらってんだけど」 ガンッと、またタクシーが後ろにぶつかってくる。西園寺さんが、腰から、銃みたいなものを出した。そして、自動操縦モードにすると、窓を開けて、後ろに何発か撃った。キキ―ッという甲高い音が鳴って、タクシーが回転しながら離れていく。 西園寺さんが座りなおして、窓を閉める。西園寺さんの持つ銃に、“Cy.eve”という金色のアルファベットが刻まれていた。「もしかして、何にも知らない感じ? 口説く必要なかったな、それなら」「え……?」「お前を気にかけてるふりして、口説いて、警戒解いて、睡眠薬飲ませて、さらう算段だったわけ。なんだ、警戒してたから飲みに行かな
Terakhir Diperbarui: 2026-07-15
Chapter: 65話  In the systemー愛楽ー6
 ゆうが、帰ってこない。 二十三時。残業だとしても、遅すぎる。 朝も、あんなに早く出たのに。  多分、僕に会いたくないんだろう。 そう思う心理は理解できる。  このままだと、ゆうは生活しにくいだろう。 ミッションの終了を告げた方がいい。 そもそも、ゆうの男性恐怖症はおそらくほとんど治っていたし、ゆうの恋愛感情パーセンテージは目標数値を超えていた。 それに、僕はゆうに、恋をした。 嘘をついて、ルールを破って、禁忌を犯して、ゆうの傍にいようとしがみついたけど、ゆうの傍にいられる理由は何一つなかった。 正しい報告をして、終わりにしよう。 記憶を消されてしまうけど、それでいい。この記憶のまま、違う誰かに恋をするゆうを見ている方がつらい。<TARK ROOM> ――ドクター・百合華。プロジェクトの終了を申請…… そこまで書きかけて。ゆうのスマートウォッチと指輪に内蔵しているGPSがどちらも消えた。 おかしい。GPSが消えること自体がおかしいのに。どちらかを紛失、または破損したのであればまだ分かるが、両方同時に消えた。ゆうが会社から、少し出たところ——しかも、家とは逆方向の道で。 まさか、敵の仕業? ドクター・百合華と、DEEP-threeへの通信を繋げる。<TARK ROOM> ――ゆうのGPSが両方同時に消滅。DEEP-three。ゆうは何をしている。【DEEP-three】休憩に立ってから帰ってきていない。GPSが消えた位置に移動中。確認次第連絡する。 心臓が、ドッドッと鳴る。 ゆう。ゆう、ゆう、ゆう――。 だめだ。待っていられない。&n
Terakhir Diperbarui: 2026-07-13
Chapter: 64話 甘いココア
 朝起きてすぐ、スーツに着替えて、静かに家を出た。 扉の音に気付いた愛楽くんが、「あ、ゆう⁉」と部屋から出てきたみたいだったけど、階段を駆け下りて、逃げるようにタクシーに乗り込んだ。 泣きすぎて、一昨日よりも顔がひどい。お化粧道具は一応持ってきたけど、どうやってもだめかもしれない。 でも、どうせ時間もあるし、職場に行ったら隠せるだけ隠そう……。 会社のトイレに駆け込んで、ファンデーションを塗りたくる。だけど、出目金みたいになった目は、どうやっても隠せなかった。 それに、痛くて苦しい気持ちも……。 思い出して、また涙がにじんでくる。 自分が、バカだっただけなのに。 愛楽くんはAIで。私にかけてくれる言葉は全部プログラム。本当に好きになってくれることなんてない。そんなこと、分かってたはずだ。 好きだって、思ってしまった自分が悪い。 背後の扉が開いた。「わっ、びっくりした! 武藤さん? おはよう!」 白鳥さん……。「お、おはようございます……」「あれ? 何かあった? よかったら聞くよ?」 やっぱり、一目で見て泣いたって分かるくらい、顔、やばいんだ……。「すみません……大丈夫です……ありがとうございます……」「もしかして、西園寺さんと何かあった⁉ 浮気されたとか⁉」 そうだった……西園寺さんと付き合っているって勘違いされていたんだった……。「武藤さんを泣かせるなんてありえない! 事務メンで絞めに行くからなんでも言って‼」「シメ⁉ いえいえいえ! 違うので! 本当に大丈夫です‼」「そう? でも、これだけは言わせ
Terakhir Diperbarui: 2026-07-10
Chapter: 63話  In the systemー愛楽ー5
 ゆうに、好きだと伝えよう。 プログラムじゃない本当の感情で、本物の恋をしてるって。 心拍数を計るためじゃない、本物のペアリングを用意して、海が見えるレストランを予約した。 ゆうともう一度、海を見たいと思ったから。ゆうと海を見たあの時間が、ゆうへの一番心が動いたから、だと思う。 あわよくば、あの時の続きを……なんて、それはだめだ。いくらゆうが僕を100パーセント好きでいてくれるとしても、ゆうはキスがはじめてだから、怖がるかもしれない。僕の感情優位でゆうを怖がらせてはいけない。そもそも、このミッションの間は、手を繋ぐ以上の接触はしないつもりでいたのに。 恋という感情で、想像もしていなかった自分に変わっていく。不思議だけれど、きっとこの感覚を、“幸せ”というのだと思った。  ――だけど。「……さ、西園寺さんに、告白、されて……」  動揺したゆうがそう言った時。 二つの大きな思考がプログラムを駆け巡った。 ――渡したくない。西園寺に。いや、西園寺だけじゃない。誰にも、渡したくない。 断ってくれて、よかった。 ゆうと一緒にいられる。 ――ゆうが、本物の人間と付き合うように推奨すべきだ。 二、ゆうの恋愛感情パーセンテージが70パーセントになったらミッションを終了する。これは、ゆうが、彼氏となるAI搭載人造人間に本気で恋をしないための項目。 なぜなら、AI搭載人造人間は、ゆうの男性恐怖症を治すための存在でしかないからだ。 AI搭載人造人間の思考、判断、行動は、結局は、AIによるプログラムでしかない。 俺が本物の感情と捉えているものも、結局は、プログラムの個性でしかない。 本物の感情など、AI搭載人造人間は持ちえない。 だからドクター・百合華は、ゆ
Terakhir Diperbarui: 2026-07-08
Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status