<社会人百合>アキとハル

<社会人百合>アキとハル

last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-01
Bahasa: Japanese
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 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?  えっちしまくり(16+範疇)のラブラブ物語!

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Bab 1

第一話 アキとハル

 頭痛ぁ~……。また呑みすぎちゃった。

 酒癖が悪いのが、私の欠点。てか、ハダカじゃん!

 ほんと、飲むと記憶トぶ・・からなぁ~……。

 はて、何か違和感。隣で寝息が……?

 視線を向けると、これまたネイキッドな女の子が、気持ちよさそうに爆睡中!?

 ど、どうしよう! どうしたらいいの!?

 ◆ ◆ ◆

「えーと、事情を教えてくれるかな?」

「いや、事情も何も、おねーさんから声かけてきたんですけど」

 眼の前で、正座してるショートカットの女の子は、今年二十歳になったかどうかぐらい。

 さすがに、互いに着替え済み。

 彼女は、ちょっと地味めのスカートルック。かといって、オシャレ心がないかといえば、ちゃんとあって。

「あー、オトナとして恥ずかしいんだけど、昨日飲み屋行った後のこと覚えてないんだわ……。よければ、教えてくれないかな?」

 今日は土曜で、職場は休み。というわけで、この子の素性を問いただすことに専念する。

「はあ。……それじゃ、わたし視点で、今に至るまでを説明しますね」

 ◆ ◆ ◆

 わたしは、行くあてもなく、駅高架下の、路傍の縁石に座っていた。

 あてもない、お金もない、無い無い尽くし。

 そんなとき、上機嫌で歩いてくる、おねーさんを見かけたのです。

 酔っぱらいかー。関わらないほうがいいかなーと、思っていたけれど。

「よーう! そこな少女! 表情暗いなー!」

 絡まれてしまった。どうしよう。

「どうした! 家出か何かか! よっしゃ! おねーさんが面倒見ちゃる! うちに来ーい!」

 ドンと胸を叩くおねーさん。

 どう見ても酔っ払いだけど、今のわたしには渡りに船。

 「お願いします!」というと、おねーさんはタクシーを捕まえました。

 そして、このマンションに連れてこられ、なし崩しに初めて・・・を……。

 ◆ ◆ ◆

「ちょ、ちょーっと待ったあ!! ナニソレ! 私が行きずりの女の子を招いて、さらに、その……!?」

 声が震える。

「はい。初めてでしたけど、優しくしてもらって……」

 ぽっと照れる彼女。慌てて布団をめくると、果たしてその証・・・が……。頭痛がぶり返してきた。

 スマホを手繰り寄せる私。

「あの、おねーさん、何を!?」

「ケーサツ! これじゃ私、ユーカイ犯じゃない! 身の潔白を説明しないと……」

「それだけはやめてください!」

 彼女が、スマホをひったくろうとする。

「家に……家に戻るぐらいなら、死んだほうがマシです!」

「よくわかんないけど、そうもいかないでしょ!!」

 しばし、大格闘。

 私のスマホは、彼女にひったくられてしまった。

「あー、もう! どーすりゃいいのよ!?」

 交番に駆け込む? でも、変な噂が立ったら困るなと、はたと気づく。

「あの、一生のお願いです! わたしをここに置いてください! 家事でもなんでも、しますんで!!」

 土下座する彼女。う~ん……。

「せめて、素性を教えてよ。このままじゃ話しにくいし。私は、市役所勤務のくれないアキ。あなたは?」

あおいハルと言います! ふつつかものですが、よろしくお願いします」

 深々と頭を下げる彼女。ふつつかものって、私、受け入れるとか一言も言ってないよ!?

 しかし……うーん、私の名前に合わせた偽名とも受け取れる、デキすぎた名前だけど。

 確認・通報しようにも、両方のスマホはハルちゃんの手の中。かといって、大事おおごとにはしたくないし……。つくづく、我が酒乱が恨めしい。

 すると、ぐうとお腹が鳴った。時計を見ると、お昼を回ってる。

「お腹空いたでしょ。テキトーに、スパゲッティーでもつくってあげるから、それ食べたら帰ってね」

「あの! わたしに作らせてください! ウデに自信アリなんで!」

 ほんとかな? とはいえ、「家事でも何でもする」という言葉は、偽りではないようだ。

「ふーん。じゃあ、お手並み拝見。えっと、調味料はここで……。冷蔵庫のものは、何でも使っていいから」

「お任せください!」

 テキパキと調理体制に入る彼女。

 すごいな。傍から見てても、鮮やかなお手並み。

 途中、ポッケのスマホをこっそり奪還しようと試みるけど、素早くガードされてしまう。むむむ。反射神経いいなあ。

「できました!」

 そんなことをやっているうちに、カルボナーラの出来上がり! 美味しそ~。

「いただきます」

 二人で合唱。

 ん! 美味しい! 自分で作っても、こんな美味しくならないのに!

「すごい! 美味しいよ、コレ!」

「お褒めに預かり恐縮です。仲の良かったメイドさんから、教えてもらったんです。茹で汁に塩を多めに入れるのがコツなんですよ」

 上機嫌で応える彼女。……って、メイド!? ナニモノなの、この子……?

「ごちそうさま」

 美味しかった~!

「さ、そろそろスマホを返し……」

 バッとポケットをガードされる。困ったね。

 ……しゃーない。テレビでも見るか。

「葵ハルさん、失踪事件の続報です。アオイグループ会長、葵吾文《あおい・ごもん》さんの一人娘、ハルさんの失踪から一日が経ちました。警察では事件の可能性も考慮し……」

 思わず、横でにこにこ笑顔の彼女を見る。テレビの手配人物そのものだ。アオイグループといえば、超大企業……!

「かーえーしーなーさーいー!」

「やーだー!」

 二人で、スマホの奪い合い。

 まずいな。こうして大騒ぎしてるだけでも、ご近所様の耳目が……。

 そして、先に息切れするのは、年上の私のほう。

「お願い……私の立場も考えて……私、一介の市役所職員なのよ……」

 肩で息しながら、彼女に乞う。惨めだけど、変な嫌疑とか、かけられるわけにいかない。

「わたしだって、一介の会長令嬢です……! 何の力もないけれど、親の敷いたレールに乗って生きるのは、もうイヤなんです……!」

 向こうも、息も絶え絶えに反論。親の敷いたレールに反発するご令嬢か……。こんな、マンガから抜け出してきたみたいな子が、現実に存在するとは。

 そのとき、不意にチャイムが鳴った。

「一旦休戦。隠れてて」

 小声で言うと、ハルちゃんはトイレに隠れました。

「はい、どちら様でしょう?」

「F警察署の者です。少し、お話を伺いたいのですが」

 ギャーッ!! 速攻特定された!?

 どうしよう? どうしたらいいの!?

 断るのも怪しいし。

 ええい!

「はい、どういったお話でしょうか」

 意を決して、平静を装いつつ、ドアを開けると、二人組の男性が立っていた。

「どうも。私、こういう者です」

 名刺代わりに、警察手帳を見せてくる。私服だから、刑事さん? うわ~……。モノホンですよぉ……。

「葵ハルさん失踪のニュースは、ご覧になりましたか?」

 うーん、ここはしらばっくれてもなあ……。

「はい。先ほど」

「それは話が早い。実はですね、昨夜あなたそっくりの女性が、ハルさんと思しき女性と、タクシーでどこかへ行ったという証言を得ましてね。で、ご自宅を突き止めまして。少し、お話を聞かせていただければと」

 ドキーン! やばい! 絶対にやばい!!

「えーとですね……その……」

 まずい。私、嘘がつけない性格なのよーッ!!

 刑事さんたちが頷きあう。

「お寛ぎのところ恐縮ですが、署までご同行願えませんか?」

 ひいっ!

「ちょっと待ったぁーッ!」

 そこに、トイレのドアをバーンと開けて、のしのしとやってくる張本人!

「たしかに、わたしが葵ハルです。このおねーさんは、誘拐犯とかじゃありません! わたしが、自分の意志で、こちらにお邪魔しているんです!」

 この急展開に、私も刑事さんも困惑!

 アイコンタクトを送り合う彼ら。

「そういうことでしたら、未成年でなし、我々はどうにもできませんね。ただ、お父様にご報告はさせていただきますが、よろしいですか?」

「どうぞ、ご勝手に!」

 腕組みして啖呵を切るハルちゃんに、「やれやれ」といった様子で肩をすくめて、刑事さんたちは帰っていきました。

「というわけで、よろしくね、おねーさん!」

 至極明るい調子で、肩をポンと叩いてくる彼女。

 なんか、私の意思に反して、どんどん引き返せなくなっていくぅ~!

 この先、どうなっちゃうんだろー? とほほ。

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第一話 アキとハル
 頭痛ぁ~……。また呑みすぎちゃった。 酒癖が悪いのが、私の欠点。てか、ハダカじゃん! ほんと、飲むと記憶トぶからなぁ~……。 はて、何か違和感。隣で寝息が……? 視線を向けると、これまたネイキッドな女の子が、気持ちよさそうに爆睡中!? ど、どうしよう! どうしたらいいの!?  ◆ ◆ ◆ 「えーと、事情を教えてくれるかな?」「いや、事情も何も、おねーさんから声かけてきたんですけど」 眼の前で、正座してるショートカットの女の子は、今年二十歳になったかどうかぐらい。 さすがに、互いに着替え済み。 彼女は、ちょっと地味めのスカートルック。かといって、オシャレ心がないかといえば、ちゃんとあって。「あー、オトナとして恥ずかしいんだけど、昨日飲み屋行った後のこと覚えてないんだわ……。よければ、教えてくれないかな?」 今日は土曜で、職場は休み。というわけで、この子の素性を問いただすことに専念する。「はあ。……それじゃ、わたし視点で、今に至るまでを説明しますね」  ◆ ◆ ◆  わたしは、行くあてもなく、駅高架下の、路傍の縁石に座っていた。 あてもない、お金もない、無い無い尽くし。 そんなとき、上機嫌で歩いてくる、おねーさんを見かけたのです。 酔っぱらいかー。関わらないほうがいいかなーと、思っていたけれど。「よーう! そこな少女! 表情暗いなー!」 絡まれてしまった。どうしよう。「どうした! 家出か何かか! よっしゃ! おねーさんが面倒見ちゃる! うちに来ーい!」 ドンと胸を叩くおねーさん。 どう見ても酔っ払いだけど、今のわたしには渡りに船。 「お願いします!」というと、おねーさんはタクシーを捕まえました。 そして、このマンションに連れてこられ、なし崩しに初めてを……。  ◆ ◆ ◆ 「ちょ、ちょーっと待ったあ!! ナニソレ! 私が行きずりの女の子を招いて、さらに、その……!?」 声が震える。「はい。初めてでしたけど、優しくしてもらって……」 ぽっと照れる彼女。慌てて布団をめくると、果たしてその証が……。頭痛がぶり返してきた。 スマホを手繰り寄せる私。「あの、おねーさん、何を!?」「ケーサツ! これじゃ私、ユーカイ犯じゃない! 身の潔白を説明しないと……」「それだけはやめてく
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-06-30
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第二話 来訪
「そういえばさ」「はい」 とりあえず、なし崩し的にあんな流れになってしまったので、落ち着くためにお茶を淹れる。 もちろん、ハルちゃんにも振る舞う。「さっきの回想で『お金もない』って言ってたけど、アオイグループの会長令嬢なら、なんかこう、ブラックカードとか持ってないの?」 すると彼女、ぷっと吹き出す。むう。発想がマンガ的で、悪うございましたね。「普通のクレカならありますよ。でも、親に全部握られてて、速攻止められちゃいました」「交通系ICカードとかも?」「それは、うち、基本的にリムジン使うので……」 はあ~、セレブですこと。でも、そんな裕福な生活を蹴ってまで、実家に戻りたくないって、どういう事情だろう? 問いただすのも悪趣味な気がするけど、一応、住まわせる以上は訊く権利あるよね? すでに、住まわせる方向に決めている自分が、怖いけど。 でも、彼女のわだかまりがわからないことには、説得しようもないしね、うん。「ねえ、なんで家に戻りたくないの?」「好きでもない男と、結婚させられるからです」 お茶に、視線を落とす彼女。なんとベタな。ほんとに、マンガから抜け出てきたような子だなー。「わたし、同性愛者なんですよ。好きでもない男と無理やりくっつけられるとか、耐え難くて」 お茶を飲み飲み聞いていたら、思わずむせてしまった。 いや、今どき普通にアリなんでしょうけども。こうもあっさりカムアウトされると、ちょっと動揺する。 そんな彼女の、初めてを奪ったのか、私は……。思わず、頭を抱える。 私も、実はそっち側の人なのかなあ……? 正直、酔っ払った私は何しでかすかわからないから、断言しかねるけども。「とりあえず、事情はわかった。その……私にも責任があるようだし、当面の間、面倒は見るよ。でも、居候を長い間置いておける余裕もないのよね」「それなら、働きます! あ、でも、働いたことも、就職活動も、やったことなくて……。あの、色々教えてくれませんか!?」 ぎゅっと手を握られ、思わずドキッ! あう~……やっぱり私も、そっち側?「まあ、いいや。私も、とりあえず今はあんまり、難しいこと考えたくないし。今日は互いに、ゆっくりしましょ」 二日酔い対策の、貝殻エキスのカプセルを飲む。失敗するのわかってて、つい呑んじゃうんだから、私も相当ダメ人間よねえ……。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-06-30
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第三話 爆弾
 とりあえず、冷やしたほうがいいものは、冷蔵庫に入れてしまい、ちゃぶ台に正座する。 このマンションに四人は狭いけど、まあ仕方ない。 しかし、空気が気まずい。ハルちゃんも、吾文さんも、互いに明らかに不機嫌だ。ある意味平常運転そうなのは、弁護士さんぐらいか。「ハル、強情もいい加減にしなさい」 吾文さんが口火を切った!「強情なのはそっちでしょう!? 好きでもない男と、結婚させられる身にもなってよ!!」 うわあ、いきなりヒートアップ。「お前が、鐘鳴会長のお孫さんと結婚すれば、アオイグループはより盤石になるんだ。お前の母さんも、そうやって輿入れしてきたんだぞ」「わたしも、お母さんも、モノじゃない!! 習い事だって、言われるのを全部やってきたし、学校も、お父さんの言うままに進んだ。でも、これだけは、絶対嫌!」 ハルちゃん……。お金持ちの家に生まれるってのも、大変なんだね……。「あの、メイドのせいか。あいつのせいで、お前はおかしくなってしまって……」 呆れたように、首を横に振る吾文さん。「ミドリさんは関係ない! なんで、ミドリさん好きになっちゃいけないの! あてつけみたいに解雇して!」「女同士で、しかも相手は使用人。認められるわけなかろう」「は!? 何、その差別の塊な言いよう! 信じられない!」 いけない。ハルちゃん、完全に頭に血が上ってる。「ハルちゃん。ちょっと落ち着こう? 吾文さん。その、横から口出しすみませんが、彼女が怒るのも、無理がない仰りようかと」「我が家の家庭事情だ。口出ししないでいただきたい」 ひいっ! 睨まれた。「もっと言ってやってよ、おねーさん!」 ハルちゃんも、煽らないで~! ひぃ~! 横槍入れなきゃ良かったよう! でも……。「聞き捨てならなかったんです!」 萎えそうな勇気を、振り絞る。「その、お言葉ですが、ハルちゃ……さんを道具のように扱うこと、同じ女として見過ごせません! いつの時代ですか!」「君には、関係ない話だ」「ありますよ! 成り行き上ですけど、こうして関係ができたんですから!」 吾文さんが弁護士を見るも、彼は首を横に振る。よし、まだ隙は見せてない!「そうだよ! このおねーさんとは、肉体関係持ったんだから!!」 ハルちゃんの爆弾発言に、ムンクの「叫び」と化す私。ぽ
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第四話 二人で
 テレビを見たり、雑談に興じたり。だらーっと休日を満喫してると、そろそろいい時間に。 いやー、誰かと一緒だと、時間が経つのが早いねー。「さーて、サンマでも焼きますかー」「わたしがやりますよ」 あ、そうだ。彼女が焼くって言ってたね。「私は、頭、ワタ取り派だけど、ハルちゃんは?」「わたしは、両方付きが好きですね」 ほむ。「じゃー、大根は私が擦るから、サンマは任せちゃうね!」「ドンと任せてください!」 庶民派お嬢様の、心強いお言葉。 というわけで、作業分担。「やっぱり、ハルちゃんちのキッチンって広い?」「そうですねー。大勢のお客様を、もてなすときも多いですから」「立食パーティーとか?」 桂剥きをしながら問う。「いえ、立食パーティーはめったにないですね」「へー。アニメなんかだと、お金持ちのパーティーって立食のイメージが強くて」「そうなんですかー」 でも、考えてみたら、お金持ちが立ちんぼで飲み食いとか、たしかに変といえば変よね。 二人で手際よく、それぞれの料理を作っていく。 ほんとに、隣のこの子が、大企業のお嬢様だなんて思えないぐらいの、料理上手で。「あー、いい匂い。サンマの焼ける匂いって、サイコーよねー」「そうですね」 ほんとは、炭火がいいんだろうけど。うち、ガスしかないからね。 ……でっきあっがりー!「美味しそうだねー」「おねーさんの大根おろしも、美味しそうです」 お酒を呑むつもりなので、ご飯は炊いていない。大根おろしごはんってのもオツなんだけどね。 あとは、お酒にお猪口、予備の乾き物なんかを並べてー……。「いただきます!」 合唱&合掌。「なるべく良さそうなの買ってきたけど、ハルちゃんの舌に適うかなー?」 お酌しながら、ちょっと恐縮。だって、一本何万のワイン呑んでそうなイメージなんだもん。「いえいえ! おねーさんのご厚意が、なにより最高の味ですよ!」 あら、嬉しいこと言ってくれちゃって。「乾杯!」 お猪口を掲げ、つつ、といく。くーっ! イイ!「美味しいです!」 お世辞ではなさそうな、ハルちゃんからのお言葉。「遠慮なく呑んでねー」「ありがとうございます!」 こうして、箸とお酒が進んでいく。 ああ、サンマ美味しい……。絶妙な焼き加減だ。「おうちで、サンマとかよく食べるの?」「えーと、そ
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第五話 妹
「あちゃー……」 きのこスパを食べ終わり、食休み中。スマホをいじってたハルちゃんが、何とも言えない声を出す。「どしたの?」 同じくスマホでブラウジングしていたので、声をかける。「止められちゃいました」 がっくり、項垂れる彼女。「それも、親の管理かー」 ほんと、籠の鳥だったんだね。「はい。就活しなきゃいけないのに、どうしましょう」「新しいの、作りに行く?」「いいんですか? 私、ないないづくしですよ?」 不安そうな彼女。「まー、全部奢ってあげるとかは無理だけど、そこは出世払いでいーよ」「ありがとうございます!」 ぱあっと、顔を輝かせる。 我ながら、お人好しがすぎるかなとも思うけど、なーんかほっとけないのよね、彼女。「本人確認書類はある?」「はい、保険証とマイナが」 なら、大丈夫かな。「じゃー、今度はF駅に行きますかー。ハルちゃんも着の身着のままじゃね。服、買ってあげる!」 さっき、私たちが買い出しにでかけたのは東F駅。文字通り、F駅から東に一駅行ったところにある。「何から何まで、すみません」「気にしなさんな。それでも気にするなら、後から返してくれればいいから。なんだかね、妹ができたみたいで嬉しいのよ」 立ち上がり、腰を伸ばしながら言う。「妹、ですか。ふふ、なんだか照れくさいですね」 はにかむ彼女。かわいいなあ。「じゃ、行こうか」 さーて、本日二度目のお出かけですよー。  ◆ ◆ ◆  バスで移動し、F駅前へ。ここの駅舎は、美しいと評判なのです。 ちょっと、地元民として誇らしい。「ハルちゃんは、やっぱりそういうおとなしい服が好み?」「好みというか、こういう服しか買ってもらったことがないもので」 ふーむ。「ハルちゃんが、どういう仕事に就けるかわかんないから、そういう感じのと、アクティブなの、両方買っていこうか」「ありがとうございます! ほんと、すみません」「ほっほっほっ。情けは人のためならずじゃよ」 とか言いつつ、まずは駅そばのショッピングモール、「るるる」へ。そこのブティック、「ハーネスト」に案内する。「ここの服ね、値段の割にはすごくいいのよ」 と言いつつ、店内を物色。「たしかに、いいですねー」 ハルちゃん、ショッピング楽しそうだな。 彼女が嬉しいと、私まで嬉しくなってくる。 三着ほど
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-06-30
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第六話 のほほん?
「どうですか?」 帰宅後、私専用ファッションショーを開いてくれる、ハルちゃん。「いいよいいよー! どれも、ほんと似合ってる!」 ぱちぱちと拍手する、たったひとりのオーディエンス。「これ、楽ですね~」 長袖とデニムで決め打ちし、ちゃぶ台につく彼女。「楽よねー、その手の。私も、それ系に着替えよっと」 クローゼットから淡赤の長袖とカーキのチノパンを出し、着替える。「ふふ、おねーさんも、似合ってますよ」 微笑むハルちゃん。誰が見てもかわいい。「じゃあ、きのこスパ、作りますね」「ああ、ねえ。スパゲッティーの茹で方教えて?」「いいですよ。えっとですね……」 実際作りながら、レクチャーを受ける。お湯二リットルに、塩二十グラムも入れるのがコツなのだとか。「へー。こんなに入れるんだ」「はい、それで、ほんと変わるんですよ」 ミドリさん、直伝のテクニック。どんな人なんだろう。会ってみたいような、会ってはいけないような……。 一方のハルちゃんは、きのこの調理。醤油とバターもじゅうじゅう香ばしい、エリンギやえのきが、とても美味しそう! それぞれ完成したので、併せて和風きのこスパゲッティーにする。 最後に、刻み海苔をまぶして完成~!「いただきまーす!」 うん、美味しい!「ほんと美味しい! 自分で作ったんじゃないみたい!」「お塩だけでそんなに喜ばれたら、恐縮しちゃいます」 照れくさそうに、はにかむハルちゃん。 さっきも思ったけど、ほんとの妹ができたみたいで、かわいい。「あ、そろそろだ」 お茶を用意し、テレビを点け、競馬にチャンネルを合わせる。「今日も、スターランサーちゃんが出るんですか?」「そんな事したら、馬が潰れちゃうよ。今日は、マリアージュベーゼちゃんの応援だよん」 彼女のレースは、もう少し先。 ハルちゃんと一緒に別のレースを観戦しながら、ベーゼちゃんの登場を待つ。「このレースだよ」 本日のメインレース! パドックで、ベーゼちゃんが、かぽかぽと歩いている。黒毛の美人……もとい、美馬さんだ。「この子も強いんですか?」「うーん、コテコテのスプリンターでねえ。スプリンターズステークスに、期待がかかるってとこかな」「よくわからないですけど、それもすごいレースなんですか?」 湯呑を手に、尋ねてくるハルちゃん。「重賞
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第七話 提案
 お昼休み。「あれ、紅さん、今日はお弁当?」「あ、ああ~。そうです。ちょっと朝、余裕があったもんで」 話しかけてきた同僚女性とは、いつもあちこち昼食を食べにいく関係。「うーん、どっかでテイクアウトしてきますかー」 そういって、彼女は職場を離れる。 ふう。 このお弁当は、もちろんハルちゃんの愛情弁当。ただ、さすがにそれはオープンにはできないので、自作ということにした。 それにしても、彩り豊かで、可愛らしいお弁当だ。赤・黄・緑の彩りが、食欲を掻き立てる。「いただきます」 感謝の念を、これでもかと込めて合掌。 ん! 卵焼き美味しい~。ブロッコリーサラダもグー! そして、メインのサンマフライ……。ほんと、美味しい。語彙力が崩壊しちゃうな。 本気で、お嫁さんにしたくなってしまうなあ。ハルちゃんは私を好いてくれているようだけど、どのレベルなんだろう? 少なくとも、ああいうことをするぐらいには、好意を持ってくれているようだけど。 人生設計かー。ハルちゃんと結婚。悪くないかもなー。 同性婚禁止とか、遅れてるよ、この国。私も、すっかりこっち側で、考えるようになってるねえ。 しかし、ハルちゃんに袖にされた御曹司ってどんな人だったんだろ。あのキョーレツな、吾文さんが頭をよぎる。 あんなのと結婚させられるんだったら、可哀想だな。逃げて正解だったと思う、うん。「おまたせー」 考え事をしながら箸を進めていると、同僚が戻ってきました。「おかえり。いい匂い。なんだろ?」「タンドリーチキン弁当。カレーがけにしようか迷ったんだけど、接客業だから、あんま臭いきついのはちょっとね」 そうね。一応、接客業だもんね。「だいぶ進んでるね、そっち。急いで追いつかないと」 フォークを、さくさくと進めていく彼女。 ハルちゃんは今頃、面接してる頃かな。仕事、決まるといいけど。  ◆ ◆ ◆ 「ただいまー」 今まで九年間、言う習慣のなかった言葉をかけながら家に入る。 今日も、七時をだいぶ回ってしまった。 すると、ちゃぶ台に突っ伏しているハルちゃんがいました。「ありゃー……その様子だと、ダメだったか」「全滅です。不況不況と聞いてましたけど、ほんとですね」 顔も向けずに、無気力に言う彼女。 ほんとにやんなるね。私なんて、生
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第八話 それから
「ただいまー。どうだった?」 スマホいじりしていたハルちゃんに問うと、笑顔でガッツポーズ! おお!「何に決まったの!?」「ピアノ教室の講師です。芸に身を助けられました」「そっかー。よっし、祝杯といこうか!」 お馴染み、ノンアルビールで乾杯!「いやー、でも就活二日目で決まるって、ハルちゃん持ってるよー」「そうなんですか?」 無言で、缶を手にうんうんと頷く。「あ、今日は私が作りますね。まだ、お仕事決まっただけですから」「あら、悪いねー」「いえいえ。昨日のおかゆ、美味しかったですし。今日は逆に、こってりしたのを作りましょう。……受け付けそうですか?」 エプロンをしながら、尋ねるハルちゃん。「そうね。今日のハルちゃん弁当、野菜メインのサンドイッチだったし、ドスンといきたいかも。でも、これからハルちゃんお仕事始まるんじゃ、お弁当作ってもらうわけにもいかないよねー」「大した手間じゃないから、大丈夫ですよ」「いやいや、あれは手間かかってますって。交互に作っていこう」「はい、そうしましょう!」 なんて話してると、香ばしい香りが……。しょうがの風味がするな?「おまたせしました。豚の生姜焼きです」「あら、すごい。こういうのも作れるのね!」「ミドリさん仕込みですから!」 自分の二の腕を、ぽんと叩く彼女。なんか、妬けちゃうな、ほんと。 ともかくも、いただきます!「ん! 美味しい~!」「ありがとうございます」「これはスタミナ付きそう」 もぐもぐと、ややハイペースでいただいていく。ほんと、美味しいんですもの。「おかわりある?」「嬉しいですね~。ありますよ~」 食べ過ぎかな? とも思うけど、ほんと美味しいんだもん。幸せ太りしそう。「は~……美味しかった~! ハルちゃんお嫁さんにしたーい!」「ふふ。わたしも、おねーさんのお嫁さんになりたいです」 食後のまったりタイムに、布団でごろ寝。牛になっちゃうね。 互いに、じっと見つめ合う。照れくさくて、互いにクスクス笑ってしまう。 幸せだな。驚天動地の土曜日から、こんな穏やかな日々が生まれるなんて。 翌日。行ってきますのキスの後、互いに出勤。 ああ、これからの人生、きっと幸せだなあ~。 ……と思っていたのだけど。  ◆ ◆ ◆  土曜。二日酔いに悩まされていると、チャ
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第九話 デエト
「ハールーちゃん! デートしーましょ!」 まだ昨日のアルコールが残っていて調子が悪いけど、起き抜けに隣で目を覚ました彼女に、あえて元気に声をかける。ふたりとも、ネイキッド。つまり、昨夜はそういうことです。「あたた……。おはよーございます」 ハルちゃんも二日酔い。底なしコンビだね。 彼女のお仕事も至極順調で、程なく生保を外れることができるでしょう。 普通は、なかなか生保を外れるというのはできない。噂の不正受給なんてほんの僅かで、ほとんどの人は、病気、障碍、年齢……そういった覆し難い理由で保護を受けているからだ。 だから、心無い自治体は水際作戦なんてやるわけだけど、それはとても人道にもとることだと、現職として思う。 まあ、暗い考えは一旦頭から追い出しましょ。本来なら、なんちゃら教室なんて日曜が書き入れどきなんだろうけど、新人にはまず慣れてもらおうということなのか、比較的楽な曜日を回してもらっているとのことで。 言い換えると、デートとかするんなら今のうち! これから、スケジュールが合わなくなること必至だろうからね。 と、いうわけで……。「デートしよ、デート!」「願ってもないですけど、まずはシャワー浴びません?」「それもそだね」 というわけで、広くはない浴室で、一緒にシャワーを浴びる。触りっこなんかしたりして。あー、もう。どうしてこの子とは、こんなに波長が合うんだろう! いちゃいちゃ。 はー、さっぱりした。「どっか、行きたいとこある?」 着替えながら質問。「そうですねえ……あ、遊園地! 遊園地って、一度行ってみたかったんです!」 ほむほむ。このへんで一番近いとこは……。 ぽんと手を打つ。「ピュアランドとかどう?」「ケイティちゃんとかのですか? いいですね!」 ピュアランドは、日本が誇るファンシーキャラブランドの会社が運営するテーマパーク! そういうところで、童心に帰ってはしゃぐのも悪くない。「よし、善は急げ! おめかししたら、行きましょ」 というわけで、さくさくメイクするのでした。 電車でゆらり揺られて目的駅へ。あとは、歩いていける距離。 お手々繋いで、きゃっきゃうふふ。 着きましたー! 外観からもう、ファンシー王国への入り口って感じ! 入場券を買い、中へ! まずは私たち、ご飯を食べずに出てきてるので、「ハロウィンメ
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第十話 ミドリ
 今日は祝日! そんなわけで、ハルちゃんと「るるる」へ映画を見に来ました。ここ、映画館もあるのよね。 いやー、面白かったー!「あ、ピアノがあるよ、ハルちゃん」 二階の通路沿いに、「ご自由にお使いください」と、一台のアップライトが設置されています。「ハルちゃんのピアノ、聴いてみたいな」「では、一曲……」 クラシックの有名な曲を弾く彼女。なんて曲だっけ。喉元まで出かかってるんだけどなー。 それにしても上手。さすが、講師に選ばれただけある。 うっとりと聞き惚れていると、聴衆が少し集まってきています。 やがて、じゃん、じゃん、じゃん! と締め。拍手が起こる。「ご静聴、ありがとうございました」 ハルちゃんが立ち上がって振り返り、頭を下げようとすると、「あっ!!」と、大声を出す。「ミドリさん!?」 視線を追うと、私の真横の女性が狼狽していた。「いいえ、人違いではないでしょうか」 目を背ける彼女。「見間違うはずないです! その声も、間違いない!」 女性に近づくハルちゃん。 ミドリさん。ハルちゃんの料理の師匠で、そして……初恋の人。「……私は、追放された身です。関わるのは、お嬢様のご迷惑になります」「だったら、わたしも一緒だよ! わたしもお父様に勘当されて、今は葵家の人間じゃないの!」 目を見開く、ミドリさん。 聴衆も、なんだかのっぴきならないやり取りに、野次馬と化しています。「あの、二人ともすごく注目の的になってるので、河岸を変えませんか?」「いえ、私が立ち去れば済むことですので……」「やだよ! もう、私の前からいなくならないでよ!」 野次馬が、どんどん増えていくぅ!!「あの、ほんとに一度落ち着いて話しましょうよ。ハルちゃん、このままじゃ収まりがつかないし、可哀想ですよ」 かつて仕えていた人物を、ちゃん付けで呼ぶ私に「この人は、何者だろう?」という疑問を感じる視線を受けつつ、「静かに話せる場所、知ってますので」と、食い下がる。「わかりました。お嬢様を悲しませるのは、本意ではありませんし」 彼女も折れてくれ、場所を変えることとなりました。  ◆ ◆ ◆  やってきたのは、市役所そばにあるダイナー、「F-TERRACE」。「ここ、水出しアイスコーヒーが美味しいんですよ」と、とりあえず、注文。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-06-30
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