キミはまぼろしの婚約者

キミはまぼろしの婚約者

last updateDernière mise à jour : 2025-04-25
Par:  葉月りゅうEn cours
Langue: Japanese
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幼い頃、初恋の相手・律(りつ)と交わした「大人になったら結婚しよう」という約束を忘れられない小夜(さよ)。 離れ離れになっていた律と高校で再会したものの、彼はまったく小夜のことを覚えていないようで……? しかし少しずつ距離を縮めていくたび、違和感が大きくなっていく。本心をひた隠しにする律には、ある大きな秘密があった。 とびきり切なく、美しい純愛ストーリー。

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Chapitre 1

初恋の王子様と衝撃の再会 1

 逢坂 さま

 えっちゃん、お元気ですか?

 私は相変わらず平凡な高校生活を続けています。もう春からは二年生だよ。

 えっちゃんは今年から社会人になるんだよね。どんな仕事に就くのかわからないけど、人のいいえっちゃんだから、どこへ行ってもうまくやっていけるんだろうな。

 それと、律は元気ですか? 大好きなサッカーは今も続けていますか?

 私はいまだに、あなたの弟のことを想わない日はありません。

 ねえ、えっちゃん。どうして『律のことは忘れてほしい』だなんて言ったの?

 そんなこと、地球が逆回転するくらい、私にとっては不可能なことなんだよ。

 律との約束は、今もずっと、私の中で生き続けているんだから。

 * * *

 都会に比べ、このあたりでは桜が咲くのが遅い。二階の私の部屋から見える桜並木も蕾が開き始めているものの、満開になるにはまだ一週間ほどかかりそうだ。

 今日は始業式、明日は入学式が行われ、私も高校生活二年目に突入する。

 私、緒方 小夜(がた よ)が通う公立高校では、クラス替えがない。だから変わったことは教室が二階に移ったことくらいで、変わらない仲間といつもと同じように過ごす。と、いうことは。

「小夜……ちょっと見ない間に太った?」

 この失礼発言を淡々と口にする幼なじみ、古畑 恭哉(ふるはた きょうや)とも離れられないわけだ。

 休み明けの朝はただでさえ気分が上がらないっていうのに、登校中に会ってすぐこんなふうに言われたら軽くキレますよ。まあ保育園から一緒だから、もうこんなのは日常茶飯事なのだけれど。

 百七十センチ後半の長身に短めの黒髪、あまり表情が変わらないキリッとした顔立ち。見た目はクールなイケメンであるくされ縁の彼を、私はじとっと睨みつける。

「キョウ、眼科行ったほうがいいんじゃない? あいにく五百グラムも増えてませんので」

「いや、もう少し肉ついたほうが美味そうに見えるなと思ってたから」

「なにげなく変態発言するな!」

 顎に手をあてて品定めするように見る彼の脇腹に、パンチを繰り出した。

 この男、ボケているのか天然なのか……。こういう発見をしなさそうに見えて、実はさらっと口にしちゃう人だから危ないのなんの。

 私のしょぼいパンチなんてまったく効いていない様子で、キョウは平然と歩いている。

「次変なこと言ったら本気で殴るからね」

「強気だな。お前、俺の腹筋割れてるって知らないの?」

「知るか!」

 キョウの身体なんて、そんなまじまじ見たことないに決まっている。

 澄ました顔を保つ彼にツッコミを入れると、私たちの後ろから笑い声が聞こえてくる。

「新学期早々やめてー、その夫婦漫才。ツボる」

 ふたりして声の主を振り返ると、ショートヘアの女子がケラケラと笑っていた。

 ボーイッシュだけれど、大きな瞳とアヒル口が可愛い、親友の棚橋(たなはし)ありさだ。

「ありさ!」

「いつの間に」

「邪魔しちゃ悪いと思って、黙って聞いてたけど堪えられなかったわ」

 私の左隣に並ぶありさと、今さらながら「おはよー」と挨拶し合う。

 彼女は、私のロングヘアをひとつに束ねている、春休み中に買ったシュシュにすぐに気づいて「可愛いじゃん」と笑った。

 中学で一緒になったありさは、気が合うしなんでも話せる友達。サバサバしていて、飾らない彼女が大好きだ。

 ありさも同じクラスだから、キョウも含めて三人でいることが多い。いつものメンバーで並んで歩いていると、大きく伸びをしながらありさが言う。

「かったるいなー始業式。どこの校長もあんなに話長いもんかね」

「あのヅラがふっ飛んでってくれれば多少笑えるんだけどな」

「多少どころじゃないから!」

 無表情のキョウの言葉に、今度はありさが爆笑しながらツッコミを入れた。やっぱりこの人のボケは天然か……。

 私もつられて笑っていると、男友達がキョウに声をかけてくる。彼は「じゃ、また後で」と私たちに軽く手を挙げ、そちらに向かっていった。

 わずかに笑みを見せて男友達と話している彼を見ながら、私はひとり言のように呟く。

「なんか、キョウのクールなボケに年々磨きがかかってく気がする」

「いいじゃん、面白くて」

「まぁね……。でもイケメンのくせに今まで彼女いないのって、絶対あのとぼけた性格のせいだよ」

 クールで頭も良くてモテるのに、なぜか浮いた話はひとつも聞いたことがない。どちらかと言えばボケ担当の私が思わずツッコんじゃうくらいの天然くんだから、他の子といてもカップルじゃなくてお笑いコンビになっちゃうんじゃないだろうか。

 なんて思っていると、ありさは目を細めていぶかしげに私を見てくる。

「本気でそう思ってるー? 他におっきな理由があるじゃん」

「え、なに?」

 キョトンとしてありさを見つめ返すと、彼女は肩にスクールバッグをかけ直し、腕を組んで呆れ顔になる。

「〝夫婦〟だの〝妻〟だの呼ばれてる小夜がいたら、恭哉に気がある女子も尻込みしちゃうでしょーよ」

「……あ」

 そっか……なるほど。ありさのひと言に、私はとっても納得してしまった。

 高校に入学した当初から、私とキョウは当たり前のようにいつも一緒にいた。それを見ていたクラスの皆は、私たちのことを夫婦と呼んでからかうようになっていたのだ。

 最初はそんなんじゃないから!と否定していたものの、だんだん面倒になって、今では私もキョウもなんとも思わなくなっていた。

 だから忘れていたけれど、たしかにこんな存在の私は障害になっちゃうよね……。

「なんか申し訳ない気がしてきた」

「ま、それでも勇気と熱意ある女子は影で告ってるんだし、小夜が気にすることじゃないよ」

 ぽんぽんと肩を叩いて笑うありさの言う通り、キョウは今まで何度か告白されている。 それは知っているけれど、どうしていつも断ってしまうのか、その理由は謎だ。

「キョウはなんで断っちゃうんだろうね。付き合えばいいのに、もったいない」

 今さらだけどなんでだろう、と考えながら言うと、なぜかありさが苦笑を漏らした。

「恭哉も哀れだなぁ……」

「ん?」

 ボソッと呟かれた言葉の意味がよくわからなくて首をかしげるも、ありさは意味深な笑みを見せるだけ。

「さー、さっさと行くよー」

「え、あ、うん」

 ありさはブレザーのポケットに両手を突っ込み、歩調を早める。

 不思議に思いながらも特に気にせず、私もチェック柄のスカートをなびかせて学校を目指した。

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初恋の王子様と衝撃の再会 1
 逢坂 越さま えっちゃん、お元気ですか? 私は相変わらず平凡な高校生活を続けています。もう春からは二年生だよ。 えっちゃんは今年から社会人になるんだよね。どんな仕事に就くのかわからないけど、人のいいえっちゃんだから、どこへ行ってもうまくやっていけるんだろうな。 それと、律は元気ですか? 大好きなサッカーは今も続けていますか? 私はいまだに、あなたの弟のことを想わない日はありません。 ねえ、えっちゃん。どうして『律のことは忘れてほしい』だなんて言ったの? そんなこと、地球が逆回転するくらい、私にとっては不可能なことなんだよ。 律との約束は、今もずっと、私の中で生き続けているんだから。 * * * 都会に比べ、このあたりでは桜が咲くのが遅い。二階の私の部屋から見える桜並木も蕾が開き始めているものの、満開になるにはまだ一週間ほどかかりそうだ。 今日は始業式、明日は入学式が行われ、私も高校生活二年目に突入する。 私、緒方 小夜(おがた さよ)が通う公立高校では、クラス替えがない。だから変わったことは教室が二階に移ったことくらいで、変わらない仲間といつもと同じように過ごす。と、いうことは。「小夜……ちょっと見ない間に太った?」 この失礼発言を淡々と口にする幼なじみ、古畑 恭哉(ふるはた きょうや)とも離れられないわけだ。 休み明けの朝はただでさえ気分が上がらないっていうのに、登校中に会ってすぐこんなふうに言われたら軽くキレますよ。まあ保育園から一緒だから、もうこんなのは日常茶飯事なのだけれど。 百七十センチ後半の長身に短めの黒髪、あまり表情が変わらないキリッとした顔立ち。見た目はクールなイケメンであるくされ縁の彼を、私はじとっと睨みつける。「キョウ、眼科行ったほうがいいんじゃない? あいにく五百グラムも増えてませんので」「いや、もう少し肉ついたほうが美味そうに見えるなと思ってたから」「なにげなく変態発言するな!」 顎に手をあてて品定めするように見る彼の脇腹に、パンチを繰り出した。 この男、ボケているのか天然なのか……。こういう発見をしなさそうに見えて、実はさらっと口にしちゃう人だから危ないのなんの。 私のしょぼいパンチなんてまったく効いていない様子で、キョウは平然と歩いている。「次変なこと言ったら本気で殴るからね」「強気だな。お前、俺の腹筋割れてるって知らないの
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シンデレラになる、魔法の一瞬 1
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シンデレラになる、魔法の一瞬 2
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シンデレラになる、魔法の一瞬 3
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